PIOピアノ雑記帳

ピアノ、クラシック音楽関連の話題を主とした雑記帳blogです。

カテゴリ: 【コンサート・レビュー】

2024年3月27日(水)19:00開演 20:50終演
@フィリアホール

フィリアホール オープン30周年記念コンサート 
中野りな🎻&ルゥォ・ジャチン🎹

ヴァイオリン&ピアノ デュオ・リサイタル
2022年仙台国際音楽コンクール覇者の共演

〈プログラム〉
  • シマノフスキ: ヴァイオリンとピアノのための3つの詩曲「神話」Op.30より第3番
  • シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 Op.105
  • パガニーニ:ロッシーニの「タンクレディ」のアリア「こんなに胸騒ぎが」による序奏と変奏曲

  • イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調「バラード」 ※ヴァイオリン・ソロ
  • ショパン:バラード 第1番 ト短調 Op.23 ※ピアノ・ソロ
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.75

(アンコール) クライスラー: ウィーン奇想曲


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お見事でした。
お二人とも無駄な動きが一切なく、音楽と一体化しての演奏。
聴衆として、繰り広げられる音楽世界に浸りきり、堪能いたしました。
超絶技巧もなんのその、お二人とも全く乱れなく、演奏姿も音色も端正そのもの。
すごい空間の出現に、息を呑んで立ち会ったといった気分です。
中野さん、衣装も雰囲気もフェアリーでしたが、創出世界はクイーンでした。
出過ぎず、引っ込みすぎず、ジャタンさんのアンサンブル能力にも脱帽です。

横浜みなとみらいホール25周年音楽祭
反田恭平オルガン道場

2024年3月24日(日)17:30開演 19:35終演
@みなとみらいホール 大ホール

<プログラム>

パイプオルガン公開レッスン(講師:近藤岳 受講生:反田恭平)

~休憩~

10代のためのパイプオルガン・レッスン修了生による演奏
  • 大塚結音 伝C.P.E.バッハ:ペダル練習曲 ト短調 BWV 593
  •      伝J.S. バッハ:「8つの小プレリュードとフーガ」より第8番 変ロ長調 BWV 560
  • 米田咲希 J.S.バッハ:「いと高きところには神のみ栄光あれ」BWV 711(ビチニウム)、BWV 260(コラール)
  • 天田桂菜 J.S. バッハ「わが心の切なる願い」 BWV 727
  •      ヴィエルヌ:「24の自由な形式による商品」Op.31より「カリヨン」
みなとみらいホール・プロデューサー反田恭平による演奏
  • 反田恭平 J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565より「トッカータ」
  •      ブラームス:<11のコラール前奏曲>Op.122より「一輪のバラは咲いて」
  •      ショパン:ラルゴ 変ホ長調
みなとみらいホール・ホールオルガニスト近藤岳による演奏
  • 近藤岳 ラフマニノフ(近藤岳 編曲):前奏曲 嬰ハ短調 Op.3-2「鐘」
  •     リスト:コンソレーション 第4番 変ニ長調
  •     ヴィエルヌ:ウェストミンスターの鐘
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2時間たっぷり楽しめました。
これでチケット代1000円って、素晴らしいコスト・パフォーマンス💖

反田さんの第一声
「お客さんまで、遠いっすね。昨日と全然違うわ。」って、まさに!
私、双眼鏡片手に鑑賞しましたが、ステージ上のスクリーンに映し出される映像がありがたかったです♪

前半は40分におよぶ公開レッスン。
「こんな大勢のお客さんの前でレッスンを受けるなんて、やったことない。緊張するわ~」
とのことでしたが、4回目のレッスンで、複雑な足鍵盤もこなすって、さすがです。
手のほうの鍵盤が上下に4段も並んでいるだけで、目がくらくらしそうですが、
鍵盤の位置によって硬さが違う(鍵盤の反応スピードが異なる)のが、大変なのだそうです。
右、左で鍵盤を押すスピードを調整しないと、同時に音を出すことができない、とのこと。
同様に、離鍵も難しい、とのお話でした。

近藤さんのアドヴァイスとしては
「パイプが、管楽器が風によって音を出す様子をイメージして」
「指によって音が残ってしまう箇所があるので、注意」
反田さん、
「オーケストラと同じですね。そこ、音が残ってるよ、って、俺、よく言ってるし」とのこと。

幼いころは、いろいろな音が出せる電子ピアノで、あれこれ遊んだという反田さん、
今日もブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」のテーマや、交響曲を朗々と弾き始めたりして、それに応じて近藤さんは、てきぱきとストップを出し入れしたりして、二人とも実に楽しそうなご様子でした。

休憩後の演奏会では、ふつうはあまり聴けない練習曲なども聴けて、大変興味深かったです。
みなさまレベルが高くて、びっくりでした。
鍵盤が2段、3段と連結されて動くようになると、がぜん音色が豊かになること、
足鍵盤のビンビン響く音色など、スクリーンの動画でよくわかりました。

