PIOピアノ雑記帳

ピアノ、クラシック音楽関連の話題を主とした雑記帳blogです。

カテゴリ:【コンサート・レビュー】 > デュオ・リサイタル(鍵盤楽器あり)

2024年3月27日(水)19:00開演 20:50終演
@フィリアホール

フィリアホール オープン30周年記念コンサート 
中野りな🎻&ルゥォ・ジャチン🎹

ヴァイオリン&ピアノ デュオ・リサイタル
2022年仙台国際音楽コンクール覇者の共演

〈プログラム〉
  • シマノフスキ: ヴァイオリンとピアノのための3つの詩曲「神話」Op.30より第3番
  • シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 Op.105
  • パガニーニ:ロッシーニの「タンクレディ」のアリア「こんなに胸騒ぎが」による序奏と変奏曲

  • イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調「バラード」 ※ヴァイオリン・ソロ
  • ショパン:バラード 第1番 ト短調 Op.23 ※ピアノ・ソロ
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.75

(アンコール) クライスラー: ウィーン奇想曲


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お見事でした。
お二人とも無駄な動きが一切なく、音楽と一体化しての演奏。
聴衆として、繰り広げられる音楽世界に浸りきり、堪能いたしました。
超絶技巧もなんのその、お二人とも全く乱れなく、演奏姿も音色も端正そのもの。
すごい空間の出現に、息を呑んで立ち会ったといった気分です。
中野さん、衣装も雰囲気もフェアリーでしたが、創出世界はクイーンでした。
出過ぎず、引っ込みすぎず、ジャタンさんのアンサンブル能力にも脱帽です。

2024年2月12日(月㊗️)11:30開演 12:45終演
@みなとみらいホール 大ホール

ヴァイオリン:辻 彩奈
ピアノ:萩原 麻未

<プログラム>
  • フォーレ:ロマンス 変ロ長調 Op. 28
  • フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op. 13
  • フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
アンコール
  • パラディス:シシリエンヌ
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幸せ気分に浸ったコンサートでした。
しっとりした雰囲気にうっとりの「ロマンス」の後は、
辻彩菜さんの元気な「おはようございます」の声。

辻さん、萩原さん、
室内楽では共演が何度かあるそうですが、二人だけのデュオは意外にも今日が初とのこと。
とても初とは思えない、息ぴったりの共演でした。

フランクのソナタ、アンコールのパラディスは、
以前、辻さん&阪田知樹さんの共演で聴いています(→2021年3月)が、
萩原さんの方が、弱音はあくまでもかすかで柔らかく、
ルバートの揺れ幅が大きかったんじゃないかな。

阪田バージョンは、丁々発止。
萩原バージョンは、2人でニュアンス生成、って感じでしょうか。

フランスの香り、堪能しました。

みなとみらいのランチタイムコンサート、今日を区切りとして休止に入るとか。
今日のお客さんの入りもとてもよかったのに、残念です。
横浜みなとみらいホール プロデューサー 、反田恭平氏も決定に関与しているのでしょうか。

東京オペラシティのヴィジュアル・オルガンコンサート 217

2023年6月30日(金)11:45開演 12:30終演
@東京オペラシティ 大ホール

出演
吉田愛(オルガン)
アレックス・ガイ(オルガン)
パオロ・トレッテル(トランペット)

<プログラム>
  1. J.C.バッハ(1735-1782):4手連弾のためのソナタ ヘ長調 op.18-6より「アレグロ」
  2. アルチュニアン(1920-2012):演奏会用スケルツォ
  3. モレッティ(1763-1821):パストラーレ
  4. ヴィヴァルディ(1678-1741):2本のトランペットのための協奏曲 ハ長調 RV537
  5. モリコーネ(1928-2020):映画「ミッション」より「ガブリエルのオーボエ」
  6. ピアソラ(1921-1992):映画「ガルデルの亡命」より「不在」
  7. イギリス民謡:アメイジング・グレイス 
アンコール
バーンスタイン:ライフィのためのロンド

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往復はがきで申し込む、無料のコンサート。
友人に教えてもらい(そして、申込手続きもとってもらい)、初めて足を運びました。

