PIOピアノ雑記帳

ピアノ、クラシック音楽関連の話題を主とした雑記帳blogです。

カテゴリ:【音楽以外の芸術ジャンル】 > 映画

映画の話題連投となりますが、
「もう最高♪」とのウワサを聞いて、Amazon Primeで視聴しました。
へえ、ジャズのアニメ映画なんだ、というだけの前提知識で。

迫力の演奏シーンがてんこ盛りで、びっくりしました。
音楽そのものを聴かせたい!という熱意に満ちた映画です。
終始、圧倒されているうちに終わってしまった、という印象です。
確かに、熱量の高さたるや、特筆ものでした。

テナー・サックスを始めて3年目ながら、大物ぶりが顕著なサックス奏者の宮本大、
4歳からピアノを始め、現状のJazz界に飽き足らないというピアニストの沢辺雪祈、
上京した大に触発され、大学入学後にドラムを始めた初心者ドラマーの玉田俊二。
若者3名が18歳で組んだジャズバンド「Jass」の活躍(2年間かな?)を描く作品。

以前から、漫画として評判を博していた作品なのだそうですね。
音楽をメインに据えて扱う作品、映画界でもTVドラマ界でも、増えてきている気がします。

音楽&ピアノ演奏は、ピアニスト・上原ひろみが担当しているとのこと。
本格的な演奏になるわけです。
YouTubeで見つけた紹介動画を貼っておきます。

 

昨日の昼間、久々に映画を見てきました。
「IMAX」なるものも初体験。身体にズンズン感じる振動付きの音響、
なるほど、「+500円」の価値があるかも、です。
あ、伊福部昭さんの「ゴジラのテーマ」がズンズン響いてきたことは言うまでもありません!

映画選択は夫によるもので、私はただくっついて行っただけ💦
主役ペアが、NHK朝ドラ「らんまん」牧野夫婦と同じ俳優さんで、びっくりしました。

昨年11月に既に公開済みの映画ですが、
アカデミー視覚効果賞を受賞したことで、改めて注目されているようですね。
制作上の新機軸は、メイキング動画で解説されていました(先ほど発見)。
なるほど。納得。

ウクライナやガザ地区で戦闘状態が続く今、
太平洋戦争末期~GHQ占領期(米露緊張時代)の日本を舞台に
特攻隊の生き残りを主人公に据えて、ゴジラを描く、という設定に、制作側の意気込みを感じました。
エンドロールに出てくる名前の多さ(協力機関の多さ)にも圧倒されました。

ただ、ゴジラについて全く詳しくない私にとっては、
ゴジラの襲来が何を意味するのか、ゴジラ自身が何を求めて動いているのか、その辺が伝わってこなかったのが、なんだか釈然としませんでした。
原子力利用とのリンクは、もはや絶対的前提であるとしても、戦時中(いや戦前から?)度々小さな島を襲っていたのは一体なぜなんでしょうか。

ゴジラは死に絶えたわけではない……ということを仄めかすラストというのも、きっとお約束なんでしょうね。

「うわあああ……」と画面に惹きつけられ、上映時間中たっぷり集中できる
という意味で、いい映画でありました。

5月5日から公開が始まり、もう公開終了となった映画館も多々。
滑り込みで見てきました。
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2時間以上の長編でしたが、長さは感じませんでした。
宮沢賢治という若者が生きた時代、関わった場所(花巻・東京)の雰囲気をよく伝えていると感じました。
役所広司(賢治の父・政次郎)、菅田将暉(賢治)、森七菜(賢治の妹・トシ)、上手いです。

男性俳優の二人はよく知っていますが、森七菜さんて、どんな人?
と、いまググってみたところ、朝ドラ「エール」で、主人公である音の妹・梅(黒メガネをかけて小説家を目指した末っ子)を演じていた俳優さんと判明。
いやはや、黒メガネの威力ってすごいですね。同一人物とは、まったく気づきませんでした。

しまった!
この映画、留学生にも紹介しておくべきであったと、ただいま臍を噛んでおります。
大正時代の雰囲気など、実感できたはずではないかと。
ごくわずかの映画館で6月22日(木)まで上映中とのこと。間に合うかなあ。

