PIOピアノ雑記帳

ピアノ、クラシック音楽関連の話題を主とした雑記帳blogです。

カテゴリ:【音楽セミナー・レッスン・集い】 > 楽典・楽曲の覚え書き

実は私、コロナ禍以来、ネット上の匿名参加ピアノ・サークルに所属していまして、毎月、月末までにその月の「お題」に沿った小曲を仕上げる努力をしています。
で、先月の月末、お題である
「暗めの曲」「重い曲」
に沿った、サクっと仕上げられる曲を探してみて行き当たったのがこちら。
  • チャイコフスキー作曲『四季』より 10月 秋の歌
いやいや、10月じゃなくて11月だから!
とは思ったものの、
「メイン部分が短調だし、暗めでいいんじゃない? この曲、昔、好きでよく弾いてたし、今年の日本は今、まさに、やっと秋だし。」
ということで、決定。
実は、先月は広島行きなどもあってバタバタしていて、曲探しを始めたのが既に月末。
たまたま、
  • 12月 クリスマス
を友人宅で開催予定のクリスマス会で弾いてみようかな、と思い立って、この曲集を開いたついでに「秋の歌」に出会ったという経緯だったのでした。
そんな事情で、なつかしく譜面をめくっているうちに疑問がいろいろ湧いてきた私。

(1)10月「秋の歌」とは、紅葉のロマンティックな季節では?なぜ曲集の中で一番暗い曲調?
(2)11月「トロイカ」とあるが、雪のそりといえば11月なのか?早すぎないか?
(3)5月「白夜」とあるが、ロシアでは本当に5月が白夜なのか?

そこで手に取ってみたのが、こちらの本です。

51G7PNGFf4L
著者: ロシアフォークロアの会なろうど
出版社: 東洋書店新社
頁数: 234P
発売日: 2018年06月01日

いや、嬉しいことに、音楽学の研究者で、ラフマニノフ講座の講師としてお姿を拝見したこともある、一柳富美子氏による「音楽歳時記 チャイコフスキイ≪四季≫」というコラムがありました。
そこには、なんとこの曲集の12曲各曲についての丁寧な解説が。

おかげさまで、上記(1)(2)(3)の疑問がすべて解けました~。
その部分を抜き書きします。

(1)ロシアの十月は雨や冷え込みなど悪天候に見舞われることが多く、「秋の歌」と題されてはいるが、すでに「黄金の秋」は過ぎ去り、チャイコフスキイはすべての生命が無に帰る寂寥の秋を描いた。「ここではすべてが緩慢で陰鬱で沈痛でなければならない」とは≪四季≫の名演を残したピアニスト、イグームノフの言葉。

(2)初雪が降り、気温が氷点下になると、ロシアの人々は俄然元気になる。死の後には必ず新たな誕生が訪れる。すべての生き物はそうして命を繋いできたのだ。だから、悲劇の頂点たる十月の次は、新しい冬の訪れと民衆の喜びが音楽によって具現化されている。

(3)いくら広大なロシアでも、5月に白夜はありえない。つまりここでも白夜は文字通りの明るい夜ではなく、暗く重たい冬の夜から完全に解放された自由な気分の象徴としての白夜、エピグラフにあるように一気に芽吹いた新緑の芳香と5月の新鮮な夜、あるいは間もなく訪れる本当の暮れない夜への期待感などが表現されていると考えるべきだろう。

納得。
他はざっと斜め読みしただけですが、衣食住の季節ごとの伝統なども解説されていました。

プーランクのチェロ・ソナタをたまたま2日連続で聴いて(生演奏&TV録画)、
改めてこの作曲家、この曲に興味を覚えました。
ということで、聞いた音源から、解説を抜き書きしておきます。


クラシック倶楽部
(2022年3月10日放送・2022年1月20日@紀尾井ホール)
チェロ:上野通明
ピアノ:須関裕子

フランス6人組のひとりであるプーランクが残した唯一のチェロ・ソナタ。
チェロの演奏には非常に高度なテクニックが要求される。
シニカルな雰囲気の中に、軽快さやたおやかさが詰まった軽妙洒脱なプーランク至高の作品。

2022-03-14 (2)


ミューザ川崎<若き才能の響演>のプログラム・ノート
(2022年3月12日@ミューザ川崎>
チェロ:岡本侑也
ピアノ:大須賀恵里(北村朋幹の代役)

