PIOピアノ雑記帳

ピアノ、クラシック音楽関連の話題を主とした雑記帳blogです。

カテゴリ:【音楽以外の芸術ジャンル】 > 美術

小池都知事による
週末の外出自粛要請 
が発効する前に、と外出を決行。
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こんな美術館があることを初めて知りました。
エマーユとは、フランス語で〈エナメル七宝〉のこと。
フランスのリモージュが、その芸術の中心地。
ナポレオン3世時代やアール・ヌーヴォー期のエマーユ小箱、絵画、装身具を集め、展示する、日本初のエマーユ専門美術館だそうです。

このご時世ですが、10名ぐらいの来館者がいました。
美術館といっても、
マンションの1階が装身具の店舗、2階が展示コーナー、というつくり。
展示品すべてにキャプションがついていて、わかりやすかったです。
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いかにも貴族趣味的な繊細さ、きらびやかさにタジタジ。
なかなか面白い体験でした。
両親から招待券を譲ってもらって、感謝です。

せっかくの晴天だったので、帰りは目黒川沿いをお散歩。
桜は🌸7分咲きぐらいだったでしょうか。
中目黒駅側は、なかなかの人出でした。
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本日見つけた、ネット記事のご紹介。
展覧会とオーケストラ〜無観客配信の舞台裏〜

あの配信、ニコニコ動画の社長さんが、
東響の理事をされている、 というご縁だったのですね。
8日、14日ともに、楽しませていただきました!

ニコ動のコメントに、
演奏者の方々も喜ばれたとのこと。

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14日の「上を向いて歩こう」のアンコールは、
8日の配信の反応を見た指揮者の鶴の一声で決まった、とのこと。
いろいろ、臨場感あふれる様子が窺えました。

美術館の配信の方は、全く知りませんでした。
これからも、こういった配信がしばらく続きそうですね。
恩恵にあずからせていただきます。 

これは、不要不急の外出になってしまうのか??
という危惧を少しは覚えましたけれど、
でも、前売り券を買ってしまっていたので、えいやっと行ってまいりました。
東京都美術館。

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まるで展示中の絵とシンクロするかのような、灰色の曇天のなか。
色実を抑えて描かれた、北欧の静謐なる空間、堪能いたしました。

Cob\vid-19の影響で館内はガラガラ?なんて予想していましたが、それほどではありませんでした。
もちろん、大混雑ということはありませんが、なんとなく順番を待たないとキャプションが読めないという箇所も何か所か。

デンマークという国が島国であるという認識、私には薄かったなあと自覚しました。
首都コペンハーゲンは、シェラン島という島に位置しているんですね。
そして、多くの画家が、ユトランド半島の北端に位置するスケーインという町に魅せられ、「スケーイン派」という一派をなしていたということも初めて知りました。
この港町を描く一派は、外の風景や、海で働く漁師たちに惹かれたのに対し、
ハマスホイは、首都デンマークの部屋の中に美を見出す。。。面白いです。

家具として、また楽器として、「ピアノ」がタイトルに入った絵も何点か。
でも、あれは、ピアノというよりクラヴィコードでは?と思いました。
まるで机のような平たさ、鍵盤の少なさ、からいって。。。
英語表記の原題でも確かに「piano」になってましたけれども。

ショップでは、最近のプラスチック製品敵視(?)と軌を一にする動きなのか、
購入した品物を入れるのは展覧会特製の「紙袋」になりますが、いいですか?という一言が。
そして、紙フォルダというのがドドンと目立つところに置いてありました。
粗忽者の私は、紙製はすぐに破いてしまいそうで、例のごとくのプラスチックを購入してしまいましたが。
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ささくれがちな心が、ふっと落ち着く気分になりました。
行ってよかったです。

