大変に完成度の高いリサイタル45分間。とても全員は聴けていませんが、
「また聴きたい!」と思った人を挙げておきます。偶然、国籍もばらけました。

1.Martin James Bartlett(英国20歳)→第一次の演奏動画 
今朝LIVEで聴いて、生き生きとしたみずみずしい演奏に驚嘆しました。
課題曲Hamelin's Toccata on "L'homme armé"も、実に楽し気に響き、リサイタル全体を通して、彼の中から音楽が溢れ出て来ているよう。
ジーニアスって、こういう若者のことをいうのかな…
演奏前にピアノ椅子の高さと格闘して客席に話しかけちゃうなんて、自然児みたい…と、
直木賞の小説『蜜蜂と遠雷』の主人公、風間塵のことが心をよぎりました。

2.Alina Bercu(ルーマニア25歳)→第一次の演奏動画
演奏者紹介VTRで話す様子も、演奏姿も、生命力に溢れてチャーミング。
「聴衆が多ければ多いほど嬉しい♪」と笑顔で答える彼女です。
課題曲のHamelin's Toccata も、ちょっとコケティッシュな雰囲気で魅力的でした。
(それまでの演奏が真面目に響いたせい?…今日聴いた演奏はバリエーション豊かでした!)
プロコフィエフソナタも切れ味鋭く躍動し、彼女らしさが表れていたと思います。

3.Daniel Hsu(米国19歳)→第一次の演奏動画
最初のベートーヴェンソナタ31番で心を持って行かれました。
こんなに詩情豊かな曲だったとは!(ベートーヴェンの勉強不足を露呈する私…)
超絶技巧のリストも、技巧より歌心が伝わってくる演奏。
もちろん超一流の技巧、指さばきにも圧倒されました。

4.Yutong Sun (中国21歳)→第一次の演奏動画
内面的な音楽づくりに共感しました。
課題曲Hamelin's Toccataには歌いあげる浪漫性が満ちて、現代的に響く他とは異なる印象。
ショパンのノクターン、沈潜していく雰囲気にぞくぞくしました。
プロコフィエフソナタも、内面的な音と攻撃的な音を使い分ける深い演奏でした。

5.Ilya Maximov(ロシア30歳)→第一次の演奏動画
冒頭、Franck Cesar / Harold Bauerのプレリュード・フーガ・変奏 の美しさ、
そして後半で見事に構築されたラフマニノフの世界に感動しました。
ラフマニノフって、ロシア魂ってこういうものか!と納得です。
30歳、既にキャリア十分なのに、何とも初々しい様子も微笑ましく。

6.Dasol Kim(韓国28歳)→第一次の演奏動画
2010年のエリザベート王妃国際コンで注目したコンテスタントと7年ぶりに再会。
当時惹かれた透明感のある音色健在で、冒頭のハイドンから嬉しく聴きました。
続けてリリカルなアルベニス、推進力に満ちた課題曲、そして幻想的なラヴェルというプログラム構成もお見事。聴かせました。

画像は、休憩時間中にインタビューに答えるアムラン氏(課題曲の作曲者)。
インタビュワーはコンクールでコメンテータを務めるAnderson&Row。ピアノデュオを組む二人の率直な感想やコメントも好感度大です。


2017-05-27 (1)