20世紀前半から後半にかけて活躍したフランスの作曲家フランシス・プーランクは、簡素で軽妙ながらセンスの高い、また独特の陰影が含まれた作品を残し、フランスにおけるラヴェル、サティに次ぐ世代の代表格として知られている。チェロの大家ピエール・フルニエに献呈されたチェロ・ソナタでもプーランクらしい楽しさを聴くことができ、特に美しい第2楽章は作曲者ならではのものである。
なおプーランクはオーリック、デュレ、ミヨー、オネゲル、タイユフェールの5人とおもに「フランス6人組」の一人として知られているが、「フランス6人組」の呼び名は当時の評論家が恣意的にひとくくりにしただけのもので、本人たちの意向によって誕生したものではない。

第1楽章 アレグロ‐テンポ・ディ・マルチア
第2楽章 カヴァティーナ
第3楽章 パッラビーレ
第4楽章 フィナーレ

ABRSM(Associated Board of the Royal Schools of Music 英国王立音楽検定
理論(Music theory)問題の例題チャレンジ後の覚え書き(3)。

我が鬼門、音階&音程&調に関連した項目です。

Give the technical names of the notes.
  1. Ⅰ Tonic  主音
  2. Supertonic 上主音 
  3. Mediant 中音
  4. Subdominant  下属音
  5. Dominant 属音
  6. Submediant 下中音
  7. Leading note  導音
【chord】三和音:triad  eg. tonic triad of D♭major
  • 主音:root
  • 第三音:3rd
  • 第五音:5th
  • 第一転回:first inversion  (3rd=lowest)
  • 第二転回:second inversion(5th=lowest)
上記は、日本語より英語のほうが覚えやすいかも。
幸いなことに、Level5までは、さほどの難問は出てきませんでした。

Describe the chords as Ⅰ, Ⅱ,Ⅳ or Ⅴ. Also indicate whether the lowest note of the chord is the root, 3rd or 5th.
この手の問題は、Level5では「The key is G minor.」のように調を明記してくれます。
もっとレベルが上がると、楽譜から調の読み取りもしなくてはいけないのかな。
2018-08-26 (3)

Describe fully (e.g. minor 3rd, perfect 5th) each of these melodic intervals.
  • perfect 完全1th, 4th, 5th, 8th (4th&5th=半音1つ含む ドファ / ドソ の形)
  • minor / major 2nd, 3rd, 6th, 7th
  • diminished / augment  すべての音に可能
eg. ファーシ 4度の中に半音なし = augment 4th
シーファ 5度の中に半音2つ(シド&ミファ)=diminished 5th

Mark a chord of C minor in first inversion.   (楽譜から見つけて印をつける)
→楽譜中に tonic triad of C minorドミ♭ソ のfirst inversion  ミ♭ソド が存在


そういえば、Level2から出題されるkey signatureを書く問題、
♯や♭を書く順番を知らなくちゃ、書けやしない……と今さら気づいた私です。💦
2018-08-26 (4)

ABRSM(Associated Board of the Royal Schools of Music 英国王立音楽検定
理論(Music theory)例題チャレンジ(Level1~5)後の覚え書き(2)。

さて、ここからは「英訳」だけでなく日本語でも理解が曖昧だった用語群。
ざーっと超特急で自学自習しただけなので、すぐに忘れそう…。

まずは装飾音符:ornament

2018-08-26 (1)

これまた、いろんな併記が……BrEとNAmE?ドイツ語やイタリア語?
  1. mordent / upper mordent / inverted mordent / pralltriller :レミレー
  2. lower mordent / mordent :レドレー
  3. turn / grouppetto :レドシ⤵ドレー :ターン
  4. inverted turn : シドレ⤴ドレー :逆ターン
  5. appoggiatura(アッポジャトゥーラ) / grace note :前打音  
  6. double appoggiatura :複前打音 
  7. acciaccatura(アッチャッカトゥーラ) / grace note / crushed note:短前打音 
さて、日本語名を調べてびっくり。(今までそれすら意識しなかった自分に「喝!」)
  1. mordent / upper mordent / inverted mordent / pralltriller が「プラルトリラー」。
  2. lower mordent / mordent  が「モルデント」。
prallenとはドイツ語で「削り落とす」って意味があるそうで、
「削り落としたトリル」なら納得です。

ドイツ語と英語で困ること、といえば
」です。
ドイツ語音階では、CDEFGAC でB=H♭=シ♭
英語音階では、CDAFGAC  でB=シ♮
「B」の指し示す音そのものが異なるんですね。
つい「b moll = B minor」なんて考えてしまいますが、これはアウトで、
正しくは「b moll = B♭ minor」なのでした。