いやあ、楽しかったです♪
オルガニストの手元を右横、左横、真上から捉えた映像に加え、
オルガニストの足元、トランペット奏者の上半身の映像も、正面の大きなスクリーンに映し出されるという趣向。

たいへん見やすく、視覚的にも大満足でした。

演奏者は、北イタリアの同じ町に住む気の合う仲間とのこと(愛さん、ガイさんはご夫婦)。
そのあたたかい人間関係がにじみ出るようなコンサートでした。
金管楽器とパイプオルガンの音色って、実に良く合うんですねえ。
オルガンの「パイプ」も金管ですから、当然と言えば当然なのでしょうが、響きの中に身を浸して、その溶けあい加減を堪能。
トランペット、種類の異なる3本の響きの差もよくわかりました。

よく練られたプログラムでした。
音楽とトーク、3名の入れ替わり、音響など、さまざまなバランスが絶妙でしたが、
モリコーネだけはもうちょっとオルガンの音を抑えてもよかったかも。

最後のアンコールがまた、お茶目でした。
ガイさんの鳴き声の声帯模写に拍手👏👏👏

誘ってくれた友人に大感謝です。

シューベルト三大歌曲プロジェクトvol.3

バリトン:吉江忠男
フォルテピアノ:平井千絵

2023年4月15日(土)14時開演 16時終演
プレトーク 13:15-13:40 (堀朋平×平井千絵)

<プログラム>
シューベルト:冬の旅
  • 第1曲「おやすみ」Gute Nacht
  • 第2曲「風見鶏」Die Wetterhahne
  • 第3曲「凍れる涙」Gefrorne Tränen
  • 第4曲「かじかみ」Erstarrung
  • 第5曲「菩提樹」Der Linerbaum
  • 第6曲「溢れる涙」Wasserflut
  • 第7曲「川の上にて」Auf Dem Flusse
  • 第8曲「回想」Rückblick
  • 第9曲「鬼火」Irrlicht
  • 第10曲「休息」Rast
  • 第11曲「春の夢」Frühlingstaum
  • 第12曲「孤独」Einsamkeit
休憩
  • 第13曲「郵便馬車」Die Post
  • 第14曲「霜おく髪」Der greise Kopf
  • 第15曲「からす」Die Krähe
  • 第16曲「最後の希望」Letzte Hoffnung
  • 第17曲「村にて」Im Dorfe
  • 第18曲「嵐の朝」Der Stürmische Morgen
  • 第19曲「幻」Täuschung
  • 第20曲「道しるべ」Der Wegweiser
  • 第21曲「宿屋」Das Wirtshaus
  • 第22曲「勇気」Mut
  • 第23曲「幻の太陽」Die Nebensonnen
  • 第24曲「辻音楽師」Der Leiermann
アンコール
  • シューベルト:アムプロムプチュ 変ト長調 D899−3
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SNSで流れてきたショート動画に触発されて、衝動的にポチって(購入して)しまいました。

バリトン、吉江忠男氏83歳。
座面の高い丸椅子に腰かけられて(高さは直立よりちょっと低い程度)の歌唱。
でも、最後の24曲目とアンコールのラストはすっくと立たれてフィニッシュを決められていました。

とにかく声が暖かくて、心地よい空間と時間でした。
フォルテピアノとのアンサンブルも実に美しかったです。
平井さんの私物の楽器をここまで運ばれたとのこと。
たいへんよく響き、届く音色であることに驚きました。

アンコールの即興曲(アムプロムプチュ)は、
プレトークで堀朋平氏が
「イェルク・デームス氏が吉江氏に贈った」
と言われた歌詞で歌われたのだと思います。
「僕の愛する人よ」から始まって、恨み節(短調に転調する部分)のあと、
はじめのテーマに戻るときには、歌詞が「父よ」になっている、
という説明のとおりでした(Liebe と Vater は聞き取れました)。

原曲はピアノ曲であるこの曲を久々に聴いて、
しかもメロディーラインに歌詞がついているメロディアスな形で聴いて、
涙が出そうになりました。

やっぱりいいなあ、シューベルト。

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2022年12月28日(水)19:00開演 20:50終演
@オーキッド ミュージック サロン

