PIOピアノ雑記帳

ピアノ、クラシック音楽関連の話題を主とした雑記帳blogです。

2021年7月17日(土)18時半開演 20時50分終演
@ミューザ川崎シンフォニーホール

<プログラム>
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第15番 ニ長調 Op.28「田園」
  第1楽章 アレグロ
  第2楽章 アンダンテ
  第3楽章 スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ
  第4楽章 ロンド:アレグロ・マ・ノン・トロッポ

ベートーヴェン/リスト編曲:アデライーデ(第3稿)S.466 / R.121

~休憩20分~

リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178

フォーレ:夜想曲 第6番 変ニ長調 Op.63

(アンコール)
ラヴェル:「夜のガスパール」より スカルボ
ラフマニノフ:楽興の時 第2番


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阪田君、Web上では何度も演奏を聴いていますし、
生でも、アンサンブルの中の一人としては、何度か聴きました。
でも、ピアノ・ソロの演奏を生で聴くのは、初めてです。

素晴らしかったです。
あの音色は、生で聴いてこそ、感動するなあ、、、と思いました。
クリアな意思と説得力に満ちた音楽に満たされました。

まずもって、音色です。
ピアノの音が、とにかく美しい。ピュアなるピアノの音色。
迫力の音色が心地よいという、この感じ、なかなか味わえないかも。

前半。
ベートーヴェンが、柔らかい心根の人に思えてきました。
雄大な世界観を、心地よく堪能。
おおお、こうやってベートーヴェンが鑑賞できるのかあ。
ふっと訪れる「無音」の空間がいとおしかったです。

後半。
リストのソナタ、ただもう、圧巻。
この曲は、いろいろな方の演奏で聴いていますが、
ここまで引き込まれたのは、初めてです。
「こ、こんなに、深い曲だったのか!」
と気づきました。
今まで、なんかよくわかんない……箇所が多々あったのですが、今回は
「おおお、そうだったのか!」と思いました。
リスト様、やっぱりすごい。
それを表現しきってしまう阪田様、すごすぎる。(語彙力💦)

プログラム最後のフォーレで、
興奮しきったこちらの神経が、鎮静していった感じでした。
(後の阪田くん自身のスピーチで、この効果を狙ってのプログラミングと明かされました。)

演奏後、
阪田くん、マイクを持って登場。いやあ、語る、語る、、。
でもって、マイクを舞台袖に置いて再登場するや、
シレっとして、すぐさま重量級のアンコール曲の演奏開始。

すごいなあ。
聴いている方は、けっこうヘトへトになっていたというのに(よってこの記事のアップもチョイ遅れました)、
ご本人は、エンドレスで語り、かつ演奏できちゃいそうな雰囲気で、これにも舌を巻きました。

いやはや、
阪田くん、スケール超弩級!ということを、全身で感じた一夜でございました。

2021年7月16日~8月1日
公式ホームページ

medici TVで配信、という情報を得て、
有料会員にならないと、視聴不能なんだろうな……と思っていました。
が、
medici.TV.Japanが、期間限定で無料公開してくださってます!

 

すごいです。太っ腹!
今、オープニング・コンサートをアーカイブで聴いて、ぶったまげたところです。
世界の猛者が集うと、こういうことになるのか……と、
お口をあんぐり、呆然自失、脈拍急上昇、みたいな。

アーカイブでは、
曲目の切れ目にきちんとマークもしてくださっていて、ありがたい限り。

【演奏】
デニス・マツーエフ(ピアノ)
ティムール・マルティノフ(トランペット)
ヴェルビエ・フェスティヴァル・チェンバー・オーケストラ
ヴァレリー・ゲルギエフ(指揮)

<プログラムの冒頭>

ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第1番 Op.35
 1. Allegretto
 2. Lento
 3. Moderato
 4. Allegro con brio

2021-07-17

ショパコン予備予選と同時期の開催。
体が二つほしい。

ちょこちょこと、隙間時間にアーカイブを聴いたりはしたのですが、
軒並みレベルの高い演奏で、うまく感想もまとめられずにいるまま時が過ぎました。

今日は、19時半まで仕事でPCに張り付いていたのですが、
ぜひ小林愛実ちゃんだけはLIVEで聴こうを心に決め、断固たる意志でもって間に合わせましたよ。

2021-07-16

Mazurka in D flat major, Op. 30 No. 3
Mazurka in C sharp minor, Op. 30 No. 4
Etude in G flat major, Op. 10 No. 5
Etude in G sharp minor, Op. 25 No. 6
Nocturne in F sharp minor, Op. 48 No. 2
Ballade in F major, Op. 38

