PIOピアノ雑記帳

ピアノ、クラシック音楽関連の話題を主とした雑記帳blogです。

カテゴリ: 【音楽コンクール】

次の3名のみLIVEで聴きました。
時間はポーランド現地時間。日本は7時間進んでいます。

10.40 – 11.20
CHAOJUN YANG (China)
  • Johann Sebastian Bach [Erard, 1838] Prelude and Fugue in A minor, BWV 865 (DWK I)
  • Wolfgang Amadeus Mozart [Buchholtz, 1825 (copy from 2017)] Rondo in A minor, K. 511
  • Fryderyk Chopin [Erard, 1838] Polonaise in D minor (WN 11)
  • Karol Kurpiński [Erard, 1838]  Polonaise in G minor
  • Fryderyk Chopin [Erard, 1838] Barcarolle in F sharp major, Op. 60

11.20 – 12.00
ANDRZEJ WIERCIŃSKI (Poland)
  • Johann Sebastian Bach [Pleyel, 1842] Prelude and Fugue in D major, BWV 850 (DWK I)
  • Wolfgang Amadeus Mozart [Buchholtz, 1825 (copy from 2017)] Rondo in A minor, K. 511
  • Karol Kurpiński [Buchholtz, 1825 (copy from 2017)] Polonaise in D minor
  • Fryderyk Chopin [Graf, 1835] Polonaise in B flat minor (WN 10)
  •         [Pleyel, 1842] Ballade in F minor, Op. 52
13.50 – 14.30
ALICE BACCALINI (Italy)
  • Johann Sebastian Bach [Pleyel, 1842] Prelude and Fugue in A minor, BWV 889 (DWK II)
  • Wolfgang Amadeus Mozart [Graf, 1835]  Rondo in A minor, K. 511
  • Maria Szymanowska [Buchholtz, 1825 (copy from 2017)] Polonaise in F minor
  • Fryderyk Chopin [Buchholtz, 1825 (copy from 2017)]  Polonaise in F minor (WN 12)
  •         [Pleyel, 1842] Ballade in F minor, Op. 52
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まず、楽器によって音色が異なることがよくわかります。
そして、やはり2つの楽器より、3種の楽器で弾き分けたほうがバリエーションに富み、耳が惹きつけられるように感じます。

最初に聴いた(本日の演奏順としては2人目)ヤン嬢、ほとんどミスタッチもなく、とても端正な演奏でした。
初めて聴くコンテスタントとして、「上手いなあ~」と感心するばかり。
ただ、楽器をほとんど変えていなかったので、楽器選択法も審査されるとなると、どうなのかなあ……という気もしました。

2人目(演奏順としては3人目)のヴィルチンスキさんは、2021年ショパコンのセミファイナリスト。
実は私、ポーランドのワジェンキ公園で彼の生演奏を聴いたというご縁があり(→2019年8月11日)、なんだか身内意識のようなものを感じるのですが、冒頭のバッハで音が濁る箇所が耳につき、ドキッとしました。後半になるにつれて、よくなっていったと思いますが、やはり、冒頭部の印象って、強く残るように思います。

午前の部最後(6人目)のバッカリーニさんは、YouTube視聴者のコメントによると、ピリオド楽器の専門家とのこと。
コメントの説明を見ると、腕全体の重みを使って弾くのがモダン・ピアノで、指だけで弾きこなすのがピリオド楽器なのだそうです。ほおお~。
たしかに、音量というか、エネルギーの厚みの幅が広かったように聞こえました。
特に、モーツァルトの「ロンド」は3人共通の曲目だったのですが、前の二人の演奏は、さらさら流れる可愛らしい曲というイメージだったのに対し、バッカリーニさんの演奏では、ただ可愛いだけではなく、ためらい、ため息、といったものを感じました。
ショパンの曲も、自由自在に弾きこなしているという印象が強かったです(私の耳が、コメントに影響されたのかも?)。


古楽器の音色って、耳に痛くなくて、長時間聴いても疲れなくていいですね。

2023年10月5日(水)ポーランド時間19時開演
@ワルシャワ フィルハーモニック コンサートホール

ピアノ
  • 川口成彦 
  • トマス・リッテル 
  • マルタ・アルゲリッチ
楽器
  • 川口&リッテル:1819年グラーフのマクナルティ制作によるレプリカ
  • アルゲリッチ:1858年製のエラール。
<プログラム>
  • 藤倉大:フォルテピアノのための"Bridging Realms" 川口
  • ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 Op.37 リッテル
  • (ソリスト・アンコール)シューベルト=リスト:白鳥の歌より 第12曲 影法師(ドッペルゲンガー)
(休憩・ピアノ入れ替え)
  • ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 Op.15 アルゲリッチ