チェロ:森田啓佑
ピアノ:吉見友貴

〈プログラム〉
  • ベートーヴェン:魔笛の主題による7つの変奏曲
  • メンデルスゾーン:チェロソナタ第2番 ニ長調 作品58
  • R.シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 作品70
  • ブラームス:チェロソナタ 第2番 作品99
アンコール
  •  ファリャ:火祭りの踊り
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初めての会場。
パイプ椅子を81脚並べた、アットホームかつお洒落な雰囲気のサロンホールでした。
2列目中央といういい席にあたり、演奏者との距離ほんの数歩といった感じ。
のびやか、かつ、ビートの効いた若者の音楽を間近で堪能いたしました。

森田くんは光沢のある紫系のシャツに、スリムな黒パンツ、
吉見くんは白地に黒いイラストの散ったオーバーシャツ、ダボっとした黒パンツ、そして、右耳にきらめくピアス、というスタイル。
なるほど、小さい空間にはこういうファッションもしっくりくるな、と思いました。

クリスマスに豊田で披露したのと同じ曲目ながら、
会場もピアノも変わり(本日はベーゼンドルファー)、新たな発見があったとのこと。
いやもう、彼らは日々進化しているに相違ない!と確信させる、集中力の高い演奏でした。
伸び盛りのパワー、お見事。 


【追記】
森田さんのプロフィール「関西ゆかりの楽師の家系で、宮内省式部職楽師であった篳篥(ひちりき)奏者の東儀俊慰(としやす)を高祖父に持つ」という記載に、へええ~っとなりました。
色白なのも、そういう血筋を表すものかもしれませんね。

ミューザ川崎ホリデーアフタヌーンコンサート
ヴァイオリン&ピアノ デュオ・リサイタル

ヴァイオリン:堀米ゆず子
ピアノ:ヴァレリー・アファナシエフ

2022年12月10日(土)13:30開演 15:20終演
@ミューザ川崎シンフォニーホール

<プログラム>
  • J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005 
  • F.シューベルト:3つのピアノ曲より 第2番 変ホ長調 D946-2 
  • F.シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調 D574 
  • J.ブラームス:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第1番「雨の歌」Op.78 
アンコール
  J.ブラームス/ハイフェッツ編::瞑想曲

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アファナシエフ氏は、著書『ピアニストは語る』とか、NHKの特集番組などで、その異才ぶり、マルチ才能ぶりを垣間見てはいたのですが、生演奏を聴くのは初めて。
堀米さんも、30年ぐらい前に一度聴いたような気はするものの、記憶曖昧。。。

堀米さん、白いパンツの上にふわっとしたノースリーブ・チュニックのようなものを重ね、その裾をたなびかせながら、颯爽と登場。
一方、アファナシエフ氏は、歩くのも、お辞儀をするのも、ちょっとお辛そうなご様子でした。

デュオが絶品でした。
お二人が並んでいると、「同類項」といったムードが醸し出されて、アンサンブルの息もぴったり。
いちいち目など合わせなくても、ふっと自然に合ってしまうあたりに、ベテランの風格が。
二人で音楽を創るにあたって、ピアノの「クリアに聴こえるべき音」「背景となる音」が見事にコントロールされていて、なるほど~♪と

アンコールの演奏は、
堀米さんは暗譜でしたが、アファナシエフ氏はまさに「楽譜かぶりつき」状態。
それでも、まさに「美の世界」が生み出されていて、こんなところにも、アファナシエフ氏の異才ぶりが発揮されているように思いました。

今、このお二人の演奏を聴くことができてよかったです♪

2022年9月30日(金)19時開演 21時05分終演
@ハクジュホール

チェロ:笹沼樹
ピアノ:上田晴子

<プログラム>
  • グラズノフ:吟遊詩人の歌 op.71
  • ラフマニノフ:2つの小品 op.2(第1曲 前奏曲 第2曲 東洋の踊り)
  • プロコフィエフ:バレエ組曲「シンデレラ」op.87より”アダージョ” op.97 bis
  • プロコフィエフ:チェロとピアノのためのソナタ ハ長調 op.119(Ⅰ.Andante grave  Ⅱ. Moderato Ⅲ.Allegro ma non troppo)
  • ブラームス:「5つのリート」より "歌の調べのように"op.105-1   "まどろみはますます浅く"op.105-2
  • R.シュトラウス:チェロとピアノのためのソナタ ヘ長調 op.6(Ⅰ.Allegro con brio  Ⅱ. Andante ma non troppo Ⅲ.Finale:Allegro vivo)
(アンコール)
  • R.シュトラウス:モルゲン
  • フランセ:無窮動
  • カサド:グラーベ
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濃厚なコンサートでした。
ご本人が1曲目の後のスピーチで明言されたとおり。
メロディアスで甘美な歌曲系と、本格派のソナタとのコンビネーションが絶妙。
1回のコンサートで2倍楽しめた感じです。

