@森美術館

先週の「夕方美術館」に味をしめて、また足を運びました。
早めの時間にお仕事を切り上げられる木曜日は、今週が最後。 

友人が何人か足を運んでいた美術展。
先月のボルタンスキー展も印象深かったので、改めての現代美術です
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「魂がふるえる」
って、感動するってことかな~
と、ぼんやり考えていましたけれど、そんな生易しいものではなかったです。

禍々しい(まがまがしい)
痛々しい(いたいたしい)
おどろおどろしい

そんな展示物(「インスタレーション」という表現を使うのですね)が、
映像が、動画が、これでもか!これでもか!
と連続する様相に、まずもって、ドカンとやられました。
「赤」
これって、ほんと、「血」そのもの。

それなのに、
なぜか、美しさも、なんというか崇高さも、感じるのですよね。

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ピアノ、です。
なんでも、塩田氏、火事に焼け焦げたピアノが路上に放り出されているのを実際に見て、インスピレーションを得たのだとか。

生と死という人間の根源的な問題に向き合い、「生きることとは何か」、「存在とは何か」を探求しつつ、その場所やものに宿る記憶といった不在の中の存在感を糸で紡ぐ大規模なインスタレーションを中心に、立体、写真、映像など多様な手法を用いた作品を制作。 
出典:https://www.chiharu-shiota.com/


壊れかけのピアノと、聴衆用の無人の椅子が、
黒い糸で、まがまがしく囲われています。
音の響きって、外に広がっていくはずのものなのに、逆に囚われてしまっているような。
でも、それが、音楽を通したコミュニケーションを象徴しているような。
音楽の発生源が壊れているからこそ、結ばれている、とも受け取れるような。
ううむ。多義的、哲学的。

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拠点としているベルリンで、
実際にビルから取り壊された窓枠とか、
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無数のカバン、それも不気味に自ら動いているもの、とか。
またもや、アウシュヴィッツをほうふつと……。

でも、ある意味、
「人生、苦しんで、いいんだ。みんな、苦しいんだ」
「何かに囚われてるっていう感覚だって、普通のものなんだ」
といった、
一種の開き直り、というか、さわやかさ、のようなものも感じました。

面白かったです。

美術館のある52階には、展望台も。
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ほんのり、秋の夕焼け。
まだ17時半なのに。
日暮れが早くなりました。