川口さんのソロは、今回のコンクールのために作曲された新曲で、響きが美しかったです。
おそらく、世界初演になるのでしょうか?
リッテル君のベートーヴェンは若々しく、推進力たっぷり。
アンコールでは一転して沈潜の世界を披露。

アルゲリッチは、まさに音楽のミューズと化していました。
実は、つい先日、ラジオ放送で聴いた今年1月の演奏がちょっと不調に聴こえて心配していたのですが、今回のベートーヴェンで見事に不安払拭!
会場全員がスタンディング・オベーション、、という盛り上がりでした。
(実際のコンサートでは、ブルース・リウも演奏したようですが、彼の演奏は配信ナシ)


(下記画像は、ショパン研究所Facebookからお借りしたリハーサル風景)
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ピアノ入れ替えは、ステージ上の一部がエレベーターのように上下するんですね。
今までもそうだったのでしょうか?

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↑前半のピアノGraf Vienna 1819 (2007)が、ステージ上から下がっていく様子

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↑下から、後半のピアノErard Paris 1858が、せりあがってくる様子

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ピアノのセット完了


さて、いよいよ第2回コンクールの開幕です。
コンテスタントの演奏は、すべてWeb配信されるとのこと。楽しみです。
コンクールのスケジュール

審査員である
クラウディオ・ソアレス先生のコメント
に大共感!

最近の若い人たちがアクロバティックな演奏に興味を持ちすぎているように思います。
審査のために何時間も聴いていると、だんだんと疲れてくるのです。
伝わってくるものがない。

とにかく早ければ、うるさければ、無事にミスなく終われば、ではなく、もう少し内向的な演奏をして欲しい。その点、鈴木さんは、そういった内容があったこと、また楽器を繊細に扱おうとしたことが結果につながったのだと思います。

今回、飛び飛びに聴いたセミファイナルで、
コンクール云々を意識せずとも引き込まれたのが、鈴木さんの演奏でした。
シューベルト、いいな♪ と、深く心に沁みました。
他のコンテスタントの演奏には、
「こういう意図で、勝ちをもぎ取りに行くんだな」
といった感想を持ったのですが。
(反田恭平くんが戦略的にショパコンに挑んで結果を出して話題になったことを、私が意識しすぎているかも?💦)

ファイナルのコンチェルトについても、似たような感想を持ちました。
オーケストラに埋もれずにピアノの音色が輝いて聴こえるのは、古典派のベートーヴェンならではなのかもしれませんが(2年連続同一曲でのグランプリ🏆と話題になってますね)
技巧、戦略よりも、その人の持つ世界観が大切
という方向性、私は好ましい流れだと思います☺️


先ほど,発表されていました。
ファイナルの演奏順に、協奏曲の曲とともに書きます。

①   嘉屋 翔太    サン=サーンス2番 
②   神原 雅治 ラフマニノフ2番
③   鈴木 愛美 ベートーヴェン4番
④   三井 柚乃    ラフマニノフ2番

おめでとうございます🎊  
ファイナルは8月21日@サントリーホールです。

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1人目~5人目まで視聴いたしました。
仕事しながら、家事しながら、ながら聴きになった箇所も、
途中端折った箇所も多々あるのですが、
そんな中で、個人的に印象に残ったのは、

No.1のベートーヴェン、
No.4の新曲(片山柊)、
No.5のシューベルト。

このお三方については、割と集中して聴けた、ということもあります。
プログラミングにも個性が表れていて、いいな♪と思いました。

新曲は難解な現代曲でした。
楽譜を手にして2週間でのステージ発表とのこと。
皆さま凄すぎます。

残念ながら、残る2名はLIVE視聴が無理なので、可能であればアーカイブで後ほど。


No.1 山田 ありあ
  • ベートーヴェン:ピアノソナタ第30番 ホ長調 Op.109
  • 片山柊:内なる眼~ピアノのための~
  • デュティユー/ピアノソナタ 第3楽章 「コラールと変奏」
  • シマノフスキ/4つのエチュード Op.4