でも、やはり、最後の近藤さんの演奏がピカイチ。
音響としても、音楽の作り方としても。
足元の動きは、足鍵盤を駆け上がったり駈けおりたりする一方で、シャッターペダルで音量調節も行っている様子がよく見えました。
オルガン演奏って、マルチタスクの極致ですね。
ストップが自動でパキパキ出たり引っ込んだりしているように見えたのは、事前にプログラミングされているんでしょうけれど、どこでどう操作しているのか不思議です。

近藤さん、他の方々の演奏時は隣に控えて、ストップの出し入れに、譜めくりにと大活躍。
反田さんの演奏後、「楽器に関係なく、音楽そのものが響いてきて感動で涙が出た」と話されていましたが、みなさま、尊敬の念を抱き合って音楽づくりをされている様子に、こちらも感動の念を覚えました。

ジャパン・ナショナル・オーケストラ
ロマン派協奏曲 前夜祭演奏会

2024年3月19日(火)19時開演 21時終演
@みなとみらいホール 大ホール

出演:
務川慧悟(ピアノ)
エリック・ルー(ピアノ)
反田恭平(指揮)
ジャパン・ナショナル・オーケストラ

<プログラム>
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16(ソリスト:務川慧悟)
(ソリスト・アンコール)
ラヴェル:クープランの墓より プレリュード

~休憩~

シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54(ソリスト:エリック・ルー)
(ソリスト・アンコール) ピアノ連弾 エリック・ルー(primo)&反田恭平(second)
ブラームス:ワルツ Op.39-15

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祝祭感たっぷりのコンサートでした。
ステージには花が飾られ、終演後にはサプライズ(?)のキャンドル・サービスも。

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本編コンサートの白眉は、何と言ってもエリック・ルー君でした。
人を惹きつける力、吸引力が、ずば抜けています。
音がキラキラしていて、耳が持って行かれます。
唸らされました。

また、同じイ短調の協奏曲を続けて聴く、というのも興味深かったです。
開演前の「館長&ホール・プロデューサー挨拶」において、
グリーグはシューマンの影響を受け、シューマンに敬意を表してピアノ協奏曲を作曲した、との解説が入りましたが、実際に並べて聴いてみて、納得しました。

後半のシューマン、前半のグリーグのデジャヴ?……のように感じた箇所がいくつも。

細い身体なのに、エリック君の音がぐんぐん伸びて通ることに、驚きました。
ただ、気になるのは、
右手人さし指が、包帯ぐるぐる巻き状態だったことです。

演奏に支障はないように見受けられましたが、
アンコールが反田君との連弾になったのも、指の不調をかばってのことかも、、、と思いました。
大事なく、済みますように。。。

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カーテンコールの時間帯は撮影可でした。
この後、ロビーに出てみると、こんな情景が。

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ここで、室内楽の演奏という「お見送りサービス」を受けたのでした。
なんとも嬉しい一夜となりました♪


浜松滞在初日(3月8日)の記録ですが、こちらは浜松国際ピアノアカデミーのイベントではありません。

今回の旅行仲間がリサイタルで感銘を受けたというピアニストさんが、
たまたまこの日、なんと浜松でレクチャーコンサートを催されると聞き、
「これは運命!」とばかりに4人で聴きに行ったのでした。
それにしても、なんと濃密な1日、いや半日(新幹線🚅遅延のせい)であったことか!

2024年3月8日(金)15:00開演 16:30終演
@かじまちヤマハホール
主催: 静岡大学ピアノとウェルビーイング研究所
後援: ロームミュージックファンデーション

テーマ「絵画の音楽・音楽の色彩
画家/作曲家ジョルジュ・ミゴ(1891-1976)を通して」

〈パトリシア・パニー〉
スイスのベルン芸術大学教授。フランス生まれ、イタリア育ち。
1989年,クララ・ハスキル国際ピアノコンクールファイナリスト、90年、アレッサンドロ・カサグランデ国際コンクール優勝。

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レクチャー、演奏曲目、ともに資料はプロジェクターに投影されたのみで、手元に残る資料は配布されなかったため、走り書きメモを元に書きます。
ということで、漏れも、記憶違いも多々あるかと。

パニーさん、黒い細身のパンツに、背中がぱっくりと開いた、大きな柄のあでやかオレンジ系ハイネックブラウスで登場。センスの良さが滲み出ておられました。

【レクチャー】
音楽と絵画の関わりの深さ
  • メンデルスゾーン(水彩画のタッチの正確さは彼の音楽に通じる)、
  • パウロ・クレー(オーケストラの中でも演奏。絵のタイトルに「赤いフーガ」「ポリフォニー」など音楽用語を用いる)
  • ドビュッシー(美術のジャポニズムに傾倒=日本とフランスの文化的な近しさ)は20世紀を開いた人であり、自然界のものを音楽化。後のプーランク、オネゲル、ミゴらが彼の後継者といえる。
会場に向かって、自然の要素「水」「風」「火」をアクションで表現してみて!と促し、誰しもがそういう感覚を持っているでしょう、と指摘。
ドビュッシーの前奏曲集より、「水の精」「音と香りは夕暮れの大気に漂う」「花火」からの抜粋を演奏した後、
花火の音型を使って、水の重さ、空気の軽さ、火の激しさを実演。