金曜日。
映画館入館時は真夏のような炎天下。
終わって出てきたら、さわやかな風が吹いていました。
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2023-06-08

ベルリン・フィルの常任指揮者に就任した女性マエストロのストーリー
というのに興味を覚えて行ってきました。

でも、思ったようなストーリーとはまるで異なるものでした。
最初のシーンが、既に就任後7年間(だったかな?)を経て、マーラーの交響曲全曲録音を終えようとしている音楽界の帝王(女帝?)としてインタビューを受けているというシーン。

指揮者としてだけでなく、現代音楽の作曲家として、
オーケストラ団員の人事を担う責任者として、
音楽大学で授業を受け持つ教育者として、
さらに、コンサート・マスター(ミストレス)とともに幼女を育てている家庭人として、
八面六臂の大活躍をする日常が描かれます。

でも、その采配ぶりは、けっして公平なものとはいえず……
主人公を女性として描く意味があるのか?という気もしました。

ストーリーの本筋は、彼女(リディア・ター)の「身から出た錆」がもとで、
精神的に不安定になり、ステージ上で奇行に走るに至る、というもの。
その後、西欧での活躍の場が得られなくなり、おそらくは東南アジアへ。
最後のコンサート・シーンにはびっくり仰天!
今の世の中がこのまま進展していくと、ああいうコンサートになるのでしょうか。
いや、既に行われているのかも?

女性指揮者、という触れ込みは、仮の姿。
権力を手中にした者への警鐘と、
コンサートという芸術が今後辿る道を、皮肉たっぷりに描いた作、といったところかと思います。

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仕事帰りに駆けつけた、初めての映画館。
外に出たら、雨模様でした。

実は、昨日見た映画です。
本日から仕事が本格始動。
昨日の帰宅後から「ねじり鉢巻きで準備」状態となり、映画について書き記す余裕がありませんでした。

映画「生きる Living」
黒澤明監督の古い映画をリメイクしたイギリス映画で、脚本はカズオイシグロ。

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うまいな、カズオイシグロ。
最初は、お役所で働き始める若者の「first day」という視点から、
官僚主義が、ことなかれ主義が幅を利かせるお役所仕事を描いておいて、
徐々に、話の中心は市民課のトップを務める老紳士へと移っていきます。

余命宣告を受けたというのに、
同居する息子夫婦に話を切り出すこともできず、
仕事に行く気力も失って、無断欠勤を繰り返した末に
彼が最後のミッションとして選び出し、取り組んだものは、、、

お堅い紳士の見本のような彼が、
バーで酔っ払ってリクエストし、歌い出すのが、スコットランド民謡。
人生の最後に、一人でブランコを漕ぎながら歌ったのも同じ曲。
この音楽が効いています。

突如、場面がお葬式シーンになってしまった後で、
彼の最後の奔走ぶりが描かれ、
彼をしのぶ人々の姿を丁寧に追っていく
という進行が、心に沁みました。

ちょっとした皮肉や警句があちこちに仕組まれているのも、粋でした。
おすすめです。

還暦を越えて、映画が安く見られる!ということで、
思い立って、中国映画をば。
中国語の原題「隠入塵煙」、英語版タイトルは「Return to Dust」。

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中国西北地方の農村だという舞台の映像が美しくて、心に残りました。
主人公のヨウティエ(有鉄)は、極貧の農民で、辛い農作業に明け暮れているのですけれど。

厄介払いの結果のような見合いが設定され、彼と結婚することになったのが、
脚に障害を持ち、度々お漏らしもしてしまうクイイン(貴英)。
お互いに口もきけないような間柄だった二人が、次第に心を通わせるようになり……というストーリーです。

ヨウティエの力仕事っぷりが、あまりにも堂に入っていて驚嘆したのですが、
俳優というよりも、実生活では農民をしているとのこと(監督の叔父さんだそうです)で、納得。

小麦づくり(畑の整備、種まき、収穫、運搬、脱穀、袋詰め、商品運搬、売却すべて)、
同様に、巨大トウモロコシ、ジャガイモも手掛け、
同時に、地元の土からレンガを作り、材木とともに組み立てて、自分で家を建ててしまう。
スーパーマンか!
と思いました。

