PIOピアノ雑記帳

ピアノ、クラシック音楽関連の話題を主とした雑記帳blogです。

カテゴリ:【音楽コンクール】 > ルービンシュタイン国際ピアノコンクール

新年度が始まって、完全に余裕をなくしている私です💦

さて、もう過去の記録の感覚になっていますが、
現地へ飛んでコンクールを取材、鑑賞、実況くださった高坂はる香さん、今もテルアビブにおられるとのこと。審査員の小川典子氏にインタビューした記録が届いていました。



1位のケヴィン・チェン君については、すんなり決まり
2位以下については、投票がばらついたような感じだったのですね。
でも、審査員同士の議論はしなかったのだとか。
  • 1位のチェンさんは、どこか壊れやすそうなものを感じ、
  • 2位のギガシヴィリさんは、どこまで尖っていくのだろうかということを考え、
  • 3位の黒木さんは、人気もあったし、演奏活動のオファーがたくさん来ると思う
といった具合に、とても率直に語られています。
個性派のギガシヴィリさんが認められたのは「他の演奏家とコラボレーション」することが上手く、「共演者を自分の道に引き込んでいく力」があったから、という説明に納得しました。
黒木さんもコラボレーション力が高い、との評価です。

小川氏自身は、アルベルト・フェローさんの音楽に共感されたとのこと。
「最初から最後まで奇をてらうことがなかったのが、最終的にすごく新鮮に映った」
という表現に、審査員という立場の過酷さが表れているなあと思いました。


こういう話を引き出すことができ、かつ、すっと文章で表現できる高坂さんもブラボーです。

優勝:Chen Kevin(カナダ 18歳)
第2位:
Gigashvili Giorgi(ジョージア 21歳)
第3位:
黒木 雪音 Kuroki Yukine(日本 24歳)

ケヴィン君、黒木さんの入賞は確信していました。
キオルギ君の演奏はファイナルの協奏曲しか聴いていないので、コメントできませんが、聴衆の人気がピカイチであることは確認していました。

みなさま、おめでとうございます!

(早朝に上記を確認していたのですが、なんとPCが起動せず、パニック!ばたばたと原因解明に当たっていて、このの間になりました。不具合の原因は静電気が溜まっていたことだったようで、しばらく周辺機器をすべて外して放電したところ、復活しました。ほっ。)



【追記:表彰式を視聴して】
さまざまな受賞のうち、聞き取れたものを。
  • イスラエルの音楽学校5校が選ぶ聴衆賞:4校がギオルギ、1校がケヴィンを選出
  • ジュニア審査員が選ぶ聴衆賞:ギオルギ・ギガシヴィリ
  • 聴衆賞:ギオルギ・ギガシヴィリ

  • 室内楽賞:ギオルギ・ギガシヴィリ
  • 古典協奏曲賞:黒木雪音
ギオルギ君の人気っぷりに改めて驚かされました。
ケヴィン君には、この他にも、何やらのStudy賞も贈呈されていました。


最後に、多くの方々への感謝のスピーチがなされていましたが、
室内楽ラウンドでの共演者名のうち、ホルン奏者のクレジットが抜けていた件の説明も。

なんと、その日にステージに立てるホルン奏者をイスラエル国内では見つけられず
ハンガリーから来てもらうことにしてやっと確保したという事情があったのだそうです。
その理由は、同日にイスラエル・フィルハーモニーのホルン奏者オーディションがあったため。
有力ホルン奏者は全員、そちらのオーディションに出払ったのだとか。
そういう事情もあるのですねえ。
関係者、さぞかし焦ったことでしょう。笑

今後の予定(現地時間で表記)
  • 3/29,30(水・木):グランド・コンチェルト (grand concerto)
  • 3/31(金)11:00 Award ceremony →日本時間17:00 表彰式
       