国立新美術館に足を運びました。
私にはめずらしくイヤホン・ガイドも借りてみましたよ。
ナビゲーターは金子美勇士氏。ハンガリーといえば彼ですね。
一部、金子氏によるピアノ演奏も吹き込まれていました。
  1. ハンガリー狂詩曲 第2番 フランツ・リスト作曲
  2. ピアノ・ソナタ 第3楽章 バルトーク・ベーラ作曲
  3. 巡礼の年 第1年 スイス S.160 より 泉のほとりで リスト作曲
  4. ハンガリー狂詩曲 第16番 リスト作曲
  5. ラ・カンパネラ リスト作曲
4番目のハンガリー狂詩曲第16番は、展示されていたリスト晩年の肖像画(この絵が描かれた4か月後にリスト死去)を手がけた画家、ミヒャエル・ムンカーチに献呈されたものとのこと。
そのお礼として、リストの肖像画を描いたのだとか。

今、バルトークとリストで、なぜ姓名の語順が違うのか?と不思議に思いましたが、
ハンガリー語では普通「姓・名」の語順なのですね。
バルトークはこのハンガリー流の語順で表記し、
国際的に活動したリストは通称どおり「名・姓」の順に表記したのでしょう。
彼、そもそもハンガリー語があまり得意ではなかったという話も聞きますし。

さて、ポスターでもよく目にする
鮮やかな色彩が目を惹く≪紫のドレスの婦人≫は、ハンガリー国のモナリザ的な扱いなのだとか。
発表当時、専門家の間では不評だったそうですが、国民に大人気。

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全部で130品も展示されていて、
まさにヨーロッパの美術史をお勉強するような感じでした。
市民革命、産業革命が、宮廷画家の世界から市民の絵画へ、という流れを作ったことは知っていましたが、
それより前の時代、宗教改革の影響が絵画に現れていたとか、新たな発見もありました。
わかりやすかったです。
あまり混んでいなくてゆっくり見られたのもGOODでした。

ピアノ弾きあい会のあと、
せっかくだからお茶しましょう♪と訪れたのが、こちら。

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去年の夏にも訪れた藤城清治美術館のカフェです。
今回なんと、お店の中には藤城清治氏ご自身のお姿が。
リハビリをかねて、1日に1万歩ほどは歩かれ、その途中に立ち寄られるのだとか。
「ほら」
と、万歩計が8000歩以上を示しているのを見せてくださいました。
とっても気さくな先生でいらっしゃいます。
色あざやかなメルヘンを感じるファッションで、
作品同様の妖精さん的な雰囲気をまとっておられました。

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お言葉に甘えてサインもいただいた私たち。
90台半ば過ぎでいらっしゃるはずですが、とてもそうは思えないしなやかな動作に感服いたしました。

まるで春のようなうららかな日、
おしゃべりにも花が咲いて、ついつい長居をしてしまった私たち。
いい一日でした。

日本画のことなど、何もわからないのですが、
友人たちから「いいよ!」と聞いて、会期末間近の特別展に足を運びました。
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鏑木清方(1878-1972)は東京神田の生まれ。
展示室に入るや、すぐに並んでいたのが、

《明治風俗十二ヶ月》(1935 年)。

え?明治だよね?江戸じゃないよね?
と思ってしまった私。
そうですよね。
昭和に入ってからも、いえ、戦後もしばらくは普段着は着物だったのですよね。
考えてみたら、私の祖母だって、私の幼少時は普段着の着物をよく着ていました。
こういう感覚、忘れてしまっていたなあ。

12か月それぞれ、季節の風俗が生き生きと描かれていて、
これ、気に入りました。
例えば10月は、夜8時頃を指す掛け時計(近代の象徴ですね)の下で、
和服姿で針仕事をする女性二人と、
その横で小さなちゃぶ台のような机に向かって勉強する丸刈り頭の少年。
もちろん、椅子なんてなし。和室に座り込んで、鉛筆ならぬ「ふで」使用。
うう。ほのぼの。勉強の秋。
こういう日本の風景に、思いっきりノスタルジーを感じちゃいました。

展覧会の呼び物となっている
《築地明石町》
さすがの美しさでした。
美女三人を描いた作が三つ並んで掛けられているのは、まさに圧巻。
中でもやはり、中央の明石町が美しかった。
彼女が来ている緑色の和服の布地が再現されて展示されていましたが、これまた素晴らしい。