上田晴子さん、いつ聴いてもさすがです。
笹沼くん、ちょっと前は学生っぽかったのに、今や堂々としたオーラをまとっていました。
視覚的にも、まさに正統派のコンサートでした。

反田恭平プロデュース JNO Presents リサイタルシリーズ
ヴィオラ 
有田朋央の世界 2022

2022年7月28日(木)19時開演 20時50分終演
@浜離宮朝日ホール

ヴィオラ:有田朋央
ピアノ:北端祥人

<プログラム>
  • J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第3番 BWV1029
  • ブラームス:ヴィオラ・ソナタ第2番 op.120-2
  • シューマン:アダージョとアレグロop.70
  • フランク:ヴィオラ・ソナタ(ヴァイオリン・ソナタ)FWV8
(アンコール)
J.S.バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第4番 BWV1017より 第1楽章

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ヴィオラとピアノの音色が豊かに響き渡りました。
空間の広がり、深さを感じる、情熱的なリサイタルでした。
2つの楽器によるリサイタルを、たっぷり堪能し、
元気をもらって帰ってきました。

1曲目を弾き終えてから、有田さん、マイクを持って登場。
元気いっぱい、はつらつとした声、印象的でした。

ヴィオラの音色、いいなあ。
個人的には、ヴァイオリンの音色より好み。
おそらく、室内楽で一番聴いているフランクのソナタ、
ヴァイオリンの原曲から、1オクターブ下の低い音程を多めに使用したとのことですが(インタビュー記事)、この音楽づくりに、私、はまりました。
ヴィオラの音色、やっぱり好みです。
そして、ピアノはパリッとハンサムな音色で、
この二つの音色が混ざり合い、掛け合いだすや、音楽の魅力が二乗、三乗に。
はあ。至福の時。

アンサンブルっていいなあ、と改めて思いました。
客席に余裕があったことも、ちょっと個人的な空間で音楽が楽しめた気がして、嬉しかったです。
(興行的には、もちろん、客席が埋まっていた方がいいと承知の上での本音をポロリ。)

ベートーヴェンを中心に見る、古楽の世界

2022年7月6日(水)19:00開演 21:20終演
@浜離宮朝日ホール

ヴァイオリン:岡本誠司
フォルテピアノ:務川慧悟

使用楽器(フォルテピアノ):Johann Georg Grober (Insbruck 1820)

<プログラム>
  • J.L.ドゥシーク:ピアノ・ソナタ 第24番 嬰ヘ短調 Op.61 『プロイセンのルイ・フェルディナント王子の死に寄せる悲歌』(1806年)全2楽章
  • F.シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ(ソナタ)第2番 イ短調 D385 (Op.post.137-2)(1816年)全4楽章
  • ルドルフ大公:ヴァイオリンとピアノのための『プロイセンのルイ・フェルディナント王子の主題による変奏曲』ヘ長調 (ca 1810年)
  • L.v.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第10番 ト長調 Op.96(1812年)全4楽章
アンコール
  • L.v.ベートーヴェン:「遥かなる恋人に」第1番
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フォルテピアノに、ガット弦で顎充てなしのヴァイオリンというデュオコンサート、初めてでした。
2階席まで豊かに音が響いてきましたよ。
200年以上前のオリジナル楽器というフォルテピアノ、外見も音色も、すてきでした。

どの曲も、とっても魅力的でしたが、
ベートーヴェンのパトロンだったルドルフ大公の「作曲」にびっくり。
2つの楽器の変奏曲なのに、第1変奏はピアノソロだけ。第8変奏まで、さまざまな曲想が繰り出されて大変楽しめました。