冒頭から、新鮮な響きに耳を惹きつけられます。
技巧的な曲ではありませんが、音色と音楽性で、ぐいぐい心を持って行かれました。
「耳タコ曲」から入らない、というプログラム、きらりと光りました。
音楽があふれてくる!
そういう姿を目の当たりにした感覚です。
コントロールできる音量、音色の幅の広さにびっくりしました。
演奏姿も、5年前よりぐっと落ち着いていて、大人の風格。
お見事でした。
なんだか別次元に連れていってもらったような。

視聴者も、7000人?8000人?
通常時の3倍超ではないかと。
すごい人気ですね。

2日目は仕事の山と、夜の外出のため、視聴ギブアップ。
3日目のmorning sessionを視聴しています。
このセッション、全員が女性コンテスタントということに、まずびっくり。

2021-07-14

冒頭の3名を続けて聴きました。
そろって10代という若さ。
  • Joanna Goranko(ポーランド)
ロマンの香りに満ちた演奏。
どの曲も完成度が高くて、聴かせました。

  • Chelsea Guo(米国)
マズルカop.33-4が素敵でした。

  • Miyu Shindo 進藤 実優 (日本)
進藤さんの演奏、初めて聴きましたが、冒頭の一音から度肝を抜かれました。
ノクターンop.48-1、なんたる深さ。
昨日、クンウー・パイク氏が最後に演奏した曲です。
パイク氏は、リサイタルを締めくくる1曲として、壮大なる世界を構築されましたが、
進藤さんは、開始の1曲として、実に繊細に、いつくしむような演奏。
私は進藤さんの演奏のほうに心を持っていかれました。
彼女、時間、空間を自在に操る力、センスを持っています。
マズルカop.17-1、17-4も、鳥肌が立つような魅力に満ちていました。
彼女、何か神的なものを秘めています。
大注目!
(確か、この予備予選参加にあたって、奨学金のようなものを得ていた方だと思いますが、大いに納得してしまいました!)

2021年7月13日(火)19時開演 20時半終演(休憩なし)
@王子ホール

<プログラム>
ショパン:夜想曲より

第1番 変ロ短調 Op.9-1
第5番 嬰へ長調 Op.15-2
第7番 嬰ハ短調 Op.27-1
第8番 変ニ長調 Op.27-2
第19番 ホ短調 Op.72-1
第20番 嬰ハ短調 遺作

第16番 変ホ長調 Op.55-2
第2番 変ホ長調 Op.9-2
第17番 ロ長調 Op.62-1
第14番 嬰ヘ短調 Op.48-2
第4番 ヘ長調 Op.15-1
第13番 ハ短調 Op.48-1

(アンコールなし)

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クンウー・パイク氏、「いつか生で聴きたい」と熱望していたピアニストの一人です。
興味を持った経緯は、こちらの記事をご参照。

ステージに登場したお姿に、まず思ったのは、
「でっかい!」
背も高く、堂々とした佇まい。

そして、音楽が始まると……
「深淵なる世界」
がそこに生まれました。
バリバリに弾ける若いピアニストたちが奏でる
ある意味きらびやかな音楽とは、まったくカテゴリーの異なる世界。
聴き手側も瞑想して聴き入るような心持ちになりました。

王子ホールで、ピアノ・ソロを聴くのは、私にとっておそらく初めてなので、
ホールの特性なのか、ピアニストの特性なのか、わかりませんが、
とにかく音がクリアに届くことに驚きました。

ただ、大変に残念なことに、こうした心境で聴けたのは前半のみ。
いったんパイク氏が舞台袖にはけた短い間に、
それまで空席だった隣席に老齢のご婦人があたふたと着席されてからは、こちらの集中もそがれてしまいました。

老婦人が、バッグをひっかきまわし、固いビニールがこすれるような騒音をまき散らし始めたのです。
私も含め、周囲の席から、のぞき込む、振り返る、など大いにプレッシャーをかけ続け、
前席の方は「うるさい!」「やめてください!」など、はっきりささやいたにもかかわらず、我関せずのご婦人。

いろいろ考えさせられました。

始まりました!
一人目の
  • LEONORA ARMELLINI (Włochy / Italy)さん
を抜粋のような状態で聴いて、「完成度高い~」と舌を巻きました。
その後、少し中抜けして、
  • ERIC GUO (Kanada / Canada)くん
  • ANDRZEJ WIERCIŃSKI (Polska / Poland)くん
の二人を続けて聴き、アンジェイ・ヴェルチンスキ君の演奏に痺れました。(台所にノートPC持ち込んで無理やり視聴)
冒頭のノクターンop. 48-2 の世界観から、ググっと引き込まれました。テンポ・ルバートがなんとも甘美。つくづく、弾き始めって、大切だなあ。
実は私、2019年にポーランドを訪れた際、彼の演奏をワジェンキ公園で聴いているんですが、その時よりぐっと大人になって、深みが増したように感じました。
その折の紹介アナウンスによると、彼は何度か来日していて、皇太子妃雅子さま(当時)の前でも演奏したことがあるとのこと。
本選でも彼の演奏が聴けるといいなあ。。。