それなのに、極貧。
農作業にプラスして、村の有力者の私用のためにアゴでこき使われます。
病気療養中の有力者を助けるための献血まで、何度も強要されるのです。
普通の人は車(有力者はBMW)を使うのに、ヨウティエは、ロバとリヤカー(荷車)。
風呂がわりにヨウティエ、クイインが水浴びをしている用水路(?)を、走り去る車のライトが照らします。
2011年の時点で、こういう生活だったのかと衝撃でした。

でも、二人で協力して収穫で実を上げ、卵を産む鶏や、豚も飼うようになり、
生活基盤が固まってきて、将来の夢も語り合うようになった二人。
ところが、この幸せは続きません。

「極貧の家を取り壊すための補助金を出す」
「貧しい者を対象に近代的な家を支給する」
という政府の方針が、二人の周囲の有力者を動かすことになるのです。
さらに、追い打ちをかける出来事が……。

「えっ、これで終わり?」という結末でした。

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中国政府、よくこの映画にGOサインを出したな~という気もします。
そういえば、
映画の最初に出る「配給会社」のクレジット画面、次から次へとすごい数にのぼりました。
どういう背景があるのでしょうか。

人間の幸せとは? 政治の役割とは? 今後の世界の目指す方向は? などなど、
見終えてから、いろいろ考えさせられています。

水曜日のお仕事が一段落したので、久々に映画館へ。
モリコーネの映画なら、きっと音楽も堪能できるに相違ない、という単純な動機です。

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完全なるドキュメンタリーでした。
モリコーネ氏ご自身による談話(インタビュー)記録がてんこ盛りです。
特に冒頭からしばらくは、ほぼ談話のオンパレード。

父親がトランぺッターで、音楽に親しむ家庭に育ったこと、
ローマの音楽院で現代音楽の作曲家・ペトラッシに師事し、モリコーネ自身、実は現代音楽を手掛けてていこうとしていたこと、
師弟関係がぎくしゃくしたとの噂もあるが、実は良好だったと考えうること、等々、
周囲の人々の証言も多々挿入され、ひたすら語られていきます。

映画音楽を手掛けるようになった、というあたりから
日ごろの疲れが出て、わたくし、記憶を失っていた時間帯も。💦

でも、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」あたりから覚醒。
カラフルな映画の場面、音楽も多々登場するようになり、引き込まれました。
いやあ、やはり、いいです♪ 彼の音楽💚
「ニュー・シネマ・パラダイス」
「ミッション」(音楽「ガブリエルのオーボエ」)
「海の上のピアニスト」
などなど。

オスカー(アカデミー賞)に6度もノミネートされながら、受賞できず。
坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」は、モリコーネの「アンタッチャブル」を抑えての受賞だったのですね。
2007年になって、やっとアカデミー賞の名誉賞を、
2016年に『ヘイトフル・エイト』の音楽で第88回アカデミー賞 作曲賞を受賞。

印象に残ったエピソード。
「ニュー・シネマ・パラダイス」の監督は、当時、駆け出しの若者。
その監督が、「既に実力者として名を挙げていたモリコーネ氏が全く偉ぶらず、映画を評価して対等に接してくれたことが忘れられない」と語っていました。
そんなモリコーネ氏ですが、ご本人はずっと「映画音楽は、あと10年で辞める」と言い続けていて、そう言わなくなったのは2000年代に入ってから。
2001年の9.11事件の鎮魂曲も含め、本格的なオーケストラ作品も何作も作曲されていたことも、知りませんでした。

数多くの実力者ミュージシャンが、モリコーネ氏から影響を受けた、受けている、ということを熱く語っていました。
確かに、これほどの影響力を持つ音楽家、他にはいないかもしれません。
映画館で見ていたときよりも、帰宅して落ち着いてから、じわっと感動してしまう……そんな映画です。

