第11回【ヒップポップ~知的でクリエイティブな側面】(6月14日放送)
カルチャーラジオ 芸術その魅力(ラジオ第2 毎週水曜 8:30pm | 再放送 毎週水曜 10:00am)
<シリーズ> アメリカン・ミュージックの系譜   慶応義塾大学教授…大和田俊之



ヒップホップが成立するための条件:電気的、電子的な反復するビート
ヒップホップとは無関係にさまざまな人々が実験をしていた。
代表的なのが日本のYMO(イエローマジックオーケストラ)坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏→世界的な影響力

ヒップホップはどう始まったか?
1970年代 ニューヨークのブロンクスで発祥。当時はスラム化し荒んでいた状況。
ディスコに行けないアフリカ系アメリカ人の若者たちが、公園などでブロックパーティー というダンスパーティーを楽しんでいた。
ドラムだけ(ドラムブレイク)になると、ダンサーは「私たちのために空間をあけてくれた」という感覚になり、盛り上がる。→このブレイクがもっと長ければいいのに。

フロアー(需要者)のニーズに基づいて作品を改変する。
もとの文脈から引き離して改変していくというのは、徹底的にポストモダンな考え方。
ジャズの即興演奏と同じように「今のフレーズはかっこよかったね」という感覚。言葉遊び。

元の楽曲を素材として、あらゆるビートを作っていく。
昔の楽曲は「素材の鉱脈」という考え方。ある楽曲のソロの即興演奏のうち数音だけを捉えてビート化することも。→印税は誰に支払うべき?その都度考えて払っている。
近代的な著作権の考え方(あるアーティストが内面から湧き上がってきたものが芸術。内面に創作のリソースがある)ではとらえきれない新しい動き。
ヒップホップの創作の源泉は「データベースの検索」にある。新しい形の創作物。