    12:00 Winners’ Concert, With Israel Camerata  →日本時間18:00 入賞者コンサート

日本時間で今朝午前2時から配信されたグランド・コンチェルトをアーカイブで聴きました。
クラシック・コンチェルトは、Israel Camerata Jerusalem, conductor Avner Bironとの共演だったのに対し、
グランド・コンチェルトは、Israel Philharmonic, conductor Yoel Leviとの共演。
オーケストラの規模も大きくなるんですね。




1人目の Cecino Elia  (イタリア 21歳)
  • チャイコフスキー:Concerto No. 1 in B-flat Minor, Op. 23 - Allegro non troppo e molto maestoso - Andantino semplice - Allegro con fuoco
配信の音量が低く、こもっているように聴こえたのが残念。
わくわく感がちょっと足りないように感じたのは、そのせいかもしれません。


2人目の黒木 雪音 Kuroki Yukine(日本 24歳)
  • リスト:Concerto No. 1 in E-flat Major Allegro maestoso / Quasi adagio / Allegretto vivace. Allegro animato / Allegro marziale animato
国際リストコンクール(オランダのユトレヒト)の優勝者である黒木さん、
堂々とした演奏でした。
ゆったりと歌い上げる冒頭から、熱量高く駆け抜ける最終部まで、メリハリとコントロールが効いていました。
演奏後はブラボーが飛び交い、会場全体でのゆったり手拍子に変わり、何度もステージに呼び出されていました。


3人目のGigashvili Giorgi(ジョージア 21歳)
  • プロコフィエフ:Concerto No. 3 in C Major, Op. 26 - Andante – Allegro - Tema con variazioni - Allegro, ma non troppo
演奏そのものも悪くなかったですが、
演奏後の会場の盛り上がりっぷりの方が、より印象的でした。
スタンディングオベーションの嵐。
Giorgiくん、実は前回(2017年。シモン・ネーリング君優勝)のルービンシュタイン・コンクールにも出場していて、聴衆賞を受賞しているとのこと(高坂はる香さんのツイート情報)。
既にイスラエルにファンの皆様を獲得しているコンテスタントということなんですね。なるほど~。


さて、残る3人ですが、
日本時間では明日午前2時から。
一人目のChen Kevin(カナダ 18歳)君は、エリア君と同じチャイコフスキー1番
二人目のPark Chaeyoung  (韓国 25歳)さんは、キオルギ君とおなじプロコフィエフ3番
最後のFerro Alberto(イタリア 27歳)君は、バルトーク2番を演奏します。
アルベルト君も、ギオルギ君と同じように前回2017年から続けての出場者。
彼に対する会場の拍手が大きい背景にも、こんな事情があるのかもしれません。

今後の予定(現地時間で表記)
  • 3/26,27(日・月):クラシック・コンチェルト
  • 3/28(火):特別コンサート(出演・エフゲニー・キーシン)
  • 3/29,30(水・木):グランド・コンチェルト
  • 3/30(木)夜 結果発表

日本時間で今朝午前2時から配信されたクラシック・コンチェルトをアーカイブで聴きました。



1人目の Cecino Elia  (イタリア 21歳)君は、室内楽と同様、ベートーヴェンを選択。
  • ベートーヴェン:Concerto No. 2 in B-flat Major, Op. 19 - Allegro con brio - Adagio - Rondo: Allegro molto
はにかんだ様子のエリア君。
演奏のほうも、ちょっとおとなし目に聴こえました。
Ferro Alberto(イタリア 27歳)君も同じ曲目です。


2人目の黒木 雪音 Kuroki Yukine(日本 24歳)さんもベートーヴェン。こちらは1番です。
  • ベートーヴェン:Concerto No. 1 in C Major, Op. 15 - Allegro con brio - Adagio - Rondo: Molto allegro
黒木さんは、ソロが入る前(オーケストラの演奏だけ)のときも、笑顔がキュートです。
演奏中はもちろん、オーケストラを聴いている間も、音楽に浸って笑顔が漏れるといった雰囲気。
全体と通して、彼女らしいメリハリの効いた演奏が生きていました。
軽やかな第3楽章は、特にノリノリ。
演奏後はブラボーが飛び交い、なかなか拍手が止みませんでした。
個性に合った選曲もお見事です。
この曲目は、紅一点ならぬ紅二点のもう一人Park Chaeyoung  (韓国 25歳)さんも演奏予定。