教え子や友人に勧められて、観てきました。

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いやあ、よくできたエンターテイメント。
公開からずいぶん日にちが経っているにもかかわらず、結構な人が入っていました(割引の利くサービステイだったせいもあると思います)。
夏休みに入ったと思われる、高校生ぐらいの若い世代の観客の姿も。

前作の本家「トップガン」も映画館で見たはずの私。
今回、a〇〇zonのプライム特典で、改めて見直してから行きましたよ。
1986年公開……36年も経ってたって、もうびっくりです。
トム・クルーズ、頑張ってますねえ(実はワタクシ、同い年)。

前作の肝となっていた、グースの死ですが、
今回の作では、その息子との関係がテーマの一つに。
しかし、親子の世代差にはとても見えませんでした。

ずっと画面にくぎ付け、ずっと手に汗握る展開、あっという間に2時間経過。
特撮技術のレベルアップ度、実感しました。
憂さ晴らしというか、異次元世界にトリップしてみたいときにおすすめです。

本年度、最後の授業が午前で終わったので、
そのまま「一人打ち上げ」と称して、映画を見てきました。

「ドライブマイカー」で話題となっている濱口竜介監督の映画
『偶然と想像』。
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まさに、このタイトルどおりの展開を見せる短編映画を3つ並べた形。
  • 第一話「魔法(よりもっと不確か)」タクシーの中での女友だち同士の恋バナが、思わぬ展開に……。
  • 第二話「扉は開けたままで」大学の研究室の扉。大学4年の既婚者である女子学生が、不倫相手の男子学生の企みで……という事件の5年後、今後は偶然にもバスの中で……。
  • 第三話「もう一度」高校時代の同窓会に出席するため、仙台に帰郷した40代女性が、偶然にも「最も会いたかった女友だち」にエスカレーターですれ違い……。
よくできた映画でした。
と同時に、音楽が気になって、気になって。
シューマンのピアノ曲が3曲使われています。
「子どもの情景」より、第1曲「見知らぬ国」、第7曲「トロイメライ」、
「森の情景」より、第1曲「森の入口」。

予告編にも使われていました。


で、この「見知らぬ国」の演奏、ちょっと付点のリズムが甘くないですか?
ぶっちゃけ、リズムが間違ってませんか?……もう気になってしまって。
他の箇所では、正しいリズムの演奏もあっただけに、余計に。

シューマンのこの曲を採用した理由について、濱口監督は、

「シューマンのピアノ曲はシンプルで優しく、どこか不安。この音楽をかけると、感情のうねりをフラットにすることができる、感情をなだめてくれる、見るための準備をしてくれる」

と語っているそうです。(出典:東京フィルメックス
そういう「フラット感」を出すために、わざと、リズムの甘い演奏を採用した、ってことでしょうか。
何か、他の意図があるというご意見の方、お教えいただけると嬉しゅうございます。


【追記(3月6日)】
友人が見に行って、エンドロールの「ピアニスト」を確認してくれました。感謝!
その結果、ピアノの演奏は「菊池葉月」さん~濱口監督撮影の映画「ハッピーアワー」に出演されている女優さん~とわかりました。

パレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを編成し、
平和を祈ってコンサートを開く
……そんな筋と聞いて観たくなり、有楽町まで。
映画館に足を運ぶのは、昨年9月の『ドライブ・マイ・カー』以来。

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指揮者は、バレンボイムとはかなり異なる性格でした。
俺様オーラなし。穏やかです。

そして、ええと、音楽映画とは言えない気がしました。
出てきた曲目が、
  • バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ(オーディションのための練習風景)
  • ドヴォルザーク:管楽セレナード(管楽器の実力を見せる設定)
  • パッヘルベル:カノン(最初の合わせ練習)
  • ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」第2楽章
  • ヴィヴァルディ:「四季」より冬(「互いの音が聴けるようになってきた」曲)
  • ラヴェル:「ボレロ」(最後のシーン)
いったい、どんなプログラムを予定して練習していたんだろう……と思いました。
3週間の練習で、「和平コンサート」を開催し、多くのテレビ局も取材に来る、という設定だったのですが。。。