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開演前に務川くんのスピーチ、
アンコール前には、岡本くん、務川くん2人の掛け合いによるコメントがありました。
本日のプログラムは、岡本くんの発案によるところが大、とのこと。
岡本くん、もっともっと弾きたいようで、「また、やりたいねえ~。」。
次の機会にはこの曲も、あの曲も……と、どんどん曲名が出てきていました。

一方、務川くんのほうは「時々なら」と、ちょっと引き気味。
とはいえ、来年はトリオで!と、話は具体化しているようです。
また、12月には、同じ会場でソロ・リサイタルも4回開催予定、とのこと。

今、昇り龍の勢いのお二人、さすがの演奏会でございました。

2022年6月4日(土)13:30開演 15:30終演
@ミューザ川崎シンフォニーホール

ヴァイオリン:神尾真由子
ピアノ:萩原麻未

<プログラム>
  • クリスティアン・シンディング:組曲「古い様式で イ短調 op.10
  • エドヴァルド・グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ短調 op.45
~休憩~
  • エドワード・エルガー:愛のあいさつ
  • フランツ・クライスラー:愛の悲しみ
  • フランツ・クライスラー:中国の太鼓
  • セルゲイ・ラフマニノフ:ヴォカリーズ
  • ニコライ・リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行
  • ジュール・マスネ:タイスの瞑想曲
  • パブロ・デ・サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
アンコール
  • グルック:メロディ
  • サラサーテ:スペイン舞曲集op.23より第2番 サパテアード
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見事なバランス、丁々発止のアンサンブルでした。
会場はほぼ満席。

アンコール前のトークで初めて知りましたが、お二人、同い年なのだとか。
そして、
真由子さんがグイグイ、イケイケ、
麻未さんがおっとり、しっとり、に見えますけれど、
真由子さん曰く
「グダグダになりがちな私を、麻実さんがグイグイひっぱってくれる」
とのこと。

お互いを尊敬しあい、自分を出しつつ、相手も立てて、ともに演奏する音楽を楽しむ
そういう姿、目にも耳にも心地よかったです。

日本生命 presents ピノキオ支援コンサート
オーケストラ・コンサート
2022年05月16日[月]18:30@東京オペラシティコンサートホール

マルタ・アルゲリッチ(Pf)*
チョン・ミン(Cond)
ウィリアム・チキート(Vn)
ミッシャ・マイスキー(Vc)★
東京音楽大学オーケストラ・アカデミー

<プログラム>
  • ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」op.9
  • シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 op.54(pf:アルゲリッチ)
  • シューマン:幻想曲集 op.73(pf:アルゲリッチ&Vc:マイスキー)
  • (デュオ・アンコール)ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ
  • (デュオ・アンコール)ショパン:チェロソナタ 第3楽章。
  • ブラームス:交響曲第1番ハ短調 op.68
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タイトルのとおりです。
アルゲリッチ&マイスキーの神業デュオに、ただただ、息を吞みました。
あふれ出る音楽。
自由に、闊達に、ただただ楽しんでいるだけのようなお二人。
音楽の天国……というか、音楽の魔界から降臨したようなお二人。
まるで前世からともに演奏してきたかのような。
カリスマ性のオーラ、発散しまくり。
感動って、こういうことだったのですね。
ショパンのポロネーズ、まさに圧巻でした。
アンコール2曲も演奏してくださって、もう感激です。会場、すごい熱気でした。

シューマンのピアノ協奏曲も、アルゲリッチならではのリズム感、躍動感で、
1階後方席までクリアに届くパキッとした音色に圧倒されました。
ハンサムな音楽。
そして、まったく無理のない、しれっと当たり前のように演奏する弾き姿にも驚嘆しました。
お見事な脱力ぶり。
なぜあの姿からあんなにクリアな音が生まれるのか、まさにマジック。
汗をかくとか、全身を使うとかとは無縁の世界。
オーケストラの若者たちの方を度々見つめては、煽ったり、慈しんだり、引っ張ったり。

オーケストラは、さすがに若々しく、明るい音色でした。
弦楽器の弾き姿の美しさ、管楽器の見事なテクニックにも驚かされました。

満員の客席には、大物音楽家たちもおられるのだろうな~と思っていましたが、
休憩時間に、指揮者のチョン・ミョンフン氏とすれ違いました。
で、ググってみたら、本日の指揮者チョン・ミン氏はミョンフン氏のご子息と判明。
なるほど~。
彼もこれからが大変に楽しみです。

いやはや、盛沢山なコンサートでした。
白熱したチケット争奪戦を勝ち抜いてくれた妹に感謝!