3人目のGigashvili Giorgi(ジョージア 21歳)君はモーツァルト。
有名な20番。短調の曲です。
  • モーツァルト:Concerto No. 20 in D Minor, K. 466 - Allegro - Romance - Rondo: Allegro assai
非常に演奏機会の多い曲目でもあり、特に印象深いとは思いませんでした。
1楽章は聴きやすかったのですが、
2楽章のテンポの揺らし方が私にはちょっと不自然に感じられました。
ただ、会場は大いに盛り上がり、ブラボーの声も盛んに飛んでいました。


さて、残る3人ですが、
日本時間では明日午前2時から。
注目のChen Kevin(カナダ 18歳)君が、モーツァルト第27番( in B-flat Major, K. 595)を演奏。
上述したように、パクさん、フェロー君はベートーヴェンの1番、2番です。

ファイナルの日程を再掲。
3/24(金)~3/30(木):ファイナル
  • 3/24,25(金・土):室内楽
  • 3/26,27(日・月):クラシック・コンチェルト
  • 3/28(火):特別コンサート(出演・エフゲニー・キーシン)
  • 3/29,30(水・木):グランド・コンチェルト
  • 3/30(木)夜 結果発表

YouTubeの配信ページには、開始の日本時間も記載されていてありがたい。
室内楽の前半3人、セッション22は20時開始でした。
後で知りましたが、イスラエルで夏時間となり、時差が6時間になったそうです。


1人目の Cecino Elia  (イタリア 21歳)君はベートーヴェンを選択。
  • ベートーヴェン:Trio for Piano, Clarinet and Cello in B-flat Major, Op. 11 - Allegro con brio- Adagio- Tema: Pria ch'io l'impegno. Allegretto (9 Variations)
作品11と、若い時の作品のようですが、大変聴きやすい曲想でした。
あったかい雰囲気で、あまり深刻にならない感じ。
落ち着いて聴いていられました。
さすがの安定感、アンサンブルの力量。
3人目のGigashvili Giorgi(ジョージア 21歳)君も同じ曲目です。


2人目の黒木 雪音 Kuroki Yukine(日本 24歳)さんは、管楽器4本とのアンサンブル。
  • リムスキー=コルサコフ:Quintet in B-flat Major for Piano and Winds - Allegro con brio- Andante- Rondo. Allegretto
クラリネット、ホルン、フルート、バスーン、という編成自体、珍しくて楽しめました。
なんだかポップな曲。
第1楽章、第3楽章の弾むようなノリノリな感じが、黒木さんにぴったり合っていると思いました。
聴衆も大喜び。
もう聴衆を味方につけていますね、黒木さん。
この曲目は、6人目、コンクール百戦錬磨の趣のFerro Alberto(イタリア 27歳)君も演奏予定。


Cecino Elia  くんも、黒木さんも、楽し気に演奏されているのが印象に残りました。
3人目のGigashvili Giorgiくんは、BGMでちょっと聴いただけでしたが、
コメントを見ると、ジョージアの方々に熱烈応援を受けているようですね。


注目のChen Kevin(カナダ 18歳)君、
ファイナリスト発表の際、名前を飛ばされてしまったPark Chaeyoung  (韓国 25歳)さんが、
4人目、5人目と続けて同じブラームスのTrio in A Minor for Piano, Clarinet and Cello, Op.114を演奏するとのことです。

25日のLIVEは、日本時間午後5時開始。
私はLIVE視聴は難しそう。。。


(上記、途中まで書いたところで放置してしまい、アップが遅れました💦)

ファイナリストは次の通りです。
Junior Juryにも選ばれた3人に網掛けを入れました)