印象に残ったのは、やはりパレスチナで暮らす人々の生活の過酷さ。
冒頭の、国境を越える際の苦労には驚かされました。
そして、進路選択の際にも葛藤が。
家族と、音楽の道との間で、引き裂かれそうになる若者の苦しみ。
隔絶
という言葉が胸に浮かびました。


ストーリーは、というと、
核となる恋愛に、私はちょっと共感できず。
でも、南チロルの自然の美は楽しめましたし、
最後の幕切れには、説得力があったかなあ。。。
私には、
映画の前半、オーケストラの始動時の方がインパクト大でした。

映画館で映画を見るなんて、何年ぶり?……と思って調べてみたら、
『蜜蜂と遠雷』以来、でした。
2年ぶりです。
連続して邦画を見てるんだ、っていうことにもびっくり。


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3時間近くかかる大長編ですが、
そんな長さは感じませんでした。
カンヌ国際映画祭で「脚本賞」をとっている、ということに納得。
ストーリーの流れが自然でありながら、伏線がたくさん。凝ってます。

まずもって、
映画のタイトルが出てくるまでが「序論」だったんですが、
これが「本論」だと信じてました。途中までは。
で、あとになればなるほど、この「序論」の持つ意味が深まっていく。。。

劇中劇がチェーホフ「ワーニャおじさん」。
しかも、日本語、中国語、韓国語、それから、モンゴル語??
のセリフが飛び交うという設定。

東京
広島
北海道

という場所の移動も、なかなか効果的です。


で、原作・村上春樹ということもあるのか、
「あとは、見た方々が自分で意味づけ、解釈してみてね」
と言われているような箇所が、ちょいちょい。
最後の場面もそう。

へ?
なぜ彼女が、あんな場所に?
何やってるの?
なぜ、あの車に?
あの犬は、どこから?

村上春樹の原作は、短編だったはず。
どこまでが原作で、どこからが脚色なのか。

ちゃんと原作、読んでみたいな。村上春樹も、チェーホフも。
と、思いました。

今回のショパン研究所の配信ドキュメンタリーは、
『The Breath of the Orchestra』

2013年の「第9回ショパンと彼のヨーロッパ」国際音楽祭の折に演奏した
The Orchestra of the 18th Century(18世紀オーケストラ)
を取材したもの。
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古楽に疎くて全然知らなかったのですが、有名なオケなのですね。
世界的な演奏者が1年のうち、わずかな期間だけ活動するもので、
このオケを率いる指揮者
Frans Brüggen(フランス・ブリュッヘン)
に対する楽団員の信頼の厚いことと言ったら、それはもう!
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楽団員みなが18世紀の古楽器を携えているこのオーケストラが、
ショパンの音楽祭に招かれ、ショパンを演奏する、ということになったとき
「えっ?ショパン?嘘っ!」
との反応も多かったとのこと。
でも、Fransは
「その意義は深い。バッハの流れを受けてこそショパンがある」
との立場で、演奏が実現したとのこと。

なるほど。
こういう経緯もあったうえで、
古楽器によるショパンコンクールが始まったんだなあ、と思いました。

あ、このドキュメンタリーのタイトルは
Fransがオケに指示を出す際に、「息」を使うことが多い
それがまた凄い効果を示す、っていうところから来ているようです。

で、出てきたピアニストが、またすごいです。
ダンタイソン、アルゲリッチ、ピリス、ディーナ・ヨッフェ……
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その中に、海老彰子さんも。
海老さん、ショパンの協奏曲を演奏。
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ルバートが素晴らしいとの楽団員からの賞賛を得ていらっしゃいました。
さすがです。

それにしても、8月末ごろに催されている
 Chopin and His Europe International Music Festival
って、そんなに歴史の古いものだったのですね。
去年、ワルシャワを訪ねた際に、初めて気づいた私です。