【演奏曲目】
  • ドビュッシー: 音と香りは夕暮れの大気に漂う
  • ジャン=ジャック・ヴェルネール: 「ソフィーへの夢歌」より
  • ジョルジュ・ミゴ: ノクターン第1番
  • リリ・ブーランジェ: 明るい庭
  • ショパン: ノクターン 嬰ハ短調 op.27-1
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記念に、我ら4名それぞれに異なるCD💿を購入し、サインもいただきました(このイベント、ありがたいことに無料だったのです。太っ腹!)。
パニーさん、自然体の気さくな方で、わかりやすい英語でコミュニケーションがとれました。
(レクチャーはフランス語🇫🇷で、主催大学教授の方が通訳されました)。

浜松国際ピアノアカデミーで2コマしか聴講できなかったのには、新幹線遅延とともに、
実は、こういう事情があったのでした。

2024年3月8日(金)19:00開演 20:40終演
@音楽工房ホール(研修交流センター2階)

「心から共感する音楽に魂を吹き込む」
〜世界が認めるチャクムルのシューベルト〜
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90分のうち、チャクムル氏によるピアノ生演奏は最後の15分程度。
プロジェクターに楽譜を映しながらの「講義」がメインのイベントでした。
でも、やっぱり感銘を受けたのは、生演奏🎶に尽きます。

【演奏曲目】
  • シューベルト: ピアノソナタ第21番 変ロ長調 D960より第1楽章(途中まで)
  • シューベルト: 即興曲集 D899 第3番 変ト長調(アンコールとして)
【レクチャー】

演奏法には、長い歴史の間に生じた誤解がある。
それを、音楽学的な視点から明らかにしたい。
  • 1950年代以降: ヴェルクトロイエ(Werktreue=スコアに忠実であること)が求められる
シューベルトが生きていた時代の演奏は、1950年代以降に良しとされたものとは異なる。
そもそも音楽とは「天から降りてきたものを書きとった」ものだが、全てを余すことなく書き切るのは不可能であり、本来は演奏者に任される部分もあった。

コレルリの時代(17世紀)には60%が奏者に任されていたとも言う。
それが、後世のラヴェルの楽譜になると、指示は全て楽譜に書いてあり、奏者に任せる部分は皆無になる。
アマチュア市民が演奏するようになって、編曲者が
「アマチュアも楽しめるように」
と、あれこれ書き込んだり、編曲したりするようになったことが一つの要因。
例として、バッハのブゾーニ版、スカルラッティのロンゴ版などがある。

その結果、「ウルテクスト(原典版)」を作ろうという機運が生まれ、
ヴァルクトロイエ(スコアの忠実性)が唱えられるようになった。
しかし、
ピアニストのゼルキンが、ベートーヴェンのソナタ第2番で指示されている指使いは演奏不可能だとして演奏を拒否しているように、原典版は万能ではないし、
ウィーンフィルのウインナーワルツのリズムは、楽譜に書かれたものではない。
楽譜以外に、人から人へと受け継がれる音楽の伝統がある。

ショパンやリストなど、弟子や身近な人がエピソードを書き残している作曲家もいるが、シューベルトにはそういう人がいない。もちろん、録音もない。
ただ、シューベルトが自作の歌曲の伴奏をする際に
「どう弾くかは厳格に楽譜に書いた」
と言っていた、という証言がある(byベートーヴェンとも交流のあった弁護士、ゾン・ライトナー)。

……さて、ここからは、楽譜提示と、古い音源による歌唱法比較の嵐。
(残念ながら、私にはほとんど理解できず😢 馴染みのない歌手の名前にも、プロジェクターで提示される小さな音符にもついていけませんでした🙇‍♀️)

おそらく、チャクムル氏が指摘したかったのは、
シューベルトが「楽譜に厳格に書いた」と表現したのは、
「(ドイツ風に歌うのでなく)イタリア風に歌って欲しい。伴奏は歌いすぎずに安定して弾いてほしい」
という意味だった、ということではないかと想像します。

この歌曲に対するシューベルトの意志は、当然ピアノ曲にも反映させるべきで、
その意味で、2018年にチャクムル氏が録音したピアノソナタには満足していない、
録音当時から、何かしっくりこないものを感じていたが、その正体が今やはっきりした、
とのこと。
で、まず、6年前の録音を会場に流した後で、
現在のチャクムル氏の解釈による演奏が行われました。

まさにまさに、ベルカントな、歌い上げるシューベルト!
衝撃でございました。なんたる進化ぶり!
6年を経て、まるきり別物の演奏でありました。
途中で演奏をやめてしまわれたのが、なんとも残念無念😭(おそらく時間の関係?)。

最後に「アンコールとして、大好きな曲を」との前振りの後で、即興曲。
講義の間は会場全体に漂っていた眠気感が、
演奏になるや、一掃されて会場全体で覚醒していました。
そんなムードの一変も、面白かったです。

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私、この日の早朝、前日に放映された「クラシック倶楽部」のチャクムル氏の演奏とインタビューを視聴していたのですが(→2021年のレビュー)、
このときに語っていた
「正しい文法で演奏すれば、音楽はおのずと立ち上がるのです。」
という言葉の意味も、今では変化しているに相違ありません。
これからの進化も楽しみだなあと感じました。