2022年3月25日(金)19:00開演 20:55終演
@東京文化会館小ホール

チェロ:岡本侑也
ピアノ:河村尚子

<プログラム>
  • ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調
  • ナディア・ブーランジェ:チェロとピアノのための3つの小品
  • プーランク:チェロ・ソナタ FP143
  • ブラームス:チェロ・ソナタ 第2番 ヘ長調 op.99
(アンコール)
  • リリ・ブーランジェ:ノクターン
  • シューマン:献呈
  • ドビュッシー:美しき夕暮れ
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濃密な音楽に身を浸しました。
聴衆も一体化して、集中していました。
全曲、最後の音が消えるまで、フライング拍手皆無の素晴らしさ。
終演後も拍手、鳴りやまず。
「強制終了!」
という感じで会場の照明点灯後も、しばらく続いた拍手でした。👏👏👏👏👏

岡村君の生演奏、今月これで3回目ですが、今までと「桁」が違う感。
「昇華!」とでもいいましょうか。
河村さんのピアノに、ただ、脱帽です。

出だしのピアノの一音目から、度肝を抜かれました。
なんという音の粒の輝き。
なんとも自然な呼吸のルバート。
耳を惹きつけて離さない、生き生きとした音楽。
精霊が降りてきたのが見えたような気がしました。
岡本君と河村さん、同じ呼吸で、音楽に身を任せていました。
出るは、感嘆のため息ばかりなり。

流麗さだけでなく、コケティッシュな楽しさも、そこここに。
そして、抜群のリズム感、拍感。

大進君&小菅さんにひきつづき、すごいデュオを聴いてしまいました。
一生、忘れられないと思います。

2022年3月19日(土)19:00開演
@サントリーホール

樫本大進(ヴァイオリン)
小菅優(ピアノ)

<プログラム>
  • ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 Op.24「春」
  • グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ短調 Op.45
  • モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K.379(373a)
  • フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調

(アンコール)
  • モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタホ短調K304 より 第2楽章テンポ・ディ・メヌエット” 
  • カザルス(カタルーニャ民謡):鳥の歌

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サントリー・ホール、ほぼ満席。
これが”万雷の拍手”というものだ……と五感で実感しました。
この場に居合わせることができた幸せに、ただ感謝。

演奏に対する意志の強さ。
アンサンブルの化学反応と言いたくなるような、深さ。
この二人だからこそ実現可能な、深淵かつ強靭な世界がありました。


ヴァイオリンの音色、それはもう、素晴らしいものでした。

最初の一音からハッとして聴き入りました。

どの曲も素晴らしい響きでしたが、最後のフランク、まさに圧巻。

演奏前の樫本さん、意を決して集中する表情に見えましたが、その気持ちが伝わってきました。

最後のアンコール「鳥の歌」の前に、
現在のヨーロッパで、戦争状態の中で苦しむ子どもたちに捧げたい、との言葉が。
その音楽、心に沁みました。
最初から最後まで、芯の通った、まさに王道・正統派コンサートでした。



ところで、樫本さん、演奏前も演奏後も、
小菅さんに向かって首を傾げたり、話しかけたり、何やら訴えていたような。。。(本当に仲が良さそうなお二人です)。
プログラムに

使用楽器は、株式会社飛鳥(志村晶代表取締役)から貸与された1744年製デル・ジェス「ド・ベリオ」。

との説明がありましたが、この楽器を手にして日が浅い、ということでしょうか?
……と思ってググってみたら、この楽器が日本に入ったのは2021年10月のことのようです(→日本ヴァイオリン)。
もしかすると、今日がこの楽器のお披露目コンサートだったのかもしれませんね。
上記サイトにある「ド・ベリオ」の解説を読むと、この楽器が世界的な名器であることがわかります。