No.2 小野田 有紗
  • 片山柊:内なる眼~ピアノのための~
  • ベートーヴェン:ピアノソナタ第21番 ハ長調 Op.53 「ワルトシュタイン」
  • ショパン:ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58

No.3 三井 柚乃
  • ハイドン:ピアノソナタ 変ロ長調 Hob.XVI:41
  • 片山柊:内なる眼~ピアノのための~
  • ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ Op.87 より 第24番 ニ短調
  • シューマン:幻想曲 ハ長調 Op.17

No.4 嘉屋 翔太
  • ハイドン:ピアノソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:52
  • 片山柊:内なる眼~ピアノのための~
  • リスト:忘れられたワルツ 第1番 S.215/1
  • メンデルスゾーン:無言歌集 より ト短調 Op.53-3
  • メンデルスゾーン:無言歌集 より 変ロ長調 Op.85-6
  • ブラームス:ピアノソナタ第1番 ハ長調 Op.1

No.5 鈴木 愛美
  • 片山柊:内なる眼~ピアノのための~
  • ハイドン:ピアノソナタ ト長調 Hob.XVI:6
  • シューベルト:ピアノソナタ第18番 ト長調 D.894 「幻想」
  • シマノフスキ:メトープ Op.29 より 第3曲「ナウシカー」

友人に誘われて、エントリー者が多いことで知られる日本国内ピアノ・コンペティションの「本選」なるものを初めて聴きに行きました。
「本選」というのは、東日本地区、とか、日本全国をいくつかの地区に分け、
その地区の「予選」で選出された人たちが集まって演奏する会、とのこと。
そこから「全国大会」に選出されるのは1名か2名という狭き門なのだそうです。
(まあ、多くの「本選」会場があると思えば、、、ですが、厳しいですねえ。)

聴いたのは、音楽の専門教育を受けた方々も含まれる大人のカテゴリー、全13名の方の演奏。
一番驚いたのは、
  • 最初の方と、最後の方とでは、ピアノの鳴りが全く異なった
ということ。
最初の数名は、聴いていて、ピアノの音が飛んで来ないよ~というもどかしさが。
実際、演奏者ご本人も、大変弾きにくいと感じられていたのだとか。
演奏順で、こんなに差がついてしまうのか……とびっくりでした。
また、
  • 5分ちょっとで「リン!」と鈴が鳴らされて、大半の演奏が途中で強制終了
ということにもびっくり。
本来は、7分ぐらいは演奏できることが多い(全国大会は10分確保されている)そうですが、今日は演奏者が多いこともあって、こんな短さになったらしいです。
ただ、曲想によっては、盛り上がりが来る前に「リン!」とされたりして、これまたお気の毒に感じました。
いやあ、いろんなコンペティション(コンクール)があるんですねえ。

さて、結果ですが、……私の予想はみごとに外れました。
なかなか難しいものです。


でもって、会場を出た我ら、そのまま移動して別会場へ。
せっかくの機会だからと、2人で小規模練習会を持ちました。
音楽大学関連の、とある講座受講中という彼女のおかげで、VIPな会場が借りられたのでした。
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こんな景色の中を通って、真新しいスタイリッシュなビルの中に入れば……、
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こ~んなベーゼンドルファー君が!
で、手前の方には、なんと椅子が50席は並んでいるのでは?……という広さ!
しかも音響の良い、すんばらしい会場。👏👏👏

友人のおかげで「棚ぼた」に預かった私でございました。感謝💖

コンクールサイトを開いてみたら、
偶然にも、まさにファイナリストのアナウンスが始まろうとしていました。
ということで、ホット・ニュースです。
ファイナルに進んだのは、次の6名でした(アナウンス順)
  • Yungyung Guo(2003年)
  • Jeonghwan Kim(2000年)
  • Uladzislau (Vladislav) Khandohi(2001年)
  • Yuanfan Yang(1997年)
  • Vitaly Starikov(1995年)
  • Wynona Yinuo Wang (1996年)
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ファイナルは、次の日程となります。
7月18日(火)&19日(水):1800年以前のコンチェルト
7月21日(金)&22日(土):1800年以降のコンチェルト

