2019年1月14日(月)15:00-16:00 BSプレミアム

昨年11月に行われた第10回浜松国際ピアノコンクールに密着取材、直木賞を受賞した恩田陸の小説『蜜蜂と遠来』を重ね合わせた番組、という宣伝がなされていましたが、実際は、、、
「牛田智大くんに密着」した番組でした。
2019-01-14TV
優勝したトルコの20歳、ジャン・チャクムル君はまったく取材されてなくて、あれれ~残念。
NHKが取材対象に選んだのは、どうやら次の5人。

 12歳でCDデビューした日本のピアノ王子、牛田 智大くん(19歳)
 最年少の参加者、中学生の八木 大輔くん(14歳)
 ベルリンの大学院に在学中、坂本 彩さん(29歳)
 最年長の参加者、兼重 稔宏(としひろ)氏(30歳)
 韓国のピアノ王子、イ・ヒョクくん(18歳)

の坂本さん、
2016年の仙台国際音楽コンクールで本選まで進まれていて、ネット中継での見覚えがありました。(→セミファイナル結果発表
現在ベルリン在住で、離日は7年前とのこと。 
ベルリンの部屋が取材されていましたが、部屋にピアノはなく、通っている大学院でピアノ練習をしているそうです。「演奏家としてのフィールドを広げたい」という発言、先日の左手のための国際コンクールに参加されていた女性ピアニストの方のことも思い出されます。
2次には進めませんでしたが、雑誌『ショパン』が1次予選の良い演奏に取り上げていました。

の兼重さん、
2次進出者として少し取り上げられただけでしたが、
「10代ではこのステージで演奏するレベルではなかった。今が一番いい機会かな」
といった発言が印象に残りました。
第2次予選のバルトーク、個人的には30歳の深さがあると感じましたよ。

のイ・ヒョクくん、
ヴァイオリンも弾きこなし、チェスの大会でも活躍するというマルチ才能ぶり、
流暢な英語で受け答えをする飄々とした大物ぶりに脱帽です。
でも、その内容は、コンクールの公式インタビューの方が深いかもしれません。

さて、番組の中心、
の牛田智大くんです。
密着取材を許可したって、まずそこが大物だなあと思いました。
拠点のうちの一つ、倉敷にある彼の部屋のピアノ(グランドピアノが2台!1台はサイレント)、レッスン室、ステージ、そして浜松駅構内のピアノ、さまざまな場所での演奏風景が流れましたが、
牛田くんの演奏よりも、くらしき作陽大学の指導者、ロシア人ピアニストの弾くプロコフィエフの一節の方が印象に残りました。
「文化的じゃない音」で弾かなきゃ。
「コンクール用に丁寧に弾きたいの?」
ほんと、分厚い爆音に恐れ入りました。

牛田くん自身の、一次の演奏(レッスンを受けたプロコフィエフのソナタ)後、コメントを求められてもなかなか言葉が出てこず、やっと出たのが
「ま、これで終わりです」。
満足していない様子でしたが、私もネット中継を聴いて、通過が一番心配になったのが第1次でした。
第2次以降は、安心して聴いていられましたよ。

中村紘子氏との関係などは既に知っている情報でしたし、彼についてもこの番組よりも公式インタビューのほうが読み応えがあるのではないかと。。。


『蜜蜂と遠雷』の朗読も、番組と深くリンクして心に響く……というわけでもなかったかな。
ちょっと肩透かしのようにも感じた番組でした。

そして牛田くん、
「コンクールでいただいた結果に恥じない演奏をしていかなくては。これからのほうが大変」
と、優等生的な発言をしていましたが、それなら、入賞者披露演奏会にも出ましょうよ。
(公式ホームぺージには「第2位 牛田智大さんは、スケジュールの都合により出演されません」との記載が…。)

【追記】
1. コメントくださった方からの情報で、入賞者披露演奏会の時期には、コンクール前から牛田君とプレトニョフ指揮ロシアナショナル管弦楽団との公演(@ロシア)が発表されていたと知りました。確かに
海外公演のスケジュール変更は難しいでしょうね。既にプロとして活動している人気ピアニストならではの事情と言えるでしょう。
2. それで、こんな忙しさなら、やっぱり牛田君がアニメ「ピアノの森」のヒミツの演奏者役を担当するなんて無理かもな~と思ったのでした。。。
3. 作曲家名の誤りについてもコメントいただき、訂正しました。