いや、ほんと、聴き手として至福の時間でした。

2022年3月12日(土)13:30開演 15:40終演
@ミューザ川崎シンフォニーホール

チェロ:岡本 侑也
ピアノ:大須賀 恵里

<プログラム>
  • ベートーヴェン:モーツァルト「魔笛」の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲 変ホ長調 WoO46
  • シューマン:幻想小曲集 Op.73
  • 黛敏郎:BUNRAKU-無伴奏チェロのための(チェロ独奏)
  • ポッパー:ハンガリー狂詩曲 Op.68
(休憩)
  • ドビュッシー:チェロ・ソナタ
  • プーランク:チェロ・ソナタ Fp.143
アンコール 
  マスネ:タイスの瞑想曲

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本来は<若き才能の響演>と題して、北村朋幹君との共演だったはずだったコンサート。
北村君が、ウクライナ情勢を受けてドイツから「アメリカ経由で」日本へ帰国する飛行機の機中で、コロナ陽性者の「濃厚接触者」と認定されてしまい、コンサート出演が不可能に。

急遽、ピアニストの代役を引き受けたのが、以前にも岡村君と共演経験のあった大須賀さん(→2018年1月)。
アンコール前のトークによると、
なんと「48時間で」準備をされたそうで、北村君の代役という立場に
「会場から、矢が飛んでくるんじゃないか」
という思いでいらしたそうです。
引き受けてしまったことを後悔された、とも。
大変だ~。
でも、引き受けてくださったおかげでコンサートが成立したわけですから、感謝です。

また、ソリストの岡本君の側も、たった48時間で
プログラム6曲中、4曲を入れ替えて臨むって、すごいことです。

残った2曲(冒頭のベートヴェン、休憩後のドビュッシー)は、
ついこの間(3月7日)、小林海都君との共演で聴いたばかりだったので、大変興味深かったです。

大須賀さんとの共演は、小林君との共演とは、ずいぶんと印象が異なりました。
言ってみれば、
  • 緊張感を伴いつつ、がっちり組み合って創造していく演奏(with小林)
  • ピアノ伴奏に合わせて、歌い上げる演奏(with 大須賀)

私としても、「岡本&北村」という組み合わせを、とっても楽しみにしていただけに、残念でしたが、弦楽器のソロに合わせるピアノという存在について、いろいろと考えるきっかけになりました。
大須賀さん、ピアノ側が主張することはなく、チェロに寄り添おうとなさる演奏でしたが、やはり準備期間が短いと、どうしてもピアノの音量が大きくなりがちですね。
あんなに大きな図体の楽器なわけですし。

一番しっくりとなじんでいたのは、アンコールの「タイスの瞑想曲」でした。
きっと、いろいろな楽器と合わせたことのある、手の内に入られた曲だったのでしょうね。

個人的には、黛敏郎の無伴奏の曲に驚嘆しました。
まるで三味線のような音、初めて聴くような音色が次から次へと降ってきました。
暗譜での堂々たる演奏。惹きつけられました。すごいポテンシャルです。


さて、
次は、河村尚子さんとの共演を聴く予定です。楽しみです。

2021年12月8日(水)19時開演 21時15分終演
@東京芸術劇場

ピアノ:反田恭平
ピアノ:小林愛実

<プログラム>
  • モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調 KV448 第1楽章 アレグロ・コン・スピリート  第2楽章 アンダンテ 第3楽章 モルト・アレグロ)1st:小林 2nd:反田(2台)
  • シューマン:「小さな子供と大きな子供のための12の連弾小品 op.85」より 第3曲「庭園のメロディ」1st:小林 2nd:反田(連弾)
  • ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲 1st:反田 2nd:小林(2台)
  • シューベルト:幻想曲 ヘ短調 op.103 D940 (アレグロ・モルト・モデラート ~ ラルゴ ~ アレグロ・ヴィヴァーチェ ~ テンポ・プリモ)1st:小林 2nd:反田(連弾)
  • ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 op.56b (主題 アンダンテ 第1変奏 アンダンテ・コン・モート 第2変奏 ヴィヴァーチェ 第3変奏 コン・モート 第4変奏 アンダンテ 第5変奏 ポーコ・プレスト 第6変奏 ヴィヴァーチェ 第7変奏 グラツィオーソ 第8変奏 ポーコ・プレスト 終曲 アンダンテ)1st:反田 2nd:小林(2台)
アンコール
  • ショパン「マズルカ34番」反田
  • ショパン「24の前奏曲17番」小林
  • シューマン 連弾小品op.85  より12番「夕べの歌」、3番「庭園のメロディ」1st:小林 2nd:反田(連弾)
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ピアノの音色が、創り上げられる世界が、異次元でした。
さすがは世界2位、4位の二人である、と納得しました。

