@東京オペラシティコンサートホール
19:10開演 21:50終演

ピアノ:サー・アンドラーシュ・シフ

<プログラム>
  • メンデルスゾーン:幻想曲 嬰ヘ短調 Op.28「スコットランド・ソナタ」
  • ベートーヴェン: ピアノソナタ第24番 嬰ヘ長調 op.78「テレーゼ」
  • ブラームス: 8つのピアノ小品 op.76
~休憩~
  • ブラームス:7つの幻想曲集 op.116
  • J.S.バッハ: イギリス組曲第6番 ニ短調 BWV811
アンコール
  • J.S.バッハ: イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971 第1楽章
  • 同上 第2、第3楽章
  • ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第12番 変イ長調 op.26「葬送」から 第1楽章
  • メンデルスゾーン: 無言歌第1集 op.19bから「甘い思い出」、同第6巻 op.67から「紡ぎ歌」
  • ブラームス: インテルメッツォ イ長調 op.118-2
  • シューベルト: ハンガリー風のメロディ D817
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今月、唯一開催されたコンサート。
マスク必須、
チケットもぎり、プログラム配布&販売、クローク、飲み物販売、すべてカット!

開演前には、ステージ上にスクリーンが設置されていて、シフ氏のメッセージ動画、covid-19厳重警戒のための振る舞いのお願い等が、投影されていました。

さて、開演。
なんというか、もう、シフ氏は「神」でした。
1台のピアノから、どうやったら、こんなに多彩な音色が出せるのかっ!
マジック・ショーのような感じも。
オルガンのように響いたイギリス組曲。
チェンバロの響きが聞こえたイタリア協奏曲。

前回のリサイタルでは、
「休憩なしで一つの凝縮された芸術世界を構築する」
という異次元の試みを完遂したシフ氏。



今回は、
「音楽って、こんなに深くて、広いんだよ!」
というメッセージだったような。

あらゆる生演奏から隔絶されていた我々、ほんとに、スポンジのようになって、シフ氏の紡ぐ音楽を堪能いたしました。
シフ氏の素晴らしさはもちろんですが、聴衆の集中力もまた、特筆すべきものだったと思います。

アンコール6回!
最期は会場全員総立ち!
音楽、素晴らしい!


【追記】3/13
昨日は興奮状態で☝を書きなぐり、そのまま寝てしまったのですが、
一晩明けて、曲の感想を何も書いていないことに気づきました。

全般的に、テンポは速め、
ルバートで歌いあげるというより、音色で陰影をつけつつ
音楽の推進力を感じさせる、という弾き方だったように思います。

びっくりしたのは、テレーゼ。
ベートーヴェンのソナタの中では、
ちょっと軽めの位置づけの曲のように思うのですが、
この1曲だけを他の作曲家の曲の中に置いてみると、
いやまさに、
「ベートーヴェンらしい構築力」をドドーンと感じました。
この曲に対するイメージが一新してしまいました。
格調高さに背筋が伸びる思い。

ブラームスの重厚感にも痺れました。
下手をすると退屈になってしまいそうな、曲集全曲通し演奏も
シフ氏の手にかかると、1曲1曲が実に新鮮。
アンコールの人気曲、インテルメッツォ イ長調 op.118-2も
冒頭の甘さより、中間部のりりしさを生かすような演奏でした。
これまた、曲に対するイメージ一新です。

バッハについては言わずもがな。
ピアノがチェンバロに変身したかのような音色がなぜ出る?
イギリスの灰色ムードから、
イタリアのすとーんと明るいムードへ。
アンコールでガラリと切り替わったバッハに、驚嘆いたしました。

いったい、どれだけの引き出しをお持ちなのか。。。
恐るべし、シフ氏。

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あ、書き忘れましたが、
3月14日、シフ氏によるライブ・ビューイングがあるそうです。
ほんとに、
こんな時に来日してくださって、
リサイタルを開催してくださって、
ライブ・ビューイングまで。
ありがとうございます。感涙です。ただもう、感謝!