一方、Junior Juryの選んだ6人は次の通り。
このうち、Junior Jury賞を受賞したのが、青くマークした
ジュゼッペ・グァレラ君です。

黒木さんとケヴィン君の選出は確信していました。
ブイ君が選出されなかったのがショックです。
どうやら私の感覚は若手審査員の方々に近いようです。
(ブイ君、グァレラ君に、ファイナル進出者には私としては驚いた方も)


<第2次予選の補足>
最終奏者、ターロン・スミス君の「自作曲を弾く!」の宣言動画を見ていたので、聴きました。
彼はこのコンクールをその曲(Op.1)の発表の場としたかったのかなあと感じました。
ショパン的な、あるいはラフマニノフ的な、ロマン派の香りに満ちた魅力的な前奏曲でした。
ただ、「夜のガスパール」が達者ではあったものの、耳を惹きつけられるほどではなかったので、
「自作曲を弾く」という型破りな選曲と併せて、通過は無理かなあと感じました。残念。

第2次予選の2日目、最終演奏者のケヴィン・チェン君をアーカイブで聴きました。
まだ18歳ですが、
昨年、ジュネーヴ国際コンクールで優勝(五十嵐薫子さんが3位)、
2021年にはブタペストのリスト国際でも優勝しているという注目株。
(コンテスタント・ページ「AWARDS & PRIZES」の記載では、上記以外もすべて「1位」です。)

20:30(日本時間 翌03:30)Session19
22 Chen Kevin(カナダ 18歳)スタインウェイ
  • Haydn: Sonata in E Major, Hob.XVI:31
  • Bartók: 3 Études, Op.18, Sz.72
  • Mendelssohn: Variations sérieuses in D Minor, Op.54
  • Chopin: 12 Études, Op.10
アンコール
  • Saint Saens: Etude op. 52 no. 2


気品漂うハイドンから、もう別格感が。
また、プログラミングが上手い!
続くバルトークは、ハイドンとは全く異なる音色、迫りくる迫力で場の空気が一変。
息をのんで聴き入りました。
そこで、ロマン派へと。
「厳格なる変奏曲」はアマチュアでも弾くことのある曲ですが、
こんなにも端正で、こんなにもテクニカルな曲だったのか、と再発見しました。
そして、圧巻のショパンOp.10。
ショパンの練習曲12曲を全曲、コンクールという場で弾くなんて、すごい度胸!
と思ったのですが、度胸云々というレベルを超越しています、ケヴィン君。
音が細かく動く曲では、テンポは速め。
「えっ、大丈夫?」と聴き手側に思わせておいて、
難なく見事に弾き切ってしまう、という効果を狙っている?……とさえ感じました。
聴き手の心臓もバクバク。
そういう流れの中で聴くスローな曲が、また素晴らしく映えるわけです。
音色もきっちりコントロールされていました。
そうか、最後の曲が「革命」で、衝撃的なエンディングを迎えることになるのですね。

さっとアンコールへと向かい、しっとりした曲を演奏するいうのも、なんか玄人です。
お見それいたしました。

第2次予選の2日目、最初のセッションをライブで聴きました。

2023年3月22日(水)

14:00(日本時間21:00) Session 17

14 Stychkina Alexandra(ギリシャ 19歳)スタインウェイ
  • Weber: Piano Sonata No.1 in C major, Op.24
  • Messiaen: From “Vingt regards sur l’enfant-Jesus”: No.6, “Par Lui tout a été fait”
  • Chopin: Waltz in A Minor, Op.34, No.2
  • Liszt: Après une Lecture de Dante. Fantasia quasi Sonata (from Années de pèlerinage II)