大会ホームページ

日本から参加した森本隼太くん、古海行子さんのお名前はありませんでした。
The 12 Semi Finalists

2023-07-11
公式ホームページでは、国籍を記載していないのですね。
確かに、必要のない情報かもしれません。
以下、生年とともにお名前を記しておきます。
  • Junyan Chen (2000年)
  • Yungyung Guo(2003年)
  • Carter Johnson(1996年)
  • Uladzislau (Vladislav) Khandohi(2001年)
  • Jeonghwan Kim(2000年)
  • Philipp Lynov(1999年)
  • Korkmaz Can Sağlam (1999年)
  • Vitaly Starikov(1995年)
  • Reuben Tsang(2003年)
  • Wynona Yinuo Wang (1996年)
  • Junlin Wu(1997年)
  • Yuanfan Yang(1997年)
今回、森本君、古海さん以外の方の演奏は、ほとんどなにも聴いていないのですが、
たまたまKhandohi 君のラフマニノフ「コレルリの主題による変奏曲」の最後のほうだけ聴きました。
すばらしく集中力の高い演奏で、途中からだったというのに、まさに引き込まれました。
彼、クライバーン・コンクールのファイナリストでしたね。

他にも、お顔に見覚えのある方々が何名か。
セミファイナルは、12・13日が65分のリサイタル、14・15日が室内楽です。

日本からは、森本隼太さん、古海行子さんがエントリーされています。
YouTubeで配信されていることを発見いたしました!
7月5日~22日の日程で開催されています。
第一次予選は、ピアノリサイタルが2種(①20分&②30分)とのことですが、
取り急ぎ、見つけたものを視聴。

★ 森本隼太さんの1次① 20分リサイタル
  • ラモ―:クラヴサン組曲 イ短調 RCT 5より
  • スクリャービン:ピアノソナタ No.5  嬰ヘ短調 Op.53
↓の動画、2時間01分頃~
 

森本さんの演奏は2020年に生で聴きました。
当時は、ただもう弾いてて楽しい~♪という若者らしさがはじけている感じだったのに対し、
ずいぶん落ち着きが増して、スケールが大きくなったなあと感じました。



★ 古海行子さんの第1次② 30分リサイタル
  • リスト:バラード No.1  変ニ長調 S.170
  • リスト:バラ―ド No.2  ロ短調 S.171
  • Gina Ismene Chitty:Hexagonal Etude Augmentations
↓の動画、9時間01分頃~


LIVEで視聴しました。
古海さんの演奏は、2017年のアカデミーで聴いたことがある他、コンクールの配信で何度も聴いて、端正でおとなしい演奏……といった印象を抱いていたのですが(私の聴き方が下手だったかも💦)、今回は、パリっとしていて、熱量も感じました。
私としては、今回の演奏の方が好みです。リストのバラード第2番、引き込まれました。
ドレスも深紅で、今までのようなパステルカラーより格段に似合われているかと。
演奏後、会場も沸き立っていました。

新年度が始まって、完全に余裕をなくしている私です💦

さて、もう過去の記録の感覚になっていますが、
現地へ飛んでコンクールを取材、鑑賞、実況くださった高坂はる香さん、今もテルアビブにおられるとのこと。審査員の小川典子氏にインタビューした記録が届いていました。



1位のケヴィン・チェン君については、すんなり決まり
2位以下については、投票がばらついたような感じだったのですね。
でも、審査員同士の議論はしなかったのだとか。
  • 1位のチェンさんは、どこか壊れやすそうなものを感じ、
  • 2位のギガシヴィリさんは、どこまで尖っていくのだろうかということを考え、
  • 3位の黒木さんは、人気もあったし、演奏活動のオファーがたくさん来ると思う
といった具合に、とても率直に語られています。
個性派のギガシヴィリさんが認められたのは「他の演奏家とコラボレーション」することが上手く、「共演者を自分の道に引き込んでいく力」があったから、という説明に納得しました。
黒木さんもコラボレーション力が高い、との評価です。

小川氏自身は、アルベルト・フェローさんの音楽に共感されたとのこと。
「最初から最後まで奇をてらうことがなかったのが、最終的にすごく新鮮に映った」
という表現に、審査員という立場の過酷さが表れているなあと思いました。


こういう話を引き出すことができ、かつ、すっと文章で表現できる高坂さんもブラボーです。

優勝:Chen Kevin(カナダ 18歳)
第2位:
Gigashvili Giorgi(ジョージア 21歳)
第3位:
黒木 雪音 Kuroki Yukine(日本 24歳)

ケヴィン君、黒木さんの入賞は確信していました。
キオルギ君の演奏はファイナルの協奏曲しか聴いていないので、コメントできませんが、聴衆の人気がピカイチであることは確認していました。

みなさま、おめでとうございます!