2台ピアノといえば……のモーツァルト「2台ピアノのためのソナタ」、
連弾といえば……のシューベルト「幻想曲」ですが、
まったく新しい世界でした。
シューベルト、まさに「幻想」の世界でした。

二人の呼吸が「合っている」、指が「よく回る」などという感想を超越して、ただもう、描き出される世界に酔いました。
大きな音量というのは、圧力とともに「響く」ものであって「刺さる」ものではない
鍵盤は「たたく」ものではない
ということを、実感しました。
実に、まろやかな音楽が自然に生まれ出て、流れていました。

シューマン、「子供」という言葉がタイトルに入っているように、音数の少ない曲ですが、甘美なメロディーと和音に、まさにうっとり。
ああ、難易度の低い曲が、こんなに美しく響くのだ……と感動。
シューマンの音作り、すばらしいです。作曲家にも演奏家にも大拍手。
これは初めて聴きました。楽譜を探したくなりました。

ルトスワフスキの曲は、アルゲリッチがルガーノ・フェスティバルで若手(今、調べたら、イタリアのジョルジア・トマッシという女性)と弾いた録音を、一時期愛聴していました。
アルゲリッチの演奏は炎が世界を焼き尽くす……といったイメージでしたが、
反田&小林ペアは、荒々しさよりも、疾走感、躍動感を強く感じました。
演奏者が興奮して突っ走るのではなく、冷静さを失わないコントロール力、端正さも。

ブラームスは、同じ曲の連弾用を抜粋版で弾いたことがあります。
(実はシューベルトも全曲弾いたことあり)
そういう曲は、ことに心に響きます。
変奏曲の、曲ごとの色合いの差も、全体を組み上げる構成力も見事でした。

プログラムも秀逸です。
超メジャー曲、耳新しい曲、2台、連弾、急緩、その組み合わせがなんとも上手。
聴き手を楽しませようという配慮に満ちた選曲だなあと思いました。
あちこち引っ張りだこのお二人、多忙の中、ここまで完成度の高いものを仕上げることにも舌を巻きます。

ソロでショパンを弾くというアンコールは実にうれしいサプライズでした。

会場は満席。
それでも、フライングの拍手や携帯音などに心乱されることはありませんでした。
拍手が鳴りやまない中、
最後の連弾は、客席が明るくなり、非常灯の光もついた中での演奏でした。
予定外のサービスだったのでしょう。

おそらく、忘れられない一夜になることと思います。

イープラスが運営する、リビング・ルーム・カフェでのLIVE。
応援しているヴィオラリスト・田原綾子さんと、ピアニスト・守重結加さんが共演されるということで、初めて足を運びました。
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外食するって、どれぐらいぶりでしょうか。
お茶は何度かしてますが、お食事……それも予約して……となると、コロナ禍後、お初かも。
実は、今年で結婚30周年になるので(よくここまでもったなあ。笑)、その記念も兼ねて
夫も引っ張り出しました。
幸い、特等席を割り当てていただいてました。早い時期に予約を入れてよかった。

11時過ぎに会場入り。
開演12時。終演12:40。
食事しながらの鑑賞です。

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<プログラム>
・シューマン:献呈
・ヴュータン:エレジー
・ヴュータン:ヴィオラ・ソナタより第1楽章
アンコール
・リヒャルト・シュトラウス:Morgen

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プログラムのテーマは「歌曲」。
演奏者ご自身による曲目紹介、わかりやすく、ほんわかと温かいムードで、とてもよかったです。
演奏も極上のものだったことは、言うまでもありません。
田原さんのヴィオラが朗々と歌いあげ、守重さんのピアノが柔らかく支える、という抜群のバランスのアンサンブルでした。
田原さんは淡いピンク、守重さんは淡いグリーンのふんわりとしたドレスで、目にも耳にも麗しいコンサートを堪能。

午後1時には、フロア・クローズとなりました。
さくっと楽しめる休日のコンサートとお食事。
贅沢な時間が過ごせて、大満足でした。

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