2024年2月25日(日)14:00開演 15:35終演
@武蔵小杉サロンホール

<プログラム>
  • バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第1番 ハ長調 BWV870
  • バッハ:前奏曲 ハ短調 BWV999
  • バッハ=コルトー:『チェンバロ協奏曲 BWV1056』よりアリオーソ
  • モーツァルト:ロンド 二長調 KV485
  • モーツァルト=クリントヴォルト=浅田陽子:『レクイエム KV626』より<思い出したまへ><呪われしもの><涙の日>
  • モーツァルト=宮下秀樹(左手用):アヴェ・ヴェルム・コルプス KV618
(休憩)
  • ショパン:エチュード ホ長調 Op.10-3 『別れの曲』
  • ショパン=青木茂:『17のポーランドの歌』より 1.願い 6. 私の目の前から消えて 10. 兵士 15.いいなづけ
  • ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66
  • ショパン:ワルツ 第3番 イ短調 Op.34-2
  • ショパン:バラード 第3番 変イ長調 Op.47
アンコール1曲
(金曜の本コンサートのために、曲名は秘しておきます♪ あ、同じく衣装についても😊)

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全曲暗譜による演奏、
気負わず、聞きやすい語り口での簡単な曲紹介、
聴き手に安心感と集中力をもたらす起ち居振舞い(ステージマナー)、
……いやあ、感服いたしました。

選曲がいいですねえ。
ピアノコンクールでさまざまな賞を受賞している彼女ですが、
「過去3回のリサイタルで弾いたことのない作曲家」
つまりは、苦手意識のある作曲家をあえて取り上げた、とのこと。
前半は宮廷時代のバッハ&モーツァルト、
後半はロマン派代表ショパン、
と、休憩を挟んで雰囲気をガラリと変えたところも、
前半のバッハとモーツァルトの対比も、いろいろと発見があって、楽しかったです♪

また、編曲ものを挟み込むという仕掛けにも、耳が惹きつけられました。
アンコールも秀逸で、
めちゃくちゃ寒い日でしたが、あったかい気分で帰路につくことができました。
広島のみなさま、どうぞお楽しみに♪

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↑の画像は開演前(椅子、全部は写しきれてません)。
わたくし、仰せつかった録音スタッフの役割を無事遂行でき、ホッといたしました。

ご本人、来場者は10人前後、なんて予想されてましたが、
こちらは見事に外れて、その倍以上はいらしたのではないかと。

入口からお洒落な雰囲気で、
ベーゼンドルファーのピアノも、素敵な音色でございました💖

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2024年2月12日(月㊗️)11:30開演 12:45終演
@みなとみらいホール 大ホール

ヴァイオリン:辻 彩奈
ピアノ:萩原 麻未

<プログラム>
  • フォーレ:ロマンス 変ロ長調 Op. 28
  • フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op. 13
  • フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
アンコール
  • パラディス:シシリエンヌ
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幸せ気分に浸ったコンサートでした。
しっとりした雰囲気にうっとりの「ロマンス」の後は、
辻彩菜さんの元気な「おはようございます」の声。

辻さん、萩原さん、
室内楽では共演が何度かあるそうですが、二人だけのデュオは意外にも今日が初とのこと。
とても初とは思えない、息ぴったりの共演でした。

フランクのソナタ、アンコールのパラディスは、
以前、辻さん&阪田知樹さんの共演で聴いています(→2021年3月)が、
萩原さんの方が、弱音はあくまでもかすかで柔らかく、
ルバートの揺れ幅が大きかったんじゃないかな。

阪田バージョンは、丁々発止。
萩原バージョンは、2人でニュアンス生成、って感じでしょうか。

フランスの香り、堪能しました。

みなとみらいのランチタイムコンサート、今日を区切りとして休止に入るとか。
今日のお客さんの入りもとてもよかったのに、残念です。
横浜みなとみらいホール プロデューサー 、反田恭平氏も決定に関与しているのでしょうか。

2024年2月6日(火)19:00開演 20:50終演
@ミューザ川崎シンフォニーホール

ピアノ:イム・ユンチャン

<プログラム>
ショパン作曲
  • 3つの新しいエチュード(第1番 ヘ短調 第2番 変イ長調 第3番 変ニ長調)
  • 12のエチュード Op.10(第1番 ハ長調 第2番 イ短調 第3番 ホ長調「別れの曲」 第4番 嬰ハ短調 第5番 変ト長調「黒鍵」 第6番 変ホ短調 第7番 ハ長調 第8番 ヘ長調 第9番 ヘ短調 第10番 変イ長調 第11番 変ホ長調 第12番 革命)
  • 12のエチュード Op.25(第1番 変イ長調「エオリアン・ハープ」 第2番 ヘ短調 第3番 ヘ長調 第4番 イ短調 第5番 ホ短調 第6番 嬰ト短調 第7番 嬰ハ短調 第8番 変ニ長調 第9番 変ト長調「蝶々」 第10番 ロ短調 第11番 イ短調「木枯らし」 第12番 ハ短調「大洋」)
[アンコール曲]
  • ショパン:ノクターン第2番 op.9-2
  • ベッリーニ(ショパン編):歌劇「ノルマ」より 清らかな女神よ
  • ショパン:12のエチュードop.25より 第1番「エオリアン・ハープ」syopa
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ピアノの音色で、雄弁に語り合い、歌い合うかのような音楽が流れてきました。
精密にコントロールされた各声部が、同時にささやいたり、うなったり、吠えたり。
そして、何を述べたいのか、意志がくっきりと伝わってくるのです。

最初の新エチュードの2曲目で、もう胸キュンでした。
ルバート、上手すぎますっ!