黒い長袖に鮮やかな青いロングドレスで、清楚さと華やかさのバランスが絶妙。
長袖って、ピアノでは珍しいかもしれませんね。
19歳らしい若々しさが感じられる衣装で、大きな丸眼鏡ともマッチしていました。
で、音楽のほうも若々しい……というか、まだ少し青いかな、という印象も。
さまざまな曲想が楽しめそうな、魅力的なプロラムだっただけに、
音色の幅ががちょっと足りないというか、一本調子にも感じられました。
あ、耳に馴染みのあるショパンのワルツは、とても美しかったです。
これからに期待。



17 黒木 雪音 Kuroki Yukine(日本 24歳)ファツィオリ
  • Haydn: Sonata in D Major, Hob.XVI:37
  • Mendelssohn-Rachmaninov: Scherzo from “A Midsummer Night’s Dream”
  • Tal-Haim Samnon: Memory and Variations
  • Liszt: Sonata in B Minor, S.178
  • (アンコール)Kapustin:Etude op.40-1

第1次予選と同じようなデザインの色違いドレスで登場(1次予選は薄緑、今回は深紅)。
子供時代にピアノを学習した人なら誰でも知っている、懐かしいソナタからスタート。
こんなにお洒落な、洒脱な曲だったんですねえ。
軽やかな指先のコントロールが実にお上手。
2曲目の「真夏の夜の夢」では、まさに夢見るような世界が描かれました。
いろんな音色を出せる方です。
現代曲は、昨日聴いたお二人と同じ曲目(この曲を選んだ人がほとんど)。
弾き始める前にかなり時間をとっていて、気分の調整、集中が必要なんだなあと思いました。
黒木さんの演奏では、シェエラザードを思い起こしました。
変奏曲の一つ一つが、物語であるように感じられたということでしょうか。
盛り上げ方も自然でありながらスケールが大きくて、演奏時間も短く感じられました。
客席の反応もとても大きかったような。
リストのソナタも、去年ユトレヒトのリスト・コンクールで優勝された実績どおり、お見事な出来。
大きな拍手に応えて、カプースチンのアンコールまで披露。かっこよかったです♪
あっぱれでした。

番外編。

第2次予選開始冒頭、Session14 の最初のアナウンスで、
「Junior Jury(若手審査員)」のセレクションによる16人の名前が発表されていました。
ちょっと興味をひかれたので、メモをとって、実際の審査との比較をしてみました。

実際の審査と同様に選出されたコンテスタント
ちょうど半数の8名が重なっています。
黒木さんも入っていて嬉しい限り。
第2次予選へ余裕で通過した8名ともいえるかもしれません。


そして、
実際には2次へ進めなかったけれども、Junior Juryには選ばれたのが次の8名。
  • 4Zalmanov Tom
  • 6Kim Do Hyun
  • 10 Senik Jonathan
  • 15 Zhu Hanyuan
  • 16 Ayadi Nour
  • 26 古海 行子 Furumi Yasuko
  • 29 Kuznetsov Nikolai
  • 31 Xiong Jiacheng
日本の古海さん、入っています。
私が好感を持った韓国のKim Do Hyun君、モロッコの
Ayadi Nourさんの名前も。
上記の8人がボーダーラインだったと言ってもいいでしょうか。


若手審査員という枠を作るというのも、面白い取り組みだなあと思ったら、
ルービンシュタイン・コンでは2014年からの試みとのことで、私自身、過去の記事で取り上げていました(→2014年5月)。

すぐに忘れてしまう私💦。
上の記録を見返して、当時18歳のスン・ユトン君の第2次の演奏に痺れ、
彼がファイナルに進めなかったことを憤っていたことも思い出しました。



そうそう、さらに思い出しました。
このときの審査結果では、チョ・ソンジン君が3位(→結果)。
一方、Junior Juryは、ソンジン君を優勝者と室内楽賞に選んでいて(→結果発表追記)、
わたくし、
「Juniro Juryの方が、耳が確かだ!」

と思ったのでした。

昨晩は早々に休んでしまい、本日は出勤だっため、記事にするのが遅れましたが、
トップバッターのブイ君はLIVEで、次のセッション最初のグァレーラ君をアーカイブで聴きました。
(個別の動画が上がってきたら、後ほど追加します)。


