Liebe - Freude Musik Für due Mensshheit
2018年4月28日(土)16時開演 18時終演 
@コンツェルトハウス・ベルリン

ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団
指揮:IVAN FISCHER(イヴァン・フィッシャー)

日本語詩の朗読:HANNAH YUKIKO KUSAKA (2003年生まれ)*

ベルリン放送合唱団**
ソプラノ:CHRISTIANE KARG(クリスティアーネ・カルク)**
アルト:GERHILD ROMBERGER(ガーヒルド・ロンバーガー)**
テノール:MAURO PETER(マウロ・ピーター)**
バス:Hanno Müller-Brachmann(ハノ・ミュラー=ブラッフマン)**
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<プログラム>
武満徹(1930-1996) 系図(Family Tree)~若い人たちのための音楽詩~*
                                  (詩:谷川俊太郎)
~休憩~

ベートーヴェン(1770-1827)  交響曲第9番「合唱付き」 Op.125**
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まずは、会場コンツェルトハウス・ベルリンの重厚さに圧倒されました。
外装といい、内装といい、その威容、華麗さに歴史の重みをひしひしと感じました。

武満徹の「系図」は、谷川俊太郎の詩集『はだか』から選んだ6篇の詩を少女の一人称の形に武満自らが再構成し、管弦楽曲全編にわたって配した作品です。
今回の舞台には、振袖姿の15歳の少女が登場し、その詩をすべて日本語で朗読。
ステージ上方に詩のドイツ語訳が同時投影され、会場全体が意味を理解しつつ聴いていることが肌で伝わってきました。
第1曲「むかしむかし」、第2曲「おじいちゃん」、第3曲「おばあちゃん」、
第4曲「おとうさん」
〈おとうさんのはしがさといもをつまんだ/くちをあけたらおくのきんばがみえた/おとうさん/おとうさん/ずうっといきていて〉
といった具合に続いていく詩です。第5曲「おかあさん」、最後の第6曲「とおく」。
異国で聴く日本語詩に、なんだかジーンとしました。
管弦楽団との共演は珍しいのでは…と思われるアコーディオンの音色も、詩と合っていて心に沁みました。

また、後半の第九では、いつもステージ上に陣取るはずの合唱団も、声楽ソリストも姿が見えず、
どういうことかと思っていたら、ソリストは目立たないようにオーケストラ団員の中に座っていて、歌う箇所になると立ち上がり、舞台中央に歩を進めるという形。
そして、合唱団はというと、なんと彼らは舞台ではなく、客席の中に散らばって座っていて、こちらも歌う個所になると立ち上がって歌いだし、終わればまた座るという形だったのです。
すぐ近くの席から聞こえてくる合唱団員の歌声は、それはさすがのもので、驚嘆しました。
また、天井が高く音響のいいホールならではの演出に感じ入りました。
同じパートの中に陣取って集団として歌うのではなく、客席の中に散り散りになって「個人」として歌いつつ合唱とするには、相当の技量が必要なことでしょう。

前半、後半ともに忘れられないプログラムとなりました。
(下記の写真で立ち上がっているのがソリストたち。演奏後の拍手時の写真です)
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