虚空を見つめる演奏者は、弾くというより、音楽と対話しているかのようでした。
エチュードを並べた、というより、
「エチュード集」という作品全体で、物語世界を構築しました、という趣。
新鮮に聴こえる部分がたくさんありました。
なるほど~。魅力的です。

びっくりしたのは、拍手とともに黄色い声、ヒュ~ヒュ~いう声が聞こえたこと。
休憩時間に韓国語の会話を多々耳にしましたが、韓国ではヒュ~ヒュ~が普通?
いやいや、ユンチャン君の人気爆発の証拠ですね。
2022年のクライバーン・コンクールで、圧巻の優勝を果たして以来なのかな?
それとも、それ以前から韓国では人気だったのでしょうか。

ご本人のほうは、
超絶技巧を鼻にかける様子も、観客に向って笑顔を見せる様子も皆無で、
お辞儀も、ぴょこたんと床を見つめるような不器用さでしたが、初々しさに好感が持てました。
(ドヤ顔で愛嬌ふりまかれるのは嫌いなんです、私。)

小さい曲を積み重ねた世界観だけでなく、
今度は、ドーンと大きい曲、深い曲でのユンチャン君の表現力を見て(聴いて)みたいものです。

2024年2月2日(金)19時開演 20時50分終演
@ヤマハ銀座コンサートサロン(ヤマハ銀座店6F)

<プログラム>
シューベルトツィクルスVol.1
  • アレグレット ハ短調 D915
  • アダージョ ホ長調 D612
  • ピアノ・ソナタ第13番 イ長調 D664
  • 第1楽章 Allegro moderato
  • 第2楽章 Andante
  • 第3楽章 Allegro
  • 即興曲集 Op.142  D935
  • 第1番 ヘ短調
  • 第2番 変イ長調
  • 第3番 変ロ長調
  • 第4番 ヘ短調
(アンコール)
  • 即興曲集 Op.90  D 899 
  • 第2番 変ホ長調
  • 第3番 変ト長調
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シューベルトって、ググっとお腹に響く、
空気の密度を濃くする作曲家だったんだ!
と発見いたしました。(今さらっ💦)

1曲目の後の短いトークで、
この1月に、4年ぶりにベルリンを再訪されたことについて語られ、
「暗っ!」
と思い、ああ、この空気の中でシューベルトが好きになったんだった、
シューベルトは寒い部屋の中のろうそくのような存在だった、
というお話をされましたが、それが、すとんと腑に落ちる演奏でした。

自分を振り返ってみて、
シューベルトって、ベートーヴェンと比較すると、
キラキラ、ふわふわ……といったイメージが浮かんでいたのですけれど、
それは大きな誤解であった!と気づきました。

まさに「音楽と対峙する」集中度と密度、圧巻でした。

ドイチュ番号600番台と比べると、900番台の晩年(といっても20代の終わり)の曲は、
ベートーヴェンの初期と後期の差に匹敵するほどの違いがある、とのお話に納得。
本プログラム後半、短調の即興曲の濃密さといったら!

我が丹田、鍛えねば!

2024年1月30日(火)19時開演 21時10分終演
@東京オペラシティコンサートホール

エリック・グオ(ピアノ)
鈴木優人(指揮)
バッハ・コレギウム・ジャパン(管弦楽)

ピアノ:プレイエル(1843年製)
1843年7月18日完成、10月19日エビネイ子爵が購入。
マホガニーケース 製造番号No.10456  長さ205㎝
タカギクラヴィア所蔵
2018年度ショパン国際ピリオド楽器コンクール認定楽器


<プログラム>
  • モーツァルト:≪フィガロの結婚≫序曲 K.492
  • ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21
  • ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11
ソリスト・アンコール
  • ショパン:前奏曲 Op.28-4 ホ短調
  • ショパン:前奏曲 Op.28-13 嬰へ長調
  • ショパン:マズルカ Op.59-1
  • ショパン:ワルツ 第4番 Op.34-3 ヘ長調
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エリック・グオ君、自由人!
舞台袖から、よく響く笑い声とともに登場(たぶん、ご本人の声)。
協奏曲では、ピアノソロが入る前からオケと一緒になってピアノ弾いちゃったり、曲の途中、ソロパートじゃなくてもどんどんピアノに触ってました(こういうところのピアノの音色は2階席までは届きませんでしたが、弾いてることはよく見えました)。
特にピアノ協奏曲2番、こんなに楽し気に響く曲だったっけ?と思いました。

グオ君、ほほえみを浮かべ、往々にして顔を上げて天井の方を見て音楽に浸ってました。
すごく伸びやかな音。
プレイエルのソロパートは朗々と響いていました。2階席でもよ~く聴こえて、嬉しい驚き。
オーケストラとのバランスもよく、美しい~✨
うっとりです。