(早朝に上記を確認していたのですが、なんとPCが起動せず、パニック!ばたばたと原因解明に当たっていて、このの間になりました。不具合の原因は静電気が溜まっていたことだったようで、しばらく周辺機器をすべて外して放電したところ、復活しました。ほっ。)



【追記:表彰式を視聴して】
さまざまな受賞のうち、聞き取れたものを。
  • イスラエルの音楽学校5校が選ぶ聴衆賞:4校がギオルギ、1校がケヴィンを選出
  • ジュニア審査員が選ぶ聴衆賞:ギオルギ・ギガシヴィリ
  • 聴衆賞:ギオルギ・ギガシヴィリ

  • 室内楽賞:ギオルギ・ギガシヴィリ
  • 古典協奏曲賞:黒木雪音
ギオルギ君の人気っぷりに改めて驚かされました。
ケヴィン君には、この他にも、何やらのStudy賞も贈呈されていました。


最後に、多くの方々への感謝のスピーチがなされていましたが、
室内楽ラウンドでの共演者名のうち、ホルン奏者のクレジットが抜けていた件の説明も。

なんと、その日にステージに立てるホルン奏者をイスラエル国内では見つけられず
ハンガリーから来てもらうことにしてやっと確保したという事情があったのだそうです。
その理由は、同日にイスラエル・フィルハーモニーのホルン奏者オーディションがあったため。
有力ホルン奏者は全員、そちらのオーディションに出払ったのだとか。
そういう事情もあるのですねえ。
関係者、さぞかし焦ったことでしょう。笑

今後の予定(現地時間で表記)
  • 3/29,30(水・木):グランド・コンチェルト (grand concerto)
  • 3/31(金)11:00 Award ceremony →日本時間17:00 表彰式
       
    12:00 Winners’ Concert, With Israel Camerata  →日本時間18:00 入賞者コンサート

日本時間で今朝午前2時から配信されたグランド・コンチェルトをアーカイブで聴きました。
クラシック・コンチェルトは、Israel Camerata Jerusalem, conductor Avner Bironとの共演だったのに対し、
グランド・コンチェルトは、Israel Philharmonic, conductor Yoel Leviとの共演。
オーケストラの規模も大きくなるんですね。




1人目の Cecino Elia  (イタリア 21歳)
  • チャイコフスキー:Concerto No. 1 in B-flat Minor, Op. 23 - Allegro non troppo e molto maestoso - Andantino semplice - Allegro con fuoco
配信の音量が低く、こもっているように聴こえたのが残念。
わくわく感がちょっと足りないように感じたのは、そのせいかもしれません。


2人目の黒木 雪音 Kuroki Yukine(日本 24歳)
  • リスト:Concerto No. 1 in E-flat Major Allegro maestoso / Quasi adagio / Allegretto vivace. Allegro animato / Allegro marziale animato
国際リストコンクール(オランダのユトレヒト)の優勝者である黒木さん、
堂々とした演奏でした。
ゆったりと歌い上げる冒頭から、熱量高く駆け抜ける最終部まで、メリハリとコントロールが効いていました。
演奏後はブラボーが飛び交い、会場全体でのゆったり手拍子に変わり、何度もステージに呼び出されていました。


3人目のGigashvili Giorgi(ジョージア 21歳)
  • プロコフィエフ:Concerto No. 3 in C Major, Op. 26 - Andante – Allegro - Tema con variazioni - Allegro, ma non troppo
演奏そのものも悪くなかったですが、
演奏後の会場の盛り上がりっぷりの方が、より印象的でした。
スタンディングオベーションの嵐。
Giorgiくん、実は前回(2017年。シモン・ネーリング君優勝)のルービンシュタイン・コンクールにも出場していて、聴衆賞を受賞しているとのこと(高坂はる香さんのツイート情報)。
既にイスラエルにファンの皆様を獲得しているコンテスタントということなんですね。なるほど~。