清方の描いた絵巻物もありました。
絵はもちろんですが、文字の美しさにも息をのみましたよ。
明治、大正時代って、こういうものが生きていたんですね。

清方って、フィンセント・ファン・ゴッホの25歳年下。
(ちょうどゴッホを描いた小説を読んだばかりなので、思った次第)
清方は浮世絵師ではなく、
「挿絵画家として画業をスタートさせ」て「美人画で上村松園と並び称された日本画家」ではありますが、浮世絵の精神は着実に受け継いでいる芸術家でしょう。
そう考えると、
ゴッホの時代はもちろん、その一つ下の世代でも、
日本での浮世絵、日本画って、まさに「今、生活の中で生きているもの」だったんだなあ
なんて思いました。

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画像は、美術館4階の「眺めの良い部屋」。
ここでしばらく、ぼーっとしてました。
ゆっくり過ごしたのは、初めてだったかも。東京国立近代美術館。
おすすめです。

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お友達の方の作品が展示されている公募展。
それも、受賞されたと聞いて、これは見に行かねば!
と、行ってきました。

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美術館では、いろいろな展覧会が開催されています。
そのうちの一つに入場してきただけなのですが、
その一つだけでも、ほんとに多くの作品が展示されていて、圧倒されました。
作品ひとつ、ひとつ、時間をかけて、精力を注ぎこんで、制作されたのだろうなあ、、と。

お友達の作品は、ちょうど視線の高さのところ、出口近くの壁の中央に。
さすが受賞作品だけあって、鑑賞に最適。
去年の入選作(同一テーマの二点)はちょっと見上げなくてはいけない位置でしたから、
おおお!出世されている!!
と思いました。

去年からの連作です。
去年は妊婦さん。
そして今年は、抱いた赤ちゃんと目を合わせる若いお母さんの母子像。

題材も、質感も、色彩も、希望を感じさせるもので、
後光がさしているように見えました。
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芸術の秋、です。
すごいなあ。。と会場を出て、木々もちょっと紅葉し始めていることに気づきました。

@森美術館

先週の「夕方美術館」に味をしめて、また足を運びました。
早めの時間にお仕事を切り上げられる木曜日は、今週が最後。 

友人が何人か足を運んでいた美術展。
先月のボルタンスキー展も印象深かったので、改めての現代美術です
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「魂がふるえる」
って、感動するってことかな~
と、ぼんやり考えていましたけれど、そんな生易しいものではなかったです。

禍々しい(まがまがしい)
痛々しい(いたいたしい)
おどろおどろしい

そんな展示物(「インスタレーション」という表現を使うのですね)が、
映像が、動画が、これでもか!これでもか!
と連続する様相に、まずもって、ドカンとやられました。
「赤」
これって、ほんと、「血」そのもの。

それなのに、
なぜか、美しさも、なんというか崇高さも、感じるのですよね。

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ピアノ、です。
なんでも、塩田氏、火事に焼け焦げたピアノが路上に放り出されているのを実際に見て、インスピレーションを得たのだとか。

生と死という人間の根源的な問題に向き合い、「生きることとは何か」、「存在とは何か」を探求しつつ、その場所やものに宿る記憶といった不在の中の存在感を糸で紡ぐ大規模なインスタレーションを中心に、立体、写真、映像など多様な手法を用いた作品を制作。 
出典:https://www.chiharu-shiota.com/


壊れかけのピアノと、聴衆用の無人の椅子が、
黒い糸で、まがまがしく囲われています。
音の響きって、外に広がっていくはずのものなのに、逆に囚われてしまっているような。
でも、それが、音楽を通したコミュニケーションを象徴しているような。
音楽の発生源が壊れているからこそ、結ばれている、とも受け取れるような。
ううむ。多義的、哲学的。

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拠点としているベルリンで、
実際にビルから取り壊された窓枠とか、
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無数のカバン、それも不気味に自ら動いているもの、とか。
またもや、アウシュヴィッツをほうふつと……。

でも、ある意味、
「人生、苦しんで、いいんだ。みんな、苦しいんだ」
「何かに囚われてるっていう感覚だって、普通のものなんだ」
といった、
一種の開き直り、というか、さわやかさ、のようなものも感じました。

面白かったです。

美術館のある52階には、展望台も。
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ほんのり、秋の夕焼け。
まだ17時半なのに。
日暮れが早くなりました。

@東京都美術館
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お仕事がいつもより早く上がれる日だったので、
せっかくの機会!
と、16時半に会場に飛び込んで、閉館時間17時半まで、たっぷり楽しんできました。
この時間帯、すいてます。おススメ!