2023年3月21日(火)

14:00(日本時間21:00)Session14

Bui J J Jun Li  (カナダ 18歳)
  • Tal-Haim Samnon: Memory and Variations
  • Rachmaninov: Humoreske, Op.10, No.5
  • Rachmaninov: Daisies, Op.38, No.3
  • Rachmaninov: Polka de W.R.
  • Chopin: 24 Preludes, Op.28

17:00(日本時間24:00)Session15
Guarrera Giuseppe  (イタリア 31歳)
  • Tal-Haim Samnon: Memory and Variations
  • Chopin: Nocturne in B Major, Op.62, No.1
  • Chopin: Scherzo No.4 in E Major, Op.54
  • Mussorgsky: Pictures at an Exhibition
2023-03-11

ともに、冒頭は同じ課題曲(イスラエルの作曲家3人の曲から選択)。
ブイ君は、シリアスに沈潜していく演奏で、バロックの宗教音楽のよう。
グァレーラ君は、軽やかで、ロマンチックな演奏。
その差が面白かったです。

ブイ君のラフマニノフは、キラキラ輝くような音色が魅力的でした。
心が軽く温かくなるような音楽が奏でられて、幸せな気持ちになりました。
耳に新鮮な曲目でもあり、コンクールであることを忘れて楽しめました。
ショパンの前奏曲、最近、通して弾かれる演奏を度々聴きますが、ブイ君の演奏は王道派。
曲目によって、ガラリを雰囲気を変えながら、しっかりまとめあげていました。
これで18歳って、ちょっと信じられない気分です。


対して、グァレーラ君は31歳。既に大学で教えてもいるようです。
紹介VTRでは「今、東京で撮っている」と言っていて、びっくり。
確かに、既に日本の音楽事務所にも所属しているようです(→PCM
現在、日本語を勉強中とも言っていました。
ガルガル君同様、日本人女性と交際中、なんてこともありえるでしょうか?(余計なお世話
若い頃、イタリアで師事した「シアヴァシュ・ガジェヴ」って、ショパコン2位のガジェヴ君の父上では。

演奏は、大人の貫禄で、コンサートの定番・王道曲を堂々と演奏していました。
さすがの安定感でした。
特に、展覧会の絵には耳が惹きつけられました。
暴力的でない、びしっとコントロールされた演奏って、なかなか聴けないと思います。
(ただ、ショパンのスケルツォではちょっとヒヤッとした箇所があったかも?……ショパン、怖い)

予選通過者は16名です。
審査員の間では何の話し合いも必要なく、投票の数を数えただけで決定したとのこと。
確かに最後のターロン・スミス君の演奏後、1時間程度での発表でした。
YouTube動画を聴いてメモったのですが、幸い、間違いはありませんでした

ブイくん、黒木さん、ホジャイノフくん、ケヴィンくん、スミスくん、通過です。
(記事にする時間がありませんでしたが、当然ながら、ケヴィンくんとスミスくんは見事でした。ケヴィンくんは冒頭に課題曲の現代曲を暗譜で弾くという構成でまずびっくり。スミスくんは余裕たっぷりの雰囲気で、アンコールにショパンの「革命」エチュードを弾いていました。)

【追記】(3月21日朝)
昨晩の通過者リストに加筆して、
第2次予選の日時・参加者データへのリンクとともに列挙します。
(→大会ホームページ


2023年3月21日(火)
14:00(日本時間21:00)Session14

17:00(日本時間24:00)Session15
20:30(日本時間 翌03:30)Session16


2023年3月22日(水)
14:00(日本時間21:00)Session17
17:00(日本時間24:00)Session18
20:30(日本時間 翌03:30)Session19