さて、残る3人ですが、
日本時間では明日午前2時から。
一人目のChen Kevin(カナダ 18歳)君は、エリア君と同じチャイコフスキー1番
二人目のPark Chaeyoung  (韓国 25歳)さんは、キオルギ君とおなじプロコフィエフ3番
最後のFerro Alberto(イタリア 27歳)君は、バルトーク2番を演奏します。
アルベルト君も、ギオルギ君と同じように前回2017年から続けての出場者。
彼に対する会場の拍手が大きい背景にも、こんな事情があるのかもしれません。

今後の予定(現地時間で表記)
  • 3/26,27(日・月):クラシック・コンチェルト
  • 3/28(火):特別コンサート(出演・エフゲニー・キーシン)
  • 3/29,30(水・木):グランド・コンチェルト
  • 3/30(木)夜 結果発表

日本時間で今朝午前2時から配信されたクラシック・コンチェルトをアーカイブで聴きました。



1人目の Cecino Elia  (イタリア 21歳)君は、室内楽と同様、ベートーヴェンを選択。
  • ベートーヴェン:Concerto No. 2 in B-flat Major, Op. 19 - Allegro con brio - Adagio - Rondo: Allegro molto
はにかんだ様子のエリア君。
演奏のほうも、ちょっとおとなし目に聴こえました。
Ferro Alberto(イタリア 27歳)君も同じ曲目です。


2人目の黒木 雪音 Kuroki Yukine(日本 24歳)さんもベートーヴェン。こちらは1番です。
  • ベートーヴェン:Concerto No. 1 in C Major, Op. 15 - Allegro con brio - Adagio - Rondo: Molto allegro
黒木さんは、ソロが入る前(オーケストラの演奏だけ)のときも、笑顔がキュートです。
演奏中はもちろん、オーケストラを聴いている間も、音楽に浸って笑顔が漏れるといった雰囲気。
全体と通して、彼女らしいメリハリの効いた演奏が生きていました。
軽やかな第3楽章は、特にノリノリ。
演奏後はブラボーが飛び交い、なかなか拍手が止みませんでした。
個性に合った選曲もお見事です。
この曲目は、紅一点ならぬ紅二点のもう一人Park Chaeyoung  (韓国 25歳)さんも演奏予定。


3人目のGigashvili Giorgi(ジョージア 21歳)君はモーツァルト。
有名な20番。短調の曲です。
  • モーツァルト:Concerto No. 20 in D Minor, K. 466 - Allegro - Romance - Rondo: Allegro assai
非常に演奏機会の多い曲目でもあり、特に印象深いとは思いませんでした。
1楽章は聴きやすかったのですが、
2楽章のテンポの揺らし方が私にはちょっと不自然に感じられました。
ただ、会場は大いに盛り上がり、ブラボーの声も盛んに飛んでいました。


さて、残る3人ですが、
日本時間では明日午前2時から。
注目のChen Kevin(カナダ 18歳)君が、モーツァルト第27番( in B-flat Major, K. 595)を演奏。
上述したように、パクさん、フェロー君はベートーヴェンの1番、2番です。

ファイナルの日程を再掲。
3/24(金)~3/30(木):ファイナル
  • 3/24,25(金・土):室内楽
  • 3/26,27(日・月):クラシック・コンチェルト
  • 3/28(火):特別コンサート(出演・エフゲニー・キーシン)
  • 3/29,30(水・木):グランド・コンチェルト
  • 3/30(木)夜 結果発表

YouTubeの配信ページには、開始の日本時間も記載されていてありがたい。
室内楽の前半3人、セッション22は20時開始でした。
後で知りましたが、イスラエルで夏時間となり、時差が6時間になったそうです。


1人目の Cecino Elia  (イタリア 21歳)君はベートーヴェンを選択。
  • ベートーヴェン:Trio for Piano, Clarinet and Cello in B-flat Major, Op. 11 - Allegro con brio- Adagio- Tema: Pria ch'io l'impegno. Allegretto (9 Variations)
作品11と、若い時の作品のようですが、大変聴きやすい曲想でした。
あったかい雰囲気で、あまり深刻にならない感じ。
落ち着いて聴いていられました。
さすがの安定感、アンサンブルの力量。
3人目のGigashvili Giorgi(ジョージア 21歳)君も同じ曲目です。


