第2回【左手の音楽とは】
ピアニスト…智内威雄
2018年7月11日(水)放送→ストリーミング 2018年7月19日(木) 午後3:00配信終了


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演奏曲目:
カルクブレンナー 左手のための練習曲
ルイーゼ・アドルファ・ルボーの曲
バルトークの曲?
(紹介とは異なり、実際に流れたのはグリーグの「アリエッタ」ではないかと…) 

左手のための鍵盤楽器の楽譜を残した作曲家、その分類

(1)バロック時代の人
  • C.P.E.バッハ(カール・フィリップ・エマニュエル・バッハ)
  • ツェルニー
  • カルクブレンナー 無駄を排除した奏法。ショパンが彼のことを尊敬していた。
(2)自分の芸術表現手段として左手を使った人
  • ブラームスによる編曲  シャコンヌ(左手のための編曲版)芸術性が高い
  • ライネッケ(ライプツィヒ音楽大学教授として、グリーグ、ヤナーチェク、滝廉太郎にも影響を与える)  ピアノ・ソナタ(全4楽章)
  • ルイーゼ・アドルファ・ルボー(女流作曲家)
  • サン=サーンス   左手のための練習曲
  • スクリャービン(作曲家自らが局所性ジストニアを発症)
(3)技を求め、競い合うための作品
  • アレクサンダー・ドライショク(自分の技術を誇示するために書いた)
  • フマガルティ(イタリア・オペラの主題を編曲したものが多い)
  • ゴドフスキ(異様なテクニックの持ち主。片手で三声、四声を扱う)
  • バルトーク
(4)癒しを求めた作品(戦争で腕を失った人、病に倒れた人による委嘱で作曲)
  • ゲザジチ(F.リストのパトロン)
  • ウィトゲンシュタイン
  • ホタカー(東欧)

「左手のためのピアノ曲」の意義、魅力
  • ピアノの「響き」を堪能するために効果的
  • ペダルの練習になる
  • 技術を学べる(①片手で複数の旋律を弾く ②脱力奏法)

なぜ右手のための曲は、ほとんどないのか?
  • 建築同様、ベースとなるのは低い音(=左手)。低い所から立ち上がる音楽が自然。
  • 「右手を壊した人」は、復帰するまでの障壁が高い。左手を壊した場合は、その左手で「ぶんちゃっちゃ」さえ弾ければ、なんとかステージ復帰も可能である。
  • 右利きの人が多いので、事故などで右手を失う人の方が多い。