ここで休憩が入って、続いて登場したのが
  • Luigi Carroccia (Włochy / Italy)くん
あれ?この方、見たことがある!
前回のショパコンで、3次?まで進んで、手の故障によりリタイアした方では?
3曲目のマズルカop. 50- 2 で、ハートを鷲づかみされました。こちらのながら聴きを中断させて、ガン見させるだけの魅力がありました。
エチュードop.25-5にも、はっとさせられました。テンポの揺らし方、響かせる左手の進行……外連味があるわけではないのに、とっても新鮮。センスが光ります。

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いやはや、みなさま、お見事です。
こんな演奏をワルシャワから生中継で聴けるなんて、ほんと幸せ♪
(明日の仕事の準備もあるので、午後の部のLIVE視聴は諦めます)

ショパコンの公式サイト「カレンダー」では、演奏日時、各コンテスタントの写真、演奏曲目も発表されています。このサイト、わかりやすいです。

演奏は、こちらのYouTubeで視聴できるようです。

スマホ向けのアプリも提供されているとのこと。

拙ブログでは、5月の時点で予備予選スケジュールをまとめ、日本人コンテスタントのスケジュールを書き出してみました(→ショパコン2021予備予選(7/12~23))が、その後いろいろ訂正が入っていましたので、2度ほど修正を入れました。

ポーランドのティモテウシュ・ビェス(Tymoteusz Bies)君や
エリザベート王妃コンの覇者、フランスのフルネル君など、キャンセル者が多々出た様子。
当初、morning session、evening session ともに7名ずつ入っていたものが、
6名、5名といったセッションが散見されます。
日本人トップバッターの古海さんがmorning sessionからevening session演奏に異動するなど、演奏順の変更も多少あったようです。

~心満たす、音の煌めき~

主催:公益財団法人国際音楽芸術振興財団
2021年7月8日(木)19:00~21:10  @王子ホール

クラリネット:コハーン・イシュトヴァーン
ピアノ:嘉屋 翔太

<プログラム>

J.ブラームス:クラリネット・ソナタ 第1番 ヘ短調 Op.120-1
 第1楽章 Allegro appassionato
 第2楽章 Andante un poco adagio
 第3楽章 Allegretto grazioso
 第4楽章 Vivace
G.フォーレ:夢のあとに
J.コハーン:ハンガリー幻想曲 第1番

~休憩~

S.ラフマニノフ:音の絵(ピアノ独奏)
S.プロコフィエフ:フルート・ソナタ 二長調 Op.94(クラリネット版)
  第1楽章 Moderato  
第2楽章 Scherzo
  第3楽章 Andante
  第4楽章 Allegro con brio
G.ガーシュイン=J.コハーン:ラプソディ・イン・ブルー

アンコール
ロッシーニ:
即興演奏 2曲(たぶん)


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実に深く、そして楽しい、エキサイティングなコンサートでした。
コハーンさん、流暢な日本語で話されるのですね。
ブラームスは「重すぎるから」と、演奏前にステージにどっかりと腰を下ろして洒脱なトーク。
聴き手の心を惹きつけるのに、たいへん効果的でした。

嘉屋さんは、弱冠21歳とはとても思えない堂々たる安定感。
第2部冒頭のトーク(なぜ急に一人で登場したか……ブラームスとプロコフィエフの間の時代的な格差を埋めたい……と、先ほど、そういう話になったから)、
その後、プロコの前のコハーンさんの英語の話の通訳、ともにお見事でした。

二人の共演は、まさに「セッション♪」といった感じ。
超絶技巧で、かつ、熱いハートがビシバシ伝わりました。
会場、熱狂していました。

これで無料とは、なんたる太っ腹。
素敵なアーティストとの出会いに感謝です。

モーツァルトと18世紀~激動の時代を生きた音楽家の生涯と作品

第14回(最終回) 「『埋葬』~その真相を探って」 

2021年6月30日(水)20:30放送(カルチャーラジオ「芸術その魅力」NHK第2)
<出演>ヨーロッパ文化史研究家 小宮正安(横浜国立大学教授)