今年も8月15日~9月1日の予定で組まれているようです。
2020年プログラム
この日程でちゃんと開けるといいですね。
今回もまた、そうそうたるメンバーです。

  • ダン・タイ・ソン、
  • ドミトリー・シシキン、
  • ケイト・リウ、
  • エフゲニ・ボジャノフ、
  • ケヴィン・ケナー
  • ルーカス・ゲニューシャス
  • ニコライ・ルガンスキー
  • エリック・ルー
  • チャールズ・リチャード=アムラン
  • イーヴォ・ポゴレリッチ
  • インゴルフ・ヴンダー
  • シモン・ネーリング
  • ユリアンナ・アヴデーエワ

私が知っているだけでも、こんな感じ。
(カタカナ表記、間違っているかもしれません💦)
Chopin Institute が主催すると、これだけの人達が集まるってことでしょうか。
つくづく、すごいなあ。。。

ポーランドの国立ショパン研究所 (Chopin Institute:略称NIFC)の配信動画、
3月21日(土)は、30分未満のドキュメンタリー動画でした。

In Search of the Sources
「一次資料を探して」
2020-03-23 (2)

要するに、ショパンの自筆譜を研究している学者の調査を追った番組。
  • ウィーン、
  • ロンドン、
  • ワルシャワ、
  • パリ、
と調査して巡り、
  • クラクフ
で学生たちと楽譜分析をしている姿が描かれます。
印象に残ったのは、次のような点
  • 自筆譜をデジタル化する図書館が多いが、デジタル化によって、字の濃淡や色合いの差、細かい書き込みなどが見えなくなってしまう場合が多く、問題。
  • 生のデータに直接当たろうと思っても、ショパンの自筆譜はアメリカ、スウェーデンなど世界各国で所蔵されていて、すべてに目を通すのは至難の業。
  • 19世紀半には、楽譜どおりでなく即興を入れて演奏されていたため、さまざまな楽譜が存在して当然だった。最も正しい楽譜はどれか、という発想がなかった。
  • ショパンは楽譜を書きながら、その場でどんどん発想を変えて作曲し直していく、というスタイルだった。間違いは気にせず、その上から書き足していった。こういう楽譜から「間違い」と「真意」を見極めるのは、とても難しい。
  • ショパンの死後、若いころに彼自身が破棄した楽譜が「最晩年の作」として出版されたこともある。
よく「ショパンの楽譜は自筆譜に当たれ」という意見を聞きますが、なるほど、こういう背景であったか、と納得いたしました。

この作品、
それぞれの町の雰囲気や、BGMとして流れるショパンの音楽が美しくて癒されました。
Tatiana  Shebanova
という方の演奏に惹かれたので、探してみようかな。

番組中の曲目リスト
すべてポーランドの国立ショパン研究所 (Chopin Institute:略称NIFC)の配信動画、
3月21日(土)は、30分未満のドキュメンタリー動画でした。

In Search of the Sources
「一次資料を探して」

要するに、ショパンの自筆譜を研究している学者の調査を追った番組。
ウィーン、
ロンドン、
ワルシャワ、
パリ、
と調査して巡り、
クラクフ
で学生たちと楽譜分析をしている姿が描かれます。
印象に残ったのは、次のような点
自筆譜をデジタル化する図書館が多いが、デジタル化によって、字の濃淡や色合いの差、細かい書き込みなどが見えなくなってしまう場合が多く、問題。
生のデータに直接当たろうと思っても、ショパンの自筆譜はアメリカ、スウェーデンなど世界各国で所蔵されていて、すべてに目を通すのは至難の業。
19世紀半には、楽譜どおりでなく即興を入れて演奏されていたため、さまざまな楽譜が存在して当然だった。最も正しい楽譜はどれか、という発想がなかった。
ショパンは楽譜を書きながら、その場でどんどん発想を変えて作曲し直していく、というスタイルだった。間違いは気にせず、その上から書き足していった。こういう楽譜から「間違い」と「真意」を見極めるのは、とても難しい。
ショパンの死後、若いころに彼自身が破棄した楽譜が「最晩年の作」として出版されたこともある。
よく「ショパンの楽譜は自筆譜に当たれ」という意見を聞きますが、なるほど、こういう背景であったか、と納得いたしました。