全60作品、プラス 手紙やポスターなどの使用24点。
すべてに説明のキャンプションがついていました。
わかりやすくてGOOD。

解説動画も、とても親切でした。
大きいのは10分ぐらいだったかな。
小さい1分動画もあちこちに。
コーナー、作家ごとの有名作品には、X線画像とその解説パネルも。
コートルード美術研究所の研究成果によるもの、とのことです。

レーヨンの生産販売で財をなしたイギリス人実業家なんですね、Courtauldって。
わずか10年のあいだに、すごい質と量の美術品を買い付けたと知って驚きました。
フランス印象派、同時代人からの評価は低かったとは聞いていましたが、
イギリスでは見下されていたんですねえ。
そんな風潮に反旗を翻して、使命感に駆られて作品を集めたのがCourtauld氏。

作品の見事さと同時に、
芸術作品の受容、後世の研究、といった側面にも目を向けさせられました。

19世紀半ばに街並み大改革を果たしたというパリ(「ブラタモリ」でおべんきょ済み)の娯楽施設に漂う怪しげな雰囲気とか、郊外も工業化されていく様子とか、社会を垣間見るのも興味深かったです。

美術に詳しい友人と新国立美術館を訪問。
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 美術館は、とんとご無沙汰だったこともあり、何か体感してみたいなあと現代美術を選択した次第。
付け焼き刃の予習で、ユダヤ系アーティストと知りましたが、まだ記憶に新しいアウシュヴィッツを彷彿とさせる展示がここそこにありました。
ただ、アウシュヴィッツは「ナマの実物」の、まさに生々しさが迫ってきたのに対し、やはり美術館では、芸術は、生々しさの中に「美」があります。
作品群が、全体としてまた新たな作品となることを実感。
美術といえども、心臓の鼓動、天を思わせる鈴のような音色など、音響を効果的に使用していて、それが大きく響く部屋、かすかに聞こえる空間、入り混じって届く区画、それぞれに訴えかけてくるものがありました。 

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この小山、黒い洋服を積み上げたもの。
アウシュヴィッツで見た、髪の毛の山を彷彿とさせます。
撮影許可エリアです。
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 上方には人々の写真。
この集合体の持つ威力に圧倒されました。
また、鑑賞者たる現実の人々もまた、芸術作品の一端であるような。
絶妙の混雑具合でもあった日曜の午後。

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この後、友人とウィーンの香りのお茶の時間を楽しみました。
あっというまに日は傾き、秋風の片鱗も体感。
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閉館時間を過ぎても、乃木坂駅までのショートカットのため、敷地内を通らせてくださった美術館の配慮に感謝。 

ネットでポチッと応募した招待券が当たりまして、行ってまいりました。
五島美術館。
東急電鉄の創始者、五島家の持つ美術品を集めた美術館。
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このお隣には、
五島なにがし様の表札を掲げた、門構えも立派な邸宅が並んでまして、 さすがだなぁと感じ入りました。

展示は、日本の近代絵画がメインで、
横山大観、下村観山、川合玉堂、上村松園、前田青邨……聞き知った名前がズラリ。
明治、大正期の「人物を扱った絵」というと、達磨像など仏教と関わる絵、聖徳太子像なと、歴史的な絵が多くなるのですね。平成、令和期とは全く異なります。

合わせて「石印材」いわゆるハンコも展示されてましたが、素材、字体ともに、大きさも風情も千差万別。
なるほど、これは芸術の一分野であると納得しました。
で、
新天皇即位の儀でも「金印」が重要な役割を果たしていたことを思いました。

深緑の季節。
「こちらもどうぞ」と勧められた美術館の庭園は、木々が野放図に生い茂る裏山のようになっていました。
藤棚は葉っぱばかりで花はなく、ツツジの花は枯れ果てて。
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この日は晴天でしたが、曇天だったりしたら、ちょっとおどろおどろしいかも?