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晩年に貧困状態に陥ったというのは、後世、かなり脚色された伝説である。
歴史的な事実として注目したいのは、
  • ヨーゼフ2世の命により、宮廷室内作曲家の地位
  • 聖シュテファン大聖堂の副楽長
現在、軽く見られがちな地位だが、当時の時代の視点で見ると、素晴らしい地位
2つの異なる世界において、ともに将来につながる地位を手にしていた。
  • 世俗の場における地位
  • 聖なる大教会での地位
ヨーゼフ2世の没後は、特に聖なる世界での活躍がしやすくなるはずだった。
晩年のモーツァルトは、栄光の一歩手前にいた。
未完に終わった「レクイエム」は、栄光を目指し、満を持して発表されるべき曲であった。

「レクイエム」冒頭は暗くおどろおどろしく響くが、実はその理由があった。
シュラッテンバッハに捧げた、ミヒャエル・ハイドン作の曲に似ている。
ウィーンでは昔の作曲家について集中的に学んだモーツァルト。
これらの学びをアピールしようとしていた。
響きを透明なものとし、曲想も単純化するという新たな試み。
晩年の名作・クラリネット協奏曲は、クラリネットの中でも最新の「バセット・クラリネット」のための曲で、あふれるばかりの実験精神に満ちている。


モーツァルトの死にまつわるエピソード
享年35.
数か月前から体調不良を訴えていたが、直前まで「魔笛」などの作に手を染めていた。
きわめて質素な教会で葬儀が行われ、遺体は共同墓穴に投げ込まれた
まるで遺体を隠そうとしたかのよう→「毒殺説」

レオポルト2世に代替わりしたタイミング
この機に乗じようとしたモーツァルトが、オーバーワークに陥ったことが原因

オカルト医学
「瀉血」が普通に行われていた。
これが繰り返されたのちに、ショック死したと考えられる。

「レクイエム」は、
願ってもいない高額の謝礼つきの依頼であり、
教会の副楽長としてのアピールにもなることで、意欲を燃やしていた。

その執筆途中での急死。

約束した曲が完成していないために、違約金を取られては困ると考えた
妻コンスタンツェが、なんとか完成させようとするなかで、
補筆作業を完成させたのがジュースマイヤー(モーツァルト工房の若手職人)。
ジュースマイヤーは死の床の師モーツァルトからアドバイスを得ていたため、
短期間で完成させることができた。
「サンクトゥス」の部分は、ほぼ全体がジュースマイヤーの手によるもの。


埋葬の謎
ヨーゼフ2世の啓蒙政策が肝。
教会の既得権益と結びついているとみなされたのが、葬儀と結びついた教会行事。
教会の周囲の墓地そのものが、ヨーゼフ2世にとっては「悪習」。
葬儀、埋葬令を出す。

「遺体は郊外の墓地に埋葬せよ」
「葬儀は簡素にせよ」

トルコとの戦争による財政難が続くなか、上記の命令は撤回できず。
モーツァルト一家は全員が共同墓地に埋葬されている。
これが、18世紀後半でのあたりまえの埋葬方法。

もともとのキリスト教の考え方
「肉体は仮の姿。精神のほうがずっと大切。教会による救済が必要。」
市民社会になると、考えが変化
「個人の自由意思に基づいて、いかに生きるかのほうが大切。」

モーツァルト作曲の歌曲
「夕べの歌」
夕べを人生の終わりに喩えた、明るく美しいヘ長調の歌。


 

高木竜馬さんのことは、かな~り以前(調べたら2006年、15年前でした!)
江副スカラシップのコンサートで生演奏を聴いて以来、存じておりますが、
アニメ「ピアノの森」で雨宮くんの吹き替え演奏を担当したり、
グリーグ国際ピアノコンクールで優勝したりと、
このところの活躍目覚ましいですね。

今回のプレ・トークで驚いたのは、
サプライズ・ゲストで登場した新進作曲家、ケーリング君。
21歳の若さにして、竜馬君んが弾く曲が「作品番号178」!
登場するなりの流暢な日本語にもおったまげました。
なんでも、コロナさえなければ、京都に留学予定だったとのこと。
また、音楽家一家に育って、作曲するだけでなく
演奏できる楽器としては、ピアノ、ヴァイオリン、フルート、トランペット、……等々、ほぼ何でもござれの状態?

福間さんとの丁々発止のやりとりもお見事でした。
ドイツ語のお勉強になりそう。。。福間さん、さすがです。


福間さんの「レア・ピアノミュージック」シリーズ、
この高木さんの演奏が最後、と思っていましたが、
これは第1シリーズで、既に第2シリーズの準備が着々と進んでいるとのこと、
大変に楽しみです♪

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