この作品、
それぞれの町の雰囲気や、BGMとして流れるショパンの音楽が美しくて癒されました。
Tatiana Shebanova
という方の演奏に惹かれたので、探してみようかな。

番組中の曲目リスト。
2020-03-23 (5)
2020-03-23 (6)
すべてErard(エラール)の古楽器によるもので、
Chopin Instituteから出しているCDに収録された演奏のようです。

covid-19による世界的状況を受け、
Chopin Instituteが、期間限定でドキュメンタリー映画の無料配信を行うそうです。

(以下、Facebookのアカウントよりコピペ)
ポーランドは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、3月15日から14日間自宅隔離が行われています。この特別な時期に国立ショパン研究所はドキュメンタリー映画無料配信を用意しました。映画は毎週水曜日と土曜日に国立ショパン研究所のYouTubeページでご覧いただけます。

リンクは、for PC for iOS   for Android
日本時間では木曜、土曜の午前3時から24時間視聴可能となるようです。
先ほど、視聴したのはこちら
2020-03-19 (19)

アンナ・ガヴリタ & トマシュ・ヴォルスキ監督
第12回「ショパンと彼のヨーロッパ」国際音楽祭(2016年)
ドキュメンタリー映画
@ワルシャワ国立フィルハーモニーホール
2020-03-19 (20)
冒頭に出てきたこの画面、
弾いているのは、どうやら小林愛実さんのようです。

映画は、タイトルどおり2016年8月の音楽祭の模様を追うものですが、
中心となるのは、
  • オペラの準備、リハーサルの様子
  • Iwona Sobotka(ソプラノ)リサイタル(ピアノJanusz  Olejniczak)
2020-03-19 (8)

彼女のソプラノ、とっても美しかったです。
ピアニストのジャヌス氏、ポーランドでは「宝」と呼ばれているようですが(コメントで流れてました)、なるほどの音色でした。
  • Seong-Jin Cho (ピアノ)のチャイコフスキーP協奏曲
2020-03-19 (3)

2020-03-19 (9)

  • Jan Lisiecki (ピアノ)のベートーヴェン(Fantasy for piano, choir and orchestra in C minor, Op. 80)
2020-03-19 (7)

ソンジン君の、リハーサルから本番までの真摯な雰囲気、そして人気の凄さ(終演後、サインと写真撮影を求めて並ぶ人々の熱気に圧倒されます)が印象に残りました。
リシエツキ君の、終始楽し気な雰囲気とは、かなり対照的です。

けれども、こういう大舞台よりも私にヒットしたのは、
  • ピアノレッスンの様子(講師:Tobias Koch 生徒:Tymoteusz Bies)
でした。
2020-03-19 (2)

Tymoteusz Bies君は、生演奏を聴いたことがあるピアニスト。
それも、昨年、ショパンの生家(ジェラゾヴァ・ヴォラ Żelazowa Wola)で!
ということもありますが、
レッスンの内容が、先生のコメントのセンスがピカ一でした。

Agitatoというのは、速く、という意味じゃないよ。
バスを待っているのに、全然来ないときのような。わかる?
君は、もうバスに乗っちゃってるよ。

もっと音をつなげて。
拍は大事だけれども、ソーセージを並べるわけじゃない。

(私は「サバのぶつ切り」と言われたことがあります。表現と食生活、直結してますね)
トロンボーンの「ワォ~ン」という響きをイメージすればいいかな。

涙とほほ笑みの間には、時間が必要だろう?
2020-03-19 (13)
レッスンでは、美術作品に触って、感触の違いを確かめさせたり。
深いです。

今のとは違った演奏を聴かせてみて。リサイタルだと思って。
じゃ、今度はその演奏とはまったく逆の演奏にしてみて。
ううむ。もっと自由になれるかな?
ちょっと座り直して、すぐに弾いて。
そうそう。
その音楽はどこから来る?
そして、どこへ行く?