オーケストラの知識を問う問題もありました。
英語から日本語はすぐ出るんですが、逆はど忘れしちゃったりも。この際覚えておこうかな。
  • 弦楽器:strings (奏法:arco & pizzicate)
  • 木管楽器:wood wind
  • 金管楽器:brass
  • 打楽器:percussion

ABRSM(Associated Board of the Royal Schools of Music 英国王立音楽検定
理論(Music theory)例題チャレンジ(Level1~5)後の覚え書き。

英語の楽典用語には、次の二種があるのですね。
BrE(British English イギリス英語)
NAmE(Native American English アメリカ英語)

問題用紙の記載は、こんな感じ。
「英国」検定なのに、ちゃんと米語も併記してもらえるのがありがたい。。。
  • 二分音符は、 minim ( half note)
  • (4分音符)は、crotchet (quarter note)
  • (8分音符)は、quaver (eighth note)
  • ♬(16分音符)は、semiquaver(sixteenth note)
  • 32分音符は、  demisemiquaver(32th note)
  • 二全音符は、 breve  (double whole-note)
  • 全音符は、  semibreve(whole note)

ついでに拍子についてまとめてみると、以下のようになります。
  • time signature:拍子記号(4/4等)
  • simple time:単純拍子 
  • compound time:複合拍子(6/8≒二拍子 等)
  • duple:二拍子
  • triple:三拍子
  • quadruple:四拍子

ABRSMでは、上に挙げた拍子も含め、次については併記ナシでした。

  • treble clef:ト音記号
  • bass clef:ヘ音記号 
  • alto clef:alt clef < on the 3rd line = Middle C   【viola】
  • tenor clef:< on the 2nd line from the top【cello, bassoon, tromborn, doublebass,…】
  • bar:小節
  • note:音符
  • music:楽譜
  • key:調
  • key signature:調号(楽譜冒頭の♯♭)
  • accidentals:臨時記号(♯♭♮)
  • chromatic scale:半音階
  • major scale:長音階
  • harmonic minor scale:和声的短音階
  • melodic minor scale:旋律的短音階
  • ascending scale:上昇音階
  • descending scale:下降音階
  • enharmonic equivalent :異名同音

Rewrite bar1 in notes of half the value. Remember to include the new time signature.とは、
9/8拍子を、9/16 拍子に書き換えろ、という指示でした。(Level5)

Rewrite bar3 in notes of twice the value. Remember to include the new time signature.とは、
3/4拍子を、3/2 拍子に書き換えろ、という指示。(Level5)

Rewrite the following passage in simple time but without changing the rhythmic effect.は、
6/8拍子を、2/4拍子に書き換える問題。(Level4)

Rewrite the basoon part of bar4 in compound time but without changing the rhythmic effect.は、
3連符を含んだ4/4拍子を、8分音符を使って12/8拍子にする問題。(Level5)


つづきはまた改めて。

このところ、人前演奏で崩壊しまくっているのは、
音楽理論をま~ったく知らないからではないか!と(前から感じていたのですが、改めて)気づき、身近な音楽仲間に相談しまくったりしていた私。
で、ここ数日、一人ひそかに(?)ねじり鉢巻きで「おべんきょ」してみました。

まずは、こちらのサイトを使って模擬試験にチャレンジ。
2018-08-13 (10)

まずは現在の自分のレベルチェックから、とアドバイスされたのが8月7日。
レベル1~2はOKでしたが、レベル3から曖昧事項がてんこ盛り、というレベルでした。
で、それから数日かけて、レベル5までなんとか終了。

その過程で、わからないところを調べようとしてたどりついたのが、こちら。

むきになる傾向大の私、ここ5日間ぐらいでこのオンライン試験をすべてクリアいたしました。
ものすご~く頭を使いました。ただ今、ヘロヘロ状態。
100点を取らないと次に進めない仕組みにおいて、まがりなりにも13項目×6ステージ=78ステージ、すべてクリア。
まぐれ当たり満載ですし、解説ページやグーグル先生を使ったカンニングもしたとはいえ(特に「楽語」と「和音の所属」問題)、我ながら頑張りました。。

