PIOピアノ雑記帳

ピアノ、クラシック音楽関連の話題を主とした雑記帳blogです。

Xで「【拡散希望】無料配信」との告知を、配信直前に見かけてLive視聴しました。

2024年2月29日(木)20:00~(日本時間3月1日10:00am開演 11:23終演)
@NEC: Williams Hall ボストン

ピアノ:吉見友貴

<プログラム>
  • ショパン:バラード 第1番
  • ショパン:即興曲 第2番
  • スカルラッティ:ソナタ ロ短調 K. 87
  • ストラヴィンスキー/アゴスティ:『火の鳥』より
  • シューマン:交響的練習曲
アンコール 
ガーシュウィン/ワイルド:Embraceable You

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さすが卒業演奏会。完成度の高い演奏でした。
会場からヒューヒュー声が上がっていたのは、クラスメイト達なのかな。

金髪、ピアス、赤いシャツ、特殊な衣装、などで観客の度肝を抜くことも多かった吉見くんですが、今回は黒髪、正統派の黒い衣装でした。

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超絶技巧も披露、見事に弾きこなしていましたが、
わたくし的には、リリカルな部分が彼の真骨頂じゃないかなあと感じました。

「NEC」って、日本の電機メーカーではなく、
吉見君が在籍している「NEW ENGLAND CONSERVATORY」の略称なんですね。
当然のことではありますが、略称って混乱を招きやすくて難しい。。。

こうして配信された動画の一部が、後日YouTubeにアップされる、といった説明書きがあったので、今回の演奏が該当することを望みます。

2024年2月28日(水)NHK FM ベストオブクラシック

新鋭マエストロ(3)

(らじる★らじるの聴き逃しで、3月6日水 21:10まで配信中)


アンナ・ラキティナ指揮 

ベルリン放送楽団

【収録】2023年6月24日ベルリン・コンツェルトハウス


指揮:アンナ・ラキティナ →公式ホームページ

ウクライナ人の父、ロシア人の母のもとに、モスクワに生まれる。

ロシア、ドイツで指揮の教育を受ける。

2018年若手指揮者のためのマルコー国際コンクール第2位。

ルツェルン祝祭アカデミーのフェローシップ等で研鑽を積み、

2019-2023 ボストン交響楽団のアシスタントを経験。

2023年に日本デビュー(読売日本交響楽団)。


ピアノ:ベフゾド・アブドゥライモフ →ご本人のFacebook

1990年、ウズベキスタン共和国の首都、タシュケント生まれ。

アメリカに渡り、音楽教育を受ける。

2009年ロンドンピアノコンクールで優勝後、世界的に活躍を続けている。



<プログラム>

  • ヤナーチェク:管弦楽のためのアダージョ(7分19秒)
  • プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 作品26(28分27秒)
  • ラフマニノフ:前奏曲 ト長調 作品32第5(2分50秒)
  • ドボルザーク:交響曲 第7番 ニ短調 作品70(37分12秒)

  • ショパン:「24の前奏曲 作品28」から「第4番 ホ短調」「第15番 変ニ長調 雨だれ」「第17番 変イ長調」CDより(10分28秒)

ヤナーチェクの曲は、1891年ごろ、幼い息子を亡くしたばかりの時期の作曲
プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番は、1921年に完成。
ロシア革命の混乱を逃れるためアメリカで生活した頃の作曲で、パリで好評を博し、代表作となった。

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「新鋭マエストロ」というタイトルに興味を惹かれ(日本でも、沖澤のどかさん、熊倉優さんはじめ、新鋭マエストロの活躍著しいですよね)、通勤途中に聴き逃しで聴きました。
「あら素敵♪」と思い、帰宅してからマエストロの写真をググって、その美貌(というか可愛らしさ)にびっくり。

ピアニストの達者ぶり、重厚な音作りにも仰天しました。
これもまた写真をググって納得です。世の中には素晴らしいピアニストがひしめいていますね。

ベルリンのコンツェルトハウス、2018年に実際に訪問したんですが、歴史ある立派なホールぶり、忘れられません。あそこでこのお二人が共演されたなんて、、、、と追憶に耽った私なのでした。


NHK カルチャーラジオ「芸術その魅力」
ラジオ第2 毎週水曜 午後8時30分

音楽家スメタナの生涯
【講師】西原 稔(桐朋学園大学名誉教授)

第9回「わが祖国(2)」
2024年 2月28日(水)放送 
らじる★らじる 2024年4月24日(水)午後9:00配信終了

前回は第1,2楽章、今回は第3,4楽章の紹介です。
音源のオーケストラは同じチェコフィルですが、指揮者は異なります。
何か意図があるのでしょうか?(指揮者について疎い私😅)

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<内容メモ>
第3曲「シャールカ」
(音源全曲)
耳触りのいいメロディアスな曲ではない。
内容は、チェコの歴史に関わる神話
ヴァイオリンの奏でる旋律の中に「ラドシラ」→第一楽章との関わり
恋人に裏切られたことから、周囲にいる男性に復讐する女性シャールカ
全体に殺伐とした雰囲気
チェコの人々にとってシャールカは特別な存在
タタタタタタタンタン 三連符
フルートと第一ヴァイオリンが新しい主題 半音階
ホルン、チューバの同音連打の動機 襲撃を表す
最後に勝ち誇ったような同音連打