ここに向かったのはお昼前の時間帯。
せっかくだからと1時間以上、お散歩しつつ足を運びましたが、世田谷にブドウ園やら平飼いの鷄やらも発見して、ちょっとびっくり。
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住宅地の中にポツンとあるカフェでのランチが美味しゅうございました。
このお店、写真撮影、SNS投稿禁止とのことで、画像なし。

直射日光を浴びながらのお散歩は、後でジワジワと疲れが出ました。
ちょうど1万歩ほどの運動でした。
 

水曜午前、東京都美術館のクリムト展へ。
混雑覚悟でしたが、入場制限もまったくなく、じっくり1時間半ほどで鑑賞できました。
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大変に充実した展示でした。
上の画像は展示室出口のモニュメントですが、この「女の三世代」(ローマ国立美術館)の実物は、大きさ、図柄、色合い、迫ってくるものがありました。
やはり金箔はゴージャスです。

油彩に金箔を使用した最初の作品という「ユディトⅠ」(ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館)、今回の展覧会のチケットに採用されている「ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)」(オーストリア演劇博物館)、本物は、思ったよりも明るく淡い色合いの画面に感じました。美!

でも、最も印象深かったのは「ベートーヴェン・フリーズ(原寸大複製)」。
部屋全体の壁面が、ベートーヴェンの第9交響曲に喚起されたイメージで構成されているのです。
「黄金の甲冑で武装した騎士が幸福を求めて敵に向かい、楽園にたどり着くまでの旅路が絵巻物のように展開する。ベートーヴェンの交響曲第9番に着想を得たこの壁画は、天使たちによる合唱と、男女の接吻で締めくくられる。」
 と解説されていましたが、やはり壁全体の大きさで三方を囲まれると、迫力です。
とはいえ、その壁面全体にあふれるように絵が描かれているのではなく、画面構成にメリハリが利いているのです。リズムのようなものを感じます。さすがです。

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☝画像は、記念に買ったクリアファイルです。

エロティックなモチーフにより物議をかもすことの多かったクリムトですが、
その結果、ウィーン大学に依頼されて制作した壁画《医学》《法学》《哲学》は、まさにその点が問題視されて、結局展示されずに突き返されてしまったり、
もっと若い時期の1899年に完成した《ピアノを弾くシューベルト》《音楽》という作品が、1945年に焼失してしまったり、
残念なことも多々あったのですねえ。

1918年に55歳で死去。
ちょうど私より100歳年上と知って、ちょっと親近感がわいたりもしました。

3月25日の記録、まだ続きます。
国立西洋美術館を堪能(午前11時前から15時半過ぎまで)した後、
外に出て、上野公園の人込みにびっくり。

今日、月曜だよね?平日だよね?

と友人と確認すること数度。
疲れちゃったからお茶でも~と思うも、どこも人でいっぱい。
それなら、国立博物館でお茶する?入館料かかるけど、いいよね?
という話に。

まずは庭園へ。
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満開とはいかないまでも
夕方のちょっと寂し気な風情での桜、なかなかよかったです。
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お庭に点在する日本家屋もなかなかの情趣。
そうこうするうちに、
「やっぱり展示も見たい!」
という気持ちがむくむくと。

国宝の「花下遊楽図屛風」(加納長信筆・17世紀)が展示されていました。
400年前のお花見の様子をじっくりと。

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照明が映り込んでしまっていますが、楽し気な様子が伝わります。(一部のみ撮影)
踊ってます、食べてます。
この屏風以外にも、あちこちに「桜」関係の展示があって、祝祭感が漂っていました。

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閉館時間の17時ぎりぎりまで鑑賞続行。
ほんと、芸術でおなかいっぱい!
上野公園、偉大なり。
そうそう、
お茶する?……の話は、東博地下の自販機前のベンチにて、とあいなったのでした。