で、初めて「コードネーム」の仕組みを理解いたしました。やった!
ハ音記号の楽譜も読めるようになりましたよ。いちいち数えないとダメですが。。。

あとは、音階(スケール)のマスターですね。
これはどうにも一朝一夕ではどうにもなりません。少しずつ頑張ります。



<追伸>
オンライン最終試験に進む前の「人物とカテゴリのマッチング」問題で、「間違っています!」というメッセージが出るのですが、これ、どうにも納得できず……。

・ワーグナー&楽劇
・クープラン&クラヴサン曲集
・ピアソラ&タンゴ
・チック・コリア’&ジャズ

これが全部「間違い」って、どうしてなんだろう。。。。

この数日で、生れてはじめての作業というものを体験しました。
なんとな~く気になっていながら、やったことのなかった作業。
それは
  • 楽譜の入力と移調
です。
実は、二胡やリコーダーとのアンサンブルをやろうとしているのですが
なかなかいい楽譜が見つからない……見つかっても音域が合わない……
ならば!
ということになりまして。

PCにダウンロードして使ってみたのが、このフリーソフト。
  • MuseScore
いろいろググって決めました。
これ、作業手順の動画まで完備していて、なんとも親切です。
ありがとう、フリーソフト。こんな画面で作業します。

2018-06-24 (1)

こうなるとですね。
  1. YouTubeで、よさげな音源を探す
  2. IMSLPでその楽譜を探し、ダウンロードする
  3. 音域が合わなければ、MuseScoreで移調する
という手順で、
なんと無料で、望む楽譜が入手できたりするわけですよ。
(画像は、まずC-durの楽譜を入力してから、F-durに移調したものです)
アレンジ譜を入手してみると、それが原曲から既に移調されていて、
改めて原曲の調に戻すべし……という場合が多々あるんですね。

そして、楽譜の手入力は、やっぱり手間がかかります。当然ではありますが。
PDFから楽譜を取り込む、というコマンドを発見するも、
これを使うには有料のバージョンアップが必要みたいです。やっぱりね。💦

沼野 雄司 著 音楽之友社 2017年10月刊行
20180226book
次の一節に目が惹きつけられました。

ここはごく簡単に「アマチュアのピアノ弾きがよりよい演奏をするため」に分析を行うものと仮定してみたい。(p.37)

ここでは紙面の都合上、簡素なものにならざるを得ないけれども、ともかくは我々が設定した目的、すなわち「よりよい演奏」を目指して各部分の吟味を行なうことにしよう。(p.41)

おおお!
これは、多少苦難を伴うとも、是非読んでみようではありませんか!
まずは3部形式(ABA形式)からスタートです。
  • 実際の演奏においては、こうした「字余り」(形式AからBへのつなぎの箇所)をどう処理するかがセンスの問われるところ。(p.42)
  • 3部形式の曲でまず問題にしなければならないのは「主部と中間部がどのくらい対照的な”幅”を持っているか」、そして「主部と中間部に、何らかの連関があるのか」という、一見矛盾しながらも、相補いあう2点である。(p.44)
基本的な手続きは、分割・吟味・再統合。
さあ元気よくもう一回、声を揃えて「分割・吟味・再統合!」さすがにもう飽き飽きしたかもしれないけれども、結局はこれにつきる。(p.73)

こういった軽い論調で、でも、しっかりと分析の方法を見せてもらえる本です。
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 op.79」の
第2楽章で3部形式を、第1楽章でソナタ形式を。
とっても面白かったです。

でも実は、こんな軽さの中に深い、深い、洞察が呈示されます。
分析のはらむ落とし穴……。
アメリカ(伝統から自由!)の音楽学学会では、
1980~90年代(近年!)に、「分析」行為そのものに疑問を呈する動きが起きたのだとか。
  • 音楽のフォルムを、単にorganismという観点から見るという行為の貧しさを指摘
  • criticism(主観的であることを恐れず、しかしできる限り一貫性や説得力のある立場を維持しようとする解釈運動そのもの)という概念を、organismの分析を包み込むものとして提示
(ジョゼフ・カーマン1980 "How we get into analysis, and how to get out")

で、これは米学会の二分裂(1977年)と連動している、というのです。
  1. 音楽史を扱う学会(アメリカ音楽学会AMS)=「文化的なコンテクスト」重視
  2. 音楽理論を扱う学会(アメリカ音楽理論学会SMT)
1の立場の解釈学を濫用すると、「歴史的な契機の導入によって、むしろ多くの作品を恣意的かつ一律に解釈してしまう」危険性があるし、
2の立場だと、「シェークスピアのハムレットを、物語の意味を何も考慮することなしに、その文法とシンタックスのみから分析したようなもの」になる危険性がある。
アメリカで「musicology(音楽学)」といった場合、それは「(主にヨーロッパの音楽を対象にした)音楽史学」を指す、というのも目からウロコでした。
それで、はい。冒頭に戻ります。
分析という行為を、一種の実践として捉えよう!
思い切って踏み込んだ日本語に直せば「演奏」といってもいい。(p.61)

パチパチパチ、拍手!
アマチュア演奏家が行おうとする楽曲分析って、分析の王道ではありませんか!