アンコールのソロ曲も、ルバートたっぷり、情感たっぷりの演奏でした。
4曲も聞けて、幸せいっぱい気分になりました。
そうそう、
アンコールの最後の曲は、指揮の鈴木氏とともに舞台上に現れてから、鈴木氏を舞台上にとどめたまま、おもむろに弾き始め、弾きながら鈴木氏に向かって微笑みかける(というか、音楽で語り掛けている感じ)だったのも、また、彼の自由人っぷりを表していたと思います♪

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(画像は開演前)

2024年1月18日(木)19:00開演 21:00終演

<プログラム>
  • ベートーヴェン:創作主題による 32 の変奏曲 ハ短調 WoO.80
  • ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第 22 番 へ長調 op.54
  • シマノフスキ:ポーランド民謡による変奏曲 ロ短調 op.10
  • フランク/フルネル編曲:前奏曲、フーガと変奏曲 op.18
  • ショパン:ピアノ・ソナタ 第 3 番 ロ短調 op.58
[アンコール曲]
  • J.S.バッハ(ジロティ編):前奏曲 ロ短調
  • J.S.バッハ(マイラ・ヘス編):主よ、人の望みの喜びよ BWV147
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輝く音色に、美しい響きに、胸キュンでございました。
どの曲も、冒頭の一音で瞬殺💖って感じです。
ベートーヴェンと、シマノフスキとで、「同じピアノ??」と思うほど音色が変わって、驚きました。

「なんて美しい~」と夢心地でいると、
だんだん熱量が上がって来て、圧倒的な、めくるめく情熱世界も展開していきます。
あの細い身体のどこから、こんな豊穣な響きがっ??と、目を、耳を、疑いました。

キラキラと輝く声部が、あちらでも、こちらでも、クリアに響くことにも驚嘆。
特に後半の2曲。そして、アンコール!
実に豊かに歌っている主声部の背後でささやいている他の声部も、また美しいんです。
まるでマジック!と思いました。

夢見心地の2時間でした。
最後はまさに「万雷の拍手」そして、スタンディングオベーションでした。

東京オペラシティ リサイタルシリーズ
バッハからコンテンポラリーへ ビートゥーシー

2024年1月16日(火)19:00開演 21:05終演

ピアノフォルテ・モダンピアノ:川口成彦

<プログラム>
  • ジュスティーニ:ソナタ イ長調 op.1-8
  • J.S.バッハ:イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
  • J.S.バッハ:《音楽の捧げもの》BWV1079から3声のリチェルカーレ ハ短調
  • J.C.バッハ:バッハの名による半音階的フーガ ヘ長調 W.YA50
  • モーツァルト::前奏曲とフーガ ハ長調 K394

  • カゼッラ:バッハの名による2つのリチェルカーレ op.52 ★
  • オネゲル:バッハの名による前奏曲とアリオーソとフゲッタ ★
  • 杉山洋一:山への別れ(2021)
  • アグステリッベ:パウル・クレー(2013)
  • カルディーニ:前奏曲とトッカータ《春の始まり》op.181(2024、川口成彦委嘱作品、世界初演)
[使用楽器]
クリストフォリ1726年(復元:久保田彰) 415Hz
ジルバーマン 1746年(復元:久保田彰) 392Hz
ワルター 1795年(復元:クリス・マーネ)430Hz
★ モダンピアノ(スタインウェイ)   442Hz

アンコール
  • アルベニス:旅の思い出 op.71より 第6曲「入江のざわめき」
  • J.S.バッハ:協奏曲 ハ長調 BWV976より ラルゴ
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舞台上にフォルテピアノが4台、スタインウェイが1台、勢ぞろい。
写真撮影禁止とのことでした。

かそけき音色、聴こえるだろうか……との思いは杞憂でした。
右手前方に席を確保(自由席で、開演前は長蛇の列)したこともあって、
音色はとてもクリアに届きました。
フォルテピアノ、名前を裏切らぬだけの音量の幅を備えています。

楽器説明などのトークを入れながら、アットホームに進めるのかと思ったら、
いやいや、トークはアンコールの曲目紹介のみ。
演奏に徹する、本格的なリサイタルでした。

きちんと製本された楽譜を譜面台に置かれて、
めくる瞬間がわからないほど静かに自然にすっとめくられます。
バタつくことが全くない佇まいが印象に残りました。
川口市、余裕たっぷりに、実に楽し気に演奏されます。

プログラムには
「本日の公演は4台すべての楽器が違うピッチになっています。ピッチにとらわれない一夜、どうぞお楽しみください。」
との注意書きが。
「イタリア」で発明されたピアノの原点クリストフォリ 、
「バッハ」縁にジルバーマン
18世紀の後期を代表するワルター◎、とのことです。


一番音程が低く調整されていたと思われる中央のジルバーマンで演奏されたイタリア協奏曲は、ちょっと耳慣れない感じ。特に第2楽章は、歯切れよく演奏されるバス音も相まって、初めて聴く曲のように響きました。
「イタリア」「バッハ」へのオマージュを意識して組まれたというプログラム、楽しめました。

