第7回【ジャズ(即興芸術)の誕生Ⅱ~同時代のアメリカ芸術(文学・アート)との関係】(5月17日放送)
カルチャーラジオ 芸術その魅力(ラジオ第2 毎週水曜 8:30pm | 再放送 毎週水曜 10:00am)
<シリーズ> アメリカン・ミュージックの系譜  慶応義塾大学教授…大和田俊之



国際音楽コンクールにかまけて、すっかり脇に追いやられていたラジオ講座関係の記事を
遅ればせながらアップします。

1950~60年代に「ジャズ=即興音楽」のイメージが社会全体に浸透した経緯

(1)白人の作曲するスウィングジャズ(by ビッグバンド)が大流行
仕事が終わったあとの小規模な打ち上げの中から、即興のソロを中心とした演奏が生まれ、ビバップと名付けられる

(2)1920年代 不況 世界恐慌により、ビックバンドが維持できなくなる
小規模のビバップが注目されるようになる

(3)ジャズミュージシャンの記譜法が生まれる
音楽の楽典を記号化(音符よりコード)
音楽理論が演算可能になっていく

♦︎西洋、白人の音楽=成文化された音楽
これと対立する非白人音楽として、
♦︎黒人の音楽=即興
という図式が生まれる。
この図式を遡って適応することで、
♦︎ジャズ=即興(インプロビゼーションimprovisation)
という概念が生まれ、定着することになった。
つまり、後世になって適用された概念。
黒人音楽は伝統的に即興という歴史的事実があるわけではない。

これは音楽に限らない。
♦︎西洋の芸術=完成された、硬直した作品概念
と見る見方は美術にも。文学にも。
これと対立するものとして生まれたのが、アメリカの芸術。