具体的な分析のまとめはやめておきます(ワタクシ、逃げマス…)が、
この本の扱う範囲が、上にあげたベートーヴェンのソナタと現代音楽(ヴェーベルン「子どものための小品」)の2曲のみ、というのには驚きました。
なんと、ロマン派の曲はまったく扱わずにスキップ!
この本の「ファンダメンタルな」から逸脱するから、個々の事情が大きすぎるから、基本はベートーヴェンで押さえてあるから、とのこと。

なるほど。
このあたりにも、分析というものの難しさが表れていますね。
読んでみて、「ファンダメンタル」の核の付近だけチョイとかじることができた気分。
でも、私のような超初心者としては、それが実にありがたかったです。

1冊でわかるポケット教養シリーズ
土田 京子 著    yamaha music media 2017年10月
IMG_7385
「さくさく理解」とは、とても言えませんが、
なんとなく和声法というものの全体像は見えました。
私にとっては、それで御の字です。

「属七」とか「属音」「下属音」とか、「ナポリの和音」とか、
単語としては耳にするものの、一体何者なのか、そのコンセプトがなぜ必要なのか、そこからして、ちんぷんかんぷんだった私です。恥。

ざっと一読したところで私が理解できたことは……
和音を作るにしても、
転調するにしても、
「Ⅴ」⇒ハ長調だと5番目の「ソ」を起点に、ソ・シ・レ・(ファ・ラ)と重ねる和音
の働きがいろんな意味で大きい。このVの和音をドミナント(属音)と呼ぶ。
筆者の言葉で言うと
「ドミナント(Dominant)というのは、一家の主。外でガンガン頑張って働くお父さんのようなもの。とっても強い。爆発力を持っています。(p.35)」
ということなのですね。

懸案項目(よく聞くけど私には意味不明…)だった
「属七和音」とは、この「V=音」の4音和音・ソシレファ(ソ~ファ=7度=)のこと
「減七の和音」とは、
V9(短調の属九和音)九度離れた5音のうち根音を省いたもの。シレファラ♭
この一番下〜一番上ラ♭の間が減七のため、この名前なんですね。
別名「ディミニッシュ」
4音すべて「短3度」でさまざまに変身可能なため、いろんな役目を果たすんだとか。

「ナポリの和音」は、
短調のⅡ度の和音の根音が半音引き下げられたもの。レ♭ファラ
ファラレ♭ という「第3音がバス」に来る形「6」(シックス)で使われるので
「ナポリの6の和音 Napooitan 6」と呼ばれるんだそうです。


ここで、和音のグループ分けをしておくと……
トニック(Tonic): 「Ⅰ」「Ⅳ」
ドミナント(Dominant):「Ⅴ」
サブ・ドミナント(Sub Dominant):「Ⅳ」「Ⅱ」


長3和音:「Ⅰ」「Ⅳ」「Ⅴ」
短3和音:「Ⅱ」「Ⅵ」
              &「Ⅲ」➡️「Ⅰ」「Ⅴ」和音の第3音をともに含むため、特別扱い
減3和音:「Ⅶ」➡️主音になれない響き。特別扱い。


この本で、や~っと分かったのは、7だ、5だ、3だ、と耳で聞くと同じ数字が
音と音の間の離れ具合(度)だったり、(属七、減七の「七」)
「ド」を1とするハ長調で見たときの音程だったり(Ⅰ、Ⅳ、Ⅴといった表記)
一つの和音をなす3つの音の並び方だったり(Naporitan6の「6」)と、多岐にわたること。

まったく楽典を学んだことがない人間は、
ここの初歩の初歩からから壁にぶちあたり、混乱するのですよ!(と声を大にして訴えたい)

それから、音階も下記のように様々な呼び名があって……あああ面倒くさい!
ドレミ・ド#、【イタリア語】
CDE・Cis(ツェーデーエー・チィス)【ドイツ語】
CDE・C# (シーディーイー・シ―シャープ)【英語】
ハニホ・嬰ハ 【日本語】