「BACH」の音程、耳に沁みつきそうです。
非常に密度の濃い時間が流れていました。
演奏家としても、プロデューサーとしても、川口氏が凄腕でおられることに納得したリサイタルでした。

東京文化会館 舞台芸術創造事業
現代音楽プロジェクト かぐや

2024年1月13日(土)15時開演 16時45分終演
@東京文化会館小ホール

第一部:室内楽
  • ユハ・T・コスキネン:イザナミの涙【筝独奏】(世界初演)
  • カイヤ・サーリアホ:テッラ・メモリア【弦楽四重奏】
  • 横山未央子:地上から【弦楽四重奏】(委嘱作品/世界初演)
Vn:山根一仁、毛利文香
Va:田原綾子
Vc:森田啓介
筝:吉澤延隆

第二部:『かぐや the daughter tree』(委嘱作品/世界初演)

ソング・サイクル(歌曲)
  1. 竹取
  2. 輝く竹の幹
  3. 黄金と成長
  4. 無関心な
  5. 月を見るひと
  6. 奇妙な光
  7. 月の姫
原作:「竹取物語」及び与謝野晶子の詩に基づく
作曲:ジョセフィーヌ・スティーブンソン
作詞:ベン・オズボーン
振付:森山開次

ヴォーカル:ジョセフィーヌ・スティーブンソン
ダンス:森山開次

Vn:山根一仁、毛利文香
Va:田原綾子
Vc:森田啓介
筝:吉澤延隆


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2024年お初の生演奏鑑賞は、特別なステージでした。
世界でも有数の「現代音楽の聖地」といわれるフィンランドの音楽家と日本の音楽家、さらには和楽器と西洋楽器、日本語と英語、音楽と踊りがコラボレートして作りあげた舞台。

冒頭からビックリ。
筝を奏でながら、「おお(うめき声)」「爺様」「ツバキ」などの言葉を、秘かにささやいたり、朗々と吟じたり。
照明も凝っていて、2曲目は完全に暗転。
その前の筝と同じムードで弦楽四重奏の曲が奏でられて、これまた驚嘆しました。
なかでも、第1部で一番印象に残ったのが3曲目です。
弦楽器の胴の部分を叩き、ピチカートで演奏するこの曲、まるで鼓のような音色に聞こえて、
リズムがカッコよくて、痺れました。
作曲者の横山未央子(1989-)さん、会場におられて、満場の拍手を浴びられました。
フィンランド在住、シベリウス音楽院にお勤めとのこと。

圧巻は第2部でした。
森山開次氏の舞踊、舞台上方のスクリーンに翻訳を載せながらの歌唱、第1部の演奏者による演奏。
三者のコラボに加えて、照明による「月」や「樹木の影絵」、さらには演奏者の影が壁に映し出されるという効果も加わって、実に幻想的な舞台でした。
ボーカルの女性が、作曲者でもあったこと、帰宅して知りましたが、素晴らしい声でした。

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休憩時間に撮った画像です。

正面の譜面台(照明つき)のところで弦楽四重奏が奏でられ、
右手上方の白いスクリーンに歌の日本語訳が照らし出され、
右手舞台上で筝が演奏され、
登場した森山開次氏が中央の緑色の布の下に隠れたり、被ったり、着用したりして(歌い手が差し出す白い服を着用する時間帯も)、樹木や精霊になりきって踊るのです。
いやあ、幻想世界でございました。

スタンディングオベーションの嵐にて終幕。
客席には舞踊業界の方も多かったと見えて、ちょっとアバンギャルドっぽさが漂い、普通のクラシックコンサートとはまた違った雰囲気だったのも面白かったです。

終演後、外へ出たら雪が降っていて、これまたビックリでございました。

12月16日(土)
@紀尾井ホール (Web配信のアーカイブで視聴)

出演:
  • ヴァイオリン:MINAMI(吉田南)、辻 彩奈、外村 理紗、戸澤 采紀、服部 百音、HIMARI
  • チェロ:鳥羽 咲音、北村 陽、柴田 花音、佐藤 晴真
  • ピアノ:亀井 聖矢、吉見 友貴
  • 特別出演:石田 紗樹(ヴィオラ)、鈴木 慧悟(ヴィオラ)、小林 海都(ピアノ)

<プログラム>
  • チャイコフスキー:弦楽六重奏曲《フィレンツェの思い出》作品70(辻 彩奈、戸澤 采紀、鈴木 慧悟、石田 紗樹、佐藤 晴真、柴田 花音、北村 陽)
  • フランク/ヴァイオリンソナタ イ長調(MINAMI、吉見 友貴)
  • ショパン/ピアノ三重奏曲 ト短調 作品8(服部 百音、鳥羽 咲音、亀井 聖矢)
  • ブラームス/ピアノ五重奏曲 ヘ短調作品34(外村 理紗、HIMARI、石田 紗樹、柴田 花音、小林 海都
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ここ数年、日程的に行けない(休日出勤日と重なる)ことが続いていて、案の定、今年もでした。
例年、年明けにTV放映されるので、それを待とうかとも思いましたが、思わずポチリ。
12月22日まで視聴可能で、これからでも購入1500円)できます。