3月25日の記録の続きです。
ミュージアム・コンサートの後は、友人とランチして美術展巡り。
芸術でお腹いっぱいの一日となりました。
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西洋美術館自体が、コルビュジェの設計による世界遺産ですから、
美術館側にも自負と誇りを持って臨む展示会に違いありません。
その意気込みが感じられる、たいへん充実した内容でした。

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本館1階は撮影OKとのこと。
なるほど、この建物自体が魅力的だわ~と再確認。
採光のしかた、縦の線、横の線、美しいです。
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  • シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエの本名)、
  • 画家アメデ・オザンファン、
今まで私には馴染みのない名前でしたが、これで二人とお知り合いになった気持ちです。
「ピュリズム」という言葉も。

1918年には、キュビズムに対する批判を展開していたのに、
数年後にはその意義を認めてともに活動していく、という流れも面白かったです。
「形を壊すなんて怪しからん」
から始まったピュリズムの主張も、形の様式、要素と、突き詰めていくと……って話。
ジャンヌレ、オザンファン、二人の作品って1918年~1924年ぐらいに集中していて
ピュリズムの運動は1928年には終息するって、凝縮の10年間だったのですね。

でも、やはり、ジャンヌレについては
絵よりも住宅のほう、建築の旗手、ル・コルビュジエとしてのセンスに感銘を受けました。
そりゃそうですよね、だからこその世界遺産!
ドイツはワイマールのバウハウスの建物とも類似性を感じるなあ……と思ったら、
一緒に行ったドイツ留学経験あり、美術に詳しい友人が「関係あるよ」と。

いろいろ刺激を受けました。
おすすめの展覧会でございます。

そうそう、
ジャンヌレ(ル・コルビュジエ)のお兄さんはヴァイオリニストで、フランスにリトミックを広めた人なのだとか。
ジャンヌレ、オザンファンの二人が発行した雑誌『エスプリ・ヌーヴォー(新しい精神)』では音楽の評論なども掲載したのだそうですよ。
いろんなジャンルを超えた芸術活動が、新しい世の中を牽引するのでしょうね。
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企画展の後は、常設展もゆっくり鑑賞。
春の光が入り込むコーナーは気持ちよかったです。


常設展は撮影自由。
音楽関係の絵を撮ってみました。

♫ヴィルヘルム・ハンマースホイ(1864-1916 デンマーク)
ピアノを弾く妻イーダのいる室内(1910年)
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♫ラウル・デュフィ(1877-1953 フランス)
モーツァルト(1943年)
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2018年11月23日~2019年1月27日
@Bunkamura ザ・ミュージアム

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昨日、今年度の仕事が一つ、区切りを迎えました。
ホッとした勢い(?)で、思い立って久々に美術展に寄り道。

4つのコーナーに分けられた展示はわかりやすく、無理なくその世界へ。

1.ロマンティックな風景(1-1.春 1-2.夏 1-3.秋 1-4.冬)
2.ロシアの人々(2-3.ロシアの魂  2-2.女性たち)
3.  子供の世界
4.  都市と生活(4-1.都市の風景  4-2.日常と祝祭)

絵のタイトルや解説で
「トロイカ」「赤いサラファン」
といった語に遭遇するや頭の中でロシア民謡が鳴り出したり、
チャイコフスキーのピアノ曲「四季」が思い出されたり、
子供時代、知らず知らずのうちにロシアに親しんでいたんだなあと気づきました。

ポスターに採用されているクラムスコイの「忘れえぬ女」(1883年)、やはり実物はポスターとはオーラが段違い。
その立体感・存在感に、圧倒されました。

イワン・クラムスコイという人、知りませんでしたが、
アカデミズムを嫌って「移動派(移動展覧会協会)」を設立し、民衆の生活を描いて社会の矛盾や歪みを告白したのだそうで、1870-1923年に48回の展覧会を開催といいます(本展覧会作品リストに掲載の解説による)。
チャイコフスキーが1840-1893年、ラフマニノフが1873-1943年の生涯でしたから、まさに同時代ですね。