2人目の黒木 雪音 Kuroki Yukine(日本 24歳)さんは、管楽器4本とのアンサンブル。
  • リムスキー=コルサコフ:Quintet in B-flat Major for Piano and Winds - Allegro con brio- Andante- Rondo. Allegretto
クラリネット、ホルン、フルート、バスーン、という編成自体、珍しくて楽しめました。
なんだかポップな曲。
第1楽章、第3楽章の弾むようなノリノリな感じが、黒木さんにぴったり合っていると思いました。
聴衆も大喜び。
もう聴衆を味方につけていますね、黒木さん。
この曲目は、6人目、コンクール百戦錬磨の趣のFerro Alberto(イタリア 27歳)君も演奏予定。


Cecino Elia  くんも、黒木さんも、楽し気に演奏されているのが印象に残りました。
3人目のGigashvili Giorgiくんは、BGMでちょっと聴いただけでしたが、
コメントを見ると、ジョージアの方々に熱烈応援を受けているようですね。


注目のChen Kevin(カナダ 18歳)君、
ファイナリスト発表の際、名前を飛ばされてしまったPark Chaeyoung  (韓国 25歳)さんが、
4人目、5人目と続けて同じブラームスのTrio in A Minor for Piano, Clarinet and Cello, Op.114を演奏するとのことです。

25日のLIVEは、日本時間午後5時開始。
私はLIVE視聴は難しそう。。。


(上記、途中まで書いたところで放置してしまい、アップが遅れました💦)

ファイナリストは次の通りです。
Junior Juryにも選ばれた3人に網掛けを入れました)

一方、Junior Juryの選んだ6人は次の通り。
このうち、Junior Jury賞を受賞したのが、青くマークした
ジュゼッペ・グァレラ君です。

黒木さんとケヴィン君の選出は確信していました。
ブイ君が選出されなかったのがショックです。
どうやら私の感覚は若手審査員の方々に近いようです。
(ブイ君、グァレラ君に、ファイナル進出者には私としては驚いた方も)


<第2次予選の補足>
最終奏者、ターロン・スミス君の「自作曲を弾く!」の宣言動画を見ていたので、聴きました。
彼はこのコンクールをその曲(Op.1)の発表の場としたかったのかなあと感じました。
ショパン的な、あるいはラフマニノフ的な、ロマン派の香りに満ちた魅力的な前奏曲でした。
ただ、「夜のガスパール」が達者ではあったものの、耳を惹きつけられるほどではなかったので、
「自作曲を弾く」という型破りな選曲と併せて、通過は無理かなあと感じました。残念。

第2次予選の2日目、最終演奏者のケヴィン・チェン君をアーカイブで聴きました。
まだ18歳ですが、
昨年、ジュネーヴ国際コンクールで優勝(五十嵐薫子さんが3位)、
2021年にはブタペストのリスト国際でも優勝しているという注目株。
(コンテスタント・ページ「AWARDS & PRIZES」の記載では、上記以外もすべて「1位」です。)

20:30(日本時間 翌03:30)Session19
22 Chen Kevin(カナダ 18歳)スタインウェイ
  • Haydn: Sonata in E Major, Hob.XVI:31
  • Bartók: 3 Études, Op.18, Sz.72
  • Mendelssohn: Variations sérieuses in D Minor, Op.54
  • Chopin: 12 Études, Op.10
アンコール
  • Saint Saens: Etude op. 52 no. 2


気品漂うハイドンから、もう別格感が。
また、プログラミングが上手い!
続くバルトークは、ハイドンとは全く異なる音色、迫りくる迫力で場の空気が一変。
息をのんで聴き入りました。
そこで、ロマン派へと。
「厳格なる変奏曲」はアマチュアでも弾くことのある曲ですが、
こんなにも端正で、こんなにもテクニカルな曲だったのか、と再発見しました。
そして、圧巻のショパンOp.10。
ショパンの練習曲12曲を全曲、コンクールという場で弾くなんて、すごい度胸!
と思ったのですが、度胸云々というレベルを超越しています、ケヴィン君。
音が細かく動く曲では、テンポは速め。
「えっ、大丈夫?」と聴き手側に思わせておいて、
難なく見事に弾き切ってしまう、という効果を狙っている?……とさえ感じました。
聴き手の心臓もバクバク。
そういう流れの中で聴くスローな曲が、また素晴らしく映えるわけです。
音色もきっちりコントロールされていました。
そうか、最後の曲が「革命」で、衝撃的なエンディングを迎えることになるのですね。

さっとアンコールへと向かい、しっとりした曲を演奏するいうのも、なんか玄人です。
お見それいたしました。

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