このやりとり、はじめBies君は、
わからない、頭かな、心かな、などと言っていたのですが、
もう一度弾き直してみてから、先生も納得する答えにたどりつきました。
さあ、答えは何でしょう?(あとで答えをアップしま~す♪)

曲は、ショパン前奏曲Op.28-1。



映画の最後は先生のソロ演奏。

2020-03-19 (18)

指導者のTobias Koch、全然知りませんでした。
ドイツで活躍されているとのことですが、指導が英語で、助かりました。

あ、YouTubeでは、
最初にポーランド語字幕版、
次に英語字幕版がアップされていました。
私は気づかずに、
冒頭からのポーランド語字幕版をChopin Instituteの英語訳コメントを参考にしつつ視聴しましたが、英語版で見ればよかった、と後で思いました。

日本時間、3月20日(金)午前3時までの限定公開のようです。
ご興味のある方はお急ぎください。

帰宅時間が遅くなって、ピアノの音も出せず、
でも、仕事をする気にもなれず、
まさに逃避行動に走ってしまいました。
久しぶりの、〇〇azon  のフリー映画視聴。
2019-12-19
どんな映画なんだか、まったく知らず、
ただ、PCからおススメされたという理由だけでチョイス。
見終わってからよく見たら、
2016年のイギリス映画で、第69回カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞作だったのですね。

タイトルどおり、主人公はダニエル。
心臓病で医者から仕事を止められた初老男性です。
彼が給付金受給の適格者かどうか判断すべく、続々と繰り出される質問からの幕開け。
なんとマニュアルチックな質問の羅列!
そのままでお笑いになってしまいそう。
かつて「ゆりかごから墓場まで」って習った、イギリスの福祉の姿がこれ?
初めは「あるある」なんて軽いノリで見ていたのですが、
重なっていくにつれて、だんだん深刻な、やりきれない気持ちになっていきます。
でも、こういう官僚的マニュアル対応、日本でもいまや日常茶飯事。

個人的な話になりますが、
トラブルを抱えて「相談所」に行くと、そこのマニュアルで対処されて、
その機関にとっての「成果」とカウントされるような結論へと誘導される。
成果にならないと判断されると、ポイと捨てられる。
そんな対応、私もたくさん経験しました。
そんな場所でのアドバイスを真に受けた私がいかにバカだったか、今にしてわかる情けなさ。
痛切に反省したって、あとのまつり。

さて、相談所で酷い扱いをうけたダニエルが、
その直後、義憤に駆られて手助けしたシングルマザーのケイティ一家。
ダニエルの心の広さ、温かさ、その振る舞いの正しさに心打たれます。
彼らのコミュニケーション、まさに人間的。

その末のエンディングには茫然とします。
もちろん、そうなるんじゃないかなあという予感はあったのですけれど。

印象的なシーン、多々ありましたが、
長く闘病した妻を看取ったダニエルが、ケイティ一家とともに妻をしのぶシーンもその一つ。
彼女がラジオから録音したという美しいメロディーに、思わずほろりとなりました。
ラジオに張り付いてカセットテープに録音するなんて、今の若者には想像もつかないでしょうね。

いろんな意味で、
かつてと今……具体的には昭和と令和の時代の差のようなものに心を馳せながら見てしまいました。


さあ、明日の予習をしなくては。
これにて逃避タイム終了。

話題の映画、見てきました。
昨日のレディースデイを利用して。
話題といっても、クラシック音楽ファン以外には、それほどでもない?
シネマコンプレックスの中でも、小さなホールでの上映でした。 
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よくできた映画だな、と思いました。
天才少年、風間塵が主人公だった原作の設定を
映画では栄伝亜夜をメインに据える形に変えたことは、感情移入のしやすさで成功ましたし、
何と言っても「春と修羅」を実際の音楽で演奏したことが、圧倒的なリアリティを与えていました。
俳優陣も、原作のイメージをよく伝えていたと思います。 

原作者の恩田陸さんも指摘するように、
あの膨大な量のストーリーを、破綻なく90分程度にまとめること自体、大きなチャレンジだったかと。
 →映画『蜜蜂と遠雷』原作者 恩田陸インタビュー

本選でプロコフィエフの第3番コンチェルトを弾く栄伝亜夜の弾き姿を見て、
アリス紗良・オットをイメージしたのは、私だけかな?

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