第10回【R&B・ソウルミュージック~第2次大戦後のアフリカ系アメリカ人の音楽文化と公民権運動の関係】 (6月7日放送)
カルチャーラジオ 芸術その魅力(ラジオ第2 毎週水曜 8:30pm | 再放送 毎週水曜 10:00am)
<シリーズ> アメリカン・ミュージックの系譜   慶応義塾大学教授…大和田俊之



戦後の黒人音楽(1)
1954年 公民権法成立 →差別政策は違憲とされる。
これを機に、公民権運動の性格が変わっていく。
以前は白人と黒人(キング牧師を中心に)が協働して公民権運動に取り組んだが、
60年代以降、黒人が先鋒化。暴力的行為も辞さなくなったため、白人は手をひいていく。

音楽シーンでは、
◆1959年 モータウン・レコードの創設
ここからダイアナ・ロスやスティビー・ワンダー、ジャクソンファイブなどの数々のヒット曲が誕生。
しかし、1990年代までは、
「モータウンの音楽は本物の黒人音楽ではない。大衆化、ポップス化した偽モノだ」
という認識が一般的だった。
「黒人音楽は、もっと野生的でビートの効いたものであるべきだ」という認識。
これはステレオタイプ、いわば先入観によるもの。
モータウンこそが、ミュージシャンも会社組織の運営側も、すべてが黒人であった。
スタジオミュージシャンはもちろん、制作側もすべて、というのは当時として画期的。

当時、「本物の黒人音楽」として扱われていたもののほうに、
実は、多くの白人が、スタッフとしてもミュージシャンとしても入り込んでいた。

作られたステレオタイプの強さを示すもの。