音楽にまつわる絵も多々。
  • 「ピアニスト・指揮者・作曲家アントン・ルビンシュテインの肖像」(byイリヤ・レーピン 1881年)
  • 「楽しいひととき」(byアントニーナ・ルジェフスカヤ 1897年)木屑の散らばる部屋で、祖父とともにアコーディオンに合わせて踊る少女
  • 「悲痛なロマンス」(イラリオン・プリャニシニコフ 1881年)ギターを抱えて下心たっぷりに若い女性を口説く男
  • 「大通りにて」(ウラジーミル・マコフスキー 1888年)アコーディオンを手にベンチに座る出稼ぎ労働者風の男と、赤ん坊を抱いた若い妻
アコーディオンといっても、サイズ的には胸全体を覆うほど大きくないような?民衆の生活に溶け込んでいたようですが。
ググってみたら「ロシア式アコーディオン」として「バヤン」という楽器名出てきました。これかな? 

名前といえば、
イワン、アンナ、ウラジーミル、…
〜スカヤ、〜スキー、〜コフ、 …
ロシア人は似た名前が多くて、小説を読むとき人物を混同しそうになってはボヤいたものでした。 

 
いろいろ発見があるとともに
過去の記憶が蘇って、懐かしくもなった展覧会でした。
 

浜松国際ピアノコンクールの真っただ中、聴きたい気持ち満々ではありますが、
平日昼間のLIVE視聴は、仕事持ちには無理!無理!……でもって、
アーカイブが上がってくるのがほぼ24時間後とあっては、またその視聴も無理なのですぅ。
海外のコンクールの方が時差を利用して聴きやすいのであった!と気づく私。
今日は夜間の会議まで入っていて、ま~ったく聴けなかったのでした。
明日の午前中はちょっと時間がとれるかも……だけど、ああ、仕事の準備もあるから微妙~

ということで、
気分を切り替えて、書評をアップ。


山田五郎・こやま淳子 著 ダイヤモンド社 2015年11月刊

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何やら不穏なタイトルに見えますが、いやこれが、読みやすく、わかりやすくGOOD!
美術史、いや、世界史のいいお勉強にもなりました。

1 ルネサンス三大巨匠(ダ・ヴィンチ vs ミケランジェロ vs ラファエロ)

2 やりすぎバロック(カラヴァッジオ vs ルーベンス vs レンブラント)

3 理想と現実(アングル新古典主義 vsドラクロアロマン主義 vs クールベ写実主義

4 2文字ネーム印象派(マネ vs モネ vs ドガ)


ダ・ヴィンチは飽きっぽい芸術家肌。構想メモやスケッチは多量なれど完成した絵画作品は少なく、妙な実験的制作の結果としてボロボロになったり途中で投げ出したりした作品あり、
とか
ミケランジェロは他人を信用しない偏屈者で、筋肉フェチのワーカホリック、
とか
ラファエロはコミュニケーション力にもビジネス感覚にも優れた職業画家。弟子をどんどん雇って工房で描かせ、その技量の確かさで絵画のお手本となり、大作の依頼も多かった、
とか。

私、数年前に「カラヴァッジョ展」を見たんですが、今回やっと、彼の立ち位置がわかりました。
ルネッサンスから200年後のバロックの時代、「豪華すぎる、派手すぎる、ドラマチックすぎる」絵を描いた人。。。動きのある瞬間をとらえて、光と影の対比でさらにドラマチックに演出。
なるほど。
で、その画風を真似た「カラヴァジェスキ」の一人がルーベンスであった、と。
無頼なカラヴァッジョに対し、
7か国語も話せたルーベンスは、絵画で外交もやってのける大物だったんですね。

奥さん大好きな画家たちは、
奥さんにコスプレをさせた姿を絵にして残している、な~んて指摘も楽しかったです。

モネが睡蓮を200枚も描いたのは、亡くなった奥さんへの鎮魂の儀式?モネの心の闇の浄化?……写経みたいなもの?だって、睡蓮は東洋では極楽浄土の花。おおお。

いろんな「おおお。そうであったか。」が満載でした。楽しく読了。

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