2023年3月23日(木)
11:00(日本時間18:00)Session20
14:00(日本時間21:00)Session21

17th Rubinstein Competition
Stage 1, Session 11
第1次予選の5日目


日曜日、ちょっとバタバタしてLIVEでは全く聴けませんでした。
月曜午後になってから、アーカイブで少しだけ視聴。

古海 行子
 Furumi Yasuko(日本 25歳)スタインウェイ
  • ハイドン:ピアノソナタ ト長調 Hob. XVI:40(Allegro innocente / Presto)
  • リスト:バラード 第2番 S171
  • ショスタコーヴィチ:ソナタ 第1番 op.12
リスト、ショスタコは黒木雪音さんと同一プログラムで、びっくり。
1次、2次の全体で、古典派、ロマン派、イスラエルの作曲家の作品、の3種を含むこと
というゆる~い縛りがあるだけなのに。
ご本人たちは、どう思われたのでしょうか。

古海さん、冒頭から柔らかい表情で演奏しておられました。
音色も温かかったです。
プログラム全体を上手にまとめられたように感じましたが、
ショスタコーヴィチは黒木さんのほうがインパクト度大だったかな、と思いましたが、
わくわくしながらLIVEで聴くのと、アーカイブ視聴ではこちら側の状態も異なるので、はっきりとしたことは言えないかも(自信のない私💦)。

2023-03-11

休憩時間に、Juinor Jury(若手審査員)3人がインタビューを受けていましたが、
イスラエル人の18歳、21歳の学生が、現在兵役中、または兵役後だと自己紹介しているのに驚きました。
音楽の勉強を続けられるような、音楽家向けの兵役プログラムがあるのだそうです。
国によって異なる環境を感じました。
また、前回の優勝者(フアン・ペレス・フロリスタン)が、
「コンクールで勝つ理由の85%は、適切な曲目を選ぶことだ(choosing the right repertoire)」
と答えたそうで、それに対する意見を求められて、カナダの女の子が、
「曲目が演奏者のパーソナリティーと一体化していると、強い印象が残る」
といった答えをしていたことに共感を覚えました。

「審査員として長々とピアノを聴いて、いったい何を得たのか?」という質問への答えも、三者三様で興味深かったです。
  • プログラミングは本当に大切。ピアノの選択も大切。
  • カンタービレ、レガートの語り方はさまざま。深さも違う。
  • 参加者が自分でコントロールできることは少ない。コンクールへの参加は美しい経験であるとともに、コンクールという舞台の一つの部品となることでもある。いろいろなファクターがある。

このインタビュー後(1時間10分頃~)には、過去のアーカイブ動画として、
ソンジン君のモーツァルト「幻想曲」が流れたのは、嬉しいサプライズでした♫
(ここ数年で、ソンジン君はシュッと垢ぬけましたね~。)

ただ、この後、演奏する予定だったショパコン4位のKuszlik Jakubくんが、体調不良により参加辞退となったとのは、とっても残念でした。
順調に回復されますように。

17th Rubinstein Competition
Stage 1, Session 8
第1次予選の4日目

Session 8最初の演奏は、ホジャイノフ君です。
Khozyainov Nikolay(ロシア 30歳)スタインウェイ
  • ショパン:ノクターン 第13番 Op,48-1
  • ショパン:バラード 第4番 Op. 52
  • ドビュッシー:前奏曲集 第2集より 12番「花火」
  • ストラヴィンスキー:ペトルーシュカの3楽章
10代から活躍しているホジャイノフ君、もう30歳なんですね。
ショパンコンクールのときは、奇抜な解釈に聴こえて度肝を抜かれましたが、
今回は、そういうことはなく、ピアノも良く鳴っていて、気持ちよく聴けました。
個人的には、ドビュッシーの花火が一番印象に残りました。
まさに花火が、火花が散っている様子が目に浮かぶよう。お見事。
ストラヴィンスキーは、2曲目のキラキラした感じが素敵でした。全体的に手慣れた印象。
聴衆の反応は、黒木さんのときのほうが熱かったと思います。