ドヴォルザークはどこか人懐っこさを感じさせるが、スメタナは異なる。
特に管楽器の扱いにスメタナの特徴がある。

第4曲「ボヘミアの森と草原より」
(音源は冒頭から途中まで)
木管楽器群、弦楽器群、金管楽器群に分かれている
クラリネット、ホルンの重要性
ボヘミアの情景を描く中で、全体が休符に入ってから次へ移る
独奏が多い
ポルカの部分は農村を表す
2小節ポルカ(2拍子)→2小節ポルカでない部分(3拍子)、と交代していく
プレスト
活気に満ちて終わる

<音源:ビェロフラーヴェク指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団>

2022年に森本隼太くんが優勝した、ヘイスティング国際ピアノ協奏曲コンクールが、現在、イギリスで開催中です(→2022年当時の「ぶらあぼ」記事

コンテスタント34名の中から、
セミファイナルに進む10名が発表されていました。
日本から、岩井亜咲さん、進出です👏👏

セミファイナルのスケジュールは次のとおり(日本とイギリスの時差は9時間)。
こちらのリストからの協奏曲が演奏されます。

【追記 3月1日】
ファイナル進出者に💐をつけます。岩井さん、進出ならず。残念。
最終日の演奏者が全員通過したんですね。

Wednesday 28 February, 2pm(日本時間23:00)
  • 14:00 – Nikita Burzanitsa (ウクライナ 23歳)(competitor no. 5)
  • 14:30 – Sicheng Guo (中国 17歳)(no. 12)
  • 15:15 –💐 Curtis Phill Hsu (米国 19歳)(no. 14)

Wednesday 28 February, 6pm(日本時間 翌日3:00am)
  • 18:00 – Asaki Iwai(日本 23歳) (no. 15) 2/29(水) 3:00am~
  • 18:30 – Simon Karakulidi(米国 26歳) (no. 18)
  • 19:15 – Jeongjin Kim (韓国 26歳)(no. 20)
Thursday 29 February, 5pm(日本時間 翌日2:00am)
  • 17:00 –💐 Hyelim Kim(韓国 27歳) (no. 21)
  • 17:30 – 💐Derek Wang(米国 25歳) (no. 34)
  • 18:35 – 💐Chengyao Zhou(中国 16歳) (no. 39)
  • 19:10 – 💐Harmony Zhu(カナダ 18歳) (no. 40)
コンクールの公式Webサイトはこちら。


岩井さんと言えば、2020年に生演奏を聴いたことがあって(五十嵐薫子さんとのジョイント・コンサート)、当時は五十嵐さんの演奏より印象深かったのでした。
五十嵐さんは2022年にジュネーヴ国際で第3位になり、注目を浴びましたが、岩井さんもご活躍なんですねえ。

岩井さんの本コンクールStage2の演奏は↓で視聴できます。

演奏曲目
  • ドビュッシー: 12の練習曲より 1. 5本の指のために(チェルニー氏による)
  • ドビュッシー: 12の練習曲より 7. 半音階のために
  • シューマン: アベック変奏曲 Op.1
  • レーラ・アウエルバッハ: タイム・アンリディーマブル
  • アンリ・デュティユー: コラールと変奏 (ピアノソナタ Op.1 第3楽章)

2024年2月27日(火)
以下のリサイタルに向けてのプレトーク
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第30回 2024年3月31日(日)22:00‐
中野翔太
「日米作曲家による現代音楽”過去と現在”」
  • ジョン・ケージ: One〜ピアノのための
  • 梅本佑利: ウェブ・エチュード
  • ジョン・ケージ: 夢
  • 原博: ソナタ 第3番
  • キャロライン・ショウ: Gustave le Gray

クラシックとは?
狭い意味では、いわゆる「古典派」 バロックでもロマン派でもない。
中野氏としては、「西洋の芸術音楽の歴史」と捉えたい。
現代音楽にも、過去とのつながりがあ:

アメリカの建国 1776年 ベートーヴェンが6歳のとき
より新しい「自分たちの音楽を生み出していこう」という気概のある国

「思い切りのよさ」
ロジャー・セッションという作曲家
「聴衆に分かりやすい音楽は芸術ではない」
楽譜が複雑でまっ黒


梅本佑利さんもJOIN
今回、中野氏が演奏するのは、世界初演となる曲

中野&梅本の接点
  • コロナ禍のとき、ヴァイオリニスト成田達輝さんの発案で、ハクジュホールで演奏会
  • その後、神奈川県立音楽堂で実験的な音楽会:客も演奏家もヘッドセット着用し、仮想空間を創出(仮装のピアノとヴァイオリン 楽器は置いてあるが実際には弾いていない)
今回初演となる曲
  • 梅本佑利:「ウェブ・エチュード」ピアノのエチュード
常にインターネットの世界で生きている
教会のための音楽、絶対王政の中の音楽とは異なる
ジョン・ケージも半世紀以上前。現在とは大きく異なる

拍が常に変化 16分音符一つ単位でテーマになる
楽譜どおりに弾くと、演奏不可能な速度にまでなる
それをどう克服して音楽にするかも、ピアニストの腕の見せ所

福間氏+成田氏で、
梅本氏の「ウェブ・ソナタ」という曲(初演)で、中央アジアをツアー予定


ジョン・ケージの2曲
1曲目「One for piano」は晩年の作曲("One"は、演奏者1名という意味)
2曲目「夢」は初期の曲

ジョン・ケージは、和声を切り捨てて作曲