ながら視聴してしまったので(期間中にもう一度聴こうと思っています)、熱量がぐぐっと詰まった演奏が続きました。
演奏前に収録されていたインタビューには、「リハーサルに4日間、リハーサルが楽しい、充実している」といったフレーズも出ていましたが、そうだろうなあ、と思いました。

今、気づきましたが、チェロの北村陽さん、柴田 花音さんは、今年の日本音コンの1位、2位ですね。
(実は、今、クラシック倶楽部のチェロ本選の様子を見ながら書いています。^^)

特に、フランクのヴァイオリン・ソナタは、二人が同じ学校(ニューイングランド音楽院)に在籍中で、アメリカでも合わせていたとのこと。
なるほどの演奏でした。

いつも思うことで、もう言い古されていることですが、
若いっていいなあ。
まっすぐな、ひたむきな、力強さを感じました。
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上手く撮れませんでしたが、最後のカーテンコール。

2023年12月17日(日)14:00開演 15:45終演
@YCC代々木八幡子コミュニティセンター ホール

ハモンドオルガン:山口綾規
楽器(機器):ハモンドオルガンB-3、レスリースピーカー

<プログラム>
  • J.ウィナー:茶色の小瓶
  • J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
  • J.S.バッハ:フーガ ト短調
  • 作曲者不詳:アメイジング・グレイス
  • M.トーメ:ザ・クリスマス・ソング
  • P.チャイコフスキー:『くるみ割り人形』より
~休憩~
  • J.ガーランド:イン・ザ・ムード
  • H.マンシーニ:ムーン・リバー
  • L.アンダーソン:そりすべり
  • A.ピアソラ:ブエノスアイレスの冬
  • J.ホーナー:マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン
  • L.アンダーソン:フィドル・ファドル
  • R.ロジャーズ:『サウンド・オブ・ミュージック』メドレー
アンコール
  • Z.de アブレウ:チコ・チコ・ノ・フバー
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実に楽しいコンサートでした。
演奏者がたった一人だなんて、信じられないほどの豊潤な響き。
山口氏、お一人でストップ入れ替え、譜めくり(譜面のない楽曲が多数でしたが)、演奏、トークと、八面六臂の大活躍。
ほんとに手と足と、2本ずつなのか?と、チェックを入れてしまうほどでした。

軽妙なトークと、闊達な演奏で、聴衆をすっかり魅了。
会場で販売されていた新譜CDは、我々が購入しようとしたときには
「残り1枚です」
ということになっていました(別ルートで購入することにした我々です)。

「そりすべり」や「サウンドオブミュージック」では、のりのりに身体をゆすって楽しんでいるお子ちゃまたちの姿もあちこちに。
あったかい雰囲気に包まれたコンサートでした。

プログラミングも、聴衆を疲れさせず、楽しませるようになっていて、さすがだなあと思っていたら
「僕が愛するシアターオルガンのオルガニストが、かつて上映映画に合わせて行っていたプログラミングと似たような格好になりました」
とのことでした。
(シアターオルガンについては、こちらの記事を参照ください。)

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さるところから借り出されたというハモンドオルガンは、御年55歳とのこと。

「骨董感」醸し出してますけど、そんなに古くはないんです。こんなに傷ついているのは、あちこち旅しまくっているからなんですよ。

とのトークが入りました。
右側の四角い箱は、「レスリースピーカー」というスピーカーで、上部の穴の奥にも、株の黒く空いている部分にも、なにやらぐるぐる旋回しているものが見えていました。
帰宅してから調べてみたら、

レスリースピーカーは1940年にロサンゼルスのドン・レスリー(Donald J. Leslie)によって開発されました。ホーンやローターを回転させることによって生じる周期的なうねりやドップラー効果によるビブラートの響きは、もともと教会のパイプオルガンの代わりとして広まったハモンドオルガンに、大聖堂のパイプオルガンの響きのような荘厳な音の広がりを持たせることとなり、ハモンドオルガンとレスリースピーカーは切っても切れないものとなりました。

という記述がありました(→ハモンドオルガンとは?レスリースピーカーとは?)。

いろいろ勉強にもなりましたし、楽しい時間でしたし、満足感たっぷりで帰宅いたしました。
あったかい日曜日、初めて訪れた会場から駅までの道も気持ちよかったです。

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2023年12月13日(水)19時開演 20時50分終演
@サントリーホール ブルーローズ
(主催)公営財団法人国際音楽芸術振興財団

TRIO VENTUS 受け継がれるロマンティシズム
(Vn:廣瀬心香 Vc:鈴木皓矢 Pf:石川武蔵)

<プログラム>
  • シューマン:ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品63
  • リーム:見知らぬ情景Ⅲ
  • ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調
アンコール
  • シューマン(キルヒナー編):カノン形式による6つの練習曲より 第6番
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ありがたや~の無料コンサート。
仕事後、慌てて夕食をとり、駆け付けました。
会場は大変あたたかくて、よい雰囲気……ということで、睡魔に負けました(恥)。

トリオ・ヴェントス、
前回聴いたときからピアニストが変更になり、表現が丸くなったようにも感じましたが、
今回は全員お元気な姿で、よかったです♪(→前回の記録
初めて聴く曲だったアンコールが可憐で、特に印象に残りました。

それにしても、クリスマスの季節ですねえ。

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