17th Rubinstein Competition
Stage 1, Session 7
第1次予選の4日目

最初の演奏者、黒木雪音さんです。

黒木 雪音 Kuroki Yukine(日本 24歳)ファツィオリ
  • リスト:超絶技巧練習曲より 第5番 鬼火
  • リスト:バラード 第2番 S171
  • ベルク:ソナタ op.1
  • ショスタコーヴィチ:ソナタ 第1番 op.12

プログラムを見て、
「わわ、近現代の大曲オンパレード。これはガンガン系の連続で、耳が痛くなる?」
と懸念しましたが、杞憂でした。
鬼火を、可愛らしい笑顔を浮かべて楽し気に弾き切ってしまうところから、びっくり。
リストのバラード、ベルクのソナタは、ロマンティシズムたっぷり。
こんなに美しい曲だったんだ、と新たな発見でした。
第4曲目ショスタコーヴィチの迫力と不気味さは圧倒的。聴いていて心拍数が上がりました。
観客も一曲ごとに拍手。
演奏後の拍手は「全体での手拍子」と化し、なかなか止みませんでした。
安定のテクニックで、いろいろな音色、雰囲気が楽しめる、黒木さんの面目躍如の演奏だったと思います。

17th Rubinstein Competition
Stage 1, Session 6
第1次予選の3日目

今日はちょっと時間がとれず、
セッション6の最終演奏者のみ聴きました。


AYADI Nour(モロッコ 24歳)スタインウェイ
  • ラモ―:やさしい訴え(ロンド―)、ソローニュのお人よし
  • ドビュッシー:3つの前奏曲(カノープ、アナカプリの丘、ヒースの茂る荒地)
  • リスト:ソナタ風幻想曲 ダンテを読んで


性格の異なる3曲を丁寧に、端正に弾きこなしていました。
体幹がしっかりしている弾き姿も好感度大!
いい演奏が聴けて、うれしかったです。
ぜひ第2次予選でも聴きたい。
ツートン・カラーのドレスもスタイリッシュでした。
白黒のバランス絶妙で、裾の長さが前後で異なるというお洒落なデザイン。
お気に入りのコンテスタント発見♪という気分です。


2023-03-11

17th Rubinstein Competition
Stage 1, Session 3
第1次予選の二日目前半をライブで聴きました(現地時間14時~、日本時間21時~)。


(追記3/18:個人別に切り分けた動画がアップされたら、追加します)

KIM Do-Hyun(韓国 28歳)
  • ベートーヴェン:ピアノソナタ第18番 op.31-3
  • ストラヴィンスキー:ペトルーシュカより3楽章 


Sherling Mariamna
(イスラエル 21歳)
  • ベートーヴェン:ピアノソナタ第16番 op.31-1
  • スクリャービン:3つのマズルカ
  • ラヴェル:「鏡」より 道化師の朝の歌


KIM Do-Hyun氏(ピアノはファツィオリ)、
とっても生き生きとしたベートーヴェンでした。
それはそれは楽しそうな様子で、惹きつける力のある演奏。
只者ではないオーラを発していて、ググってみたところ、2021年のブゾーニ・コンクール第2位の実績の方でした。
ペトルーシュカも、リズミカルで、メリハリの利いた演奏。まさに舞曲でした。
きのうの1番手の方の演奏より洗練されていると思いました。
お見事。


その後、休憩が入り、芸術とは、音楽教育とは、というインタビュー(フルート奏者と紹介されていた方)と、過去のコンクール映像から、カティア・ブニアティシビリの演奏が流れました。


Sherling Mariamnaさん(ピアノはスタインウェイ)は、真摯な演奏。
派手ではない曲目を丁寧に、きちんと性格の差を出して奏でていて、音楽に説得力がありました。
音の粒立ちが美しい。
黒い長そでブラウスに、黒いパンツというシックな衣装。
彼女の演奏も是非もっと聴いてみたいです。


素晴らしい演奏が続いていて、レベルの高いコンクールであることを実感しています。

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