この本では、こんな方針でした。
「固有音名」を呼ぶときには英語
「移動音名」はイタリア語(音階のスタートの音は常に「ド」と呼ぶ)

そして、和音の状態を表す表記法としては、
「数字つき低音(Figured bass)」を使う。=ヨーロッパ伝統の表記法
(「基本形」「第1転回形」「第2転回形」という言葉は使わない)

数字つき低音の書き表しかた
「5」バスは根音=5度上に音がある(3度上にも)ドミソ等
「6」バスは第3音=6度上に音がある(3度上にも)ミソド等
「64」(縦に表記)バスは第5音=4度上と6度上に音がある  ソドミ等

和音のメンバーが増えて4音になると
Ⅴ7の和音=根音から短7度と音程が加わる
バスが根音:「7+」ナナ・プラス  ソシレファ
バスが第3音:「65(5に斜線)」減ゴロク=バスの減5度上と6度上に音
バスが第5音:「+6」プラス・ロク=バスの6度上に導音
バスが第7音:「+4」プラス・ヨン=バスの4度上に導音

Ⅱ7の和音もある。レファラド  レファ♭ラド

和音のメンバーが増えて5音になると
Ⅴ9の和音  
バス根音(5音のうち第5音か根音は省略)ソシレファラ、レ削除でソシファラ
バス第3音:減ゴ  ナナ
バス第5音:プラスロク  ゴ
バス第7音:プラスヨン  サン

ああああ、ギブアップ! 仕組みはわかっても、使いこなせる気が全くしません。

青島 広志 著   全音楽譜出版社 2009年12月
20180209gakuten
「あなた、音楽大学へ進む気がありますか」
「いいえ、ありません」
こんな会話を交わしたが最後、音楽の理論というものを教わる機会なく今日まで来ました。
転勤族の親にひっついて、転校を重ねる子ども時代でしたし。

大人になってから、どうもこれではマズそうだと気づいて
『楽典』という定番の黄色い本を買ったものの、初めのページから「わけわからん!」で、放り出したきり。それから十数年、いや数十年??

第1課 楽譜の基本的な概念
第2課 音高の記譜法について
第3課 音の歴時の記譜法について
第4課 音高のへだたりについて
第5課 音の組織について
第6課 和音について
第7課 音楽表現のための用語について
第8課 記譜の省略について(省略記号・略記法)

本書の構成は上記のとおり。
まず最初がとっつきやすくて助かりました。

「西洋では、時間の経過を視覚化する場合には、向かって左から右へ表記します。すなわち時間は左から右へ流れるのです。」と始まる本書。
その証左として、キリスト教時代の「受胎告知」の画面構成が「天使=左、マリア=右」であることを挙げ、こう述べます。
神さまの言葉を伝える天使は左(厳密には左上)からやって来ます。文字もその結果、左から右へと綴られ、その影響を受けて楽譜までもが左から右へと書かれるようになったとは言えないでしょうか。キリスト教の教義では右(画面の左側)が神聖な方角であるとされているので、この詩論は当たっていると思われます(後略)

ふむふむ。楽しいじゃあないか!
こんな感じで、読み物を楽しむ感覚で読み進めていったところ、「来た!」となったのが第5課。
出ましたよ。
長音階、短音階(自然短音階、和声短音階、旋律短音階)
構成音(主音、下属音、属音、導音、)
調号、……

それで、ですね。
今回、やっとこさ下記のような記述の意味が理解できた、というわけです。

五度圏:♯の調号を持つ長調は、新しく付いた♯の短2度上が主音となり、調号の♯が一つ増えるごとに、主音は完全5度上(完全4度下)に移動する。♯はFisから始まり、完全5度上(完全4度下)に増えていく。

ずっとナゾだった「属七の和音」の意味するところも理解できました。
属音」の上に3度を3回積み重ねた和音(一番上の音は7度上になるので、七の和音)
ハ長調で言えば、ソシレファ(一番下のソと一番上のファの間は短七度)。
それに対して、こんなものもある、と。
長七の和音(ドミソシ)、短七の和音(レファラド)、減七の和音(♯ソシレファ)、
導七の和音(シレファラ)

はい。お恥ずかしき無知さ加減をさらけ出したところで、ここまでとします。
まだまだ消化しきれていませんが。。。読み飛ばした課もありますが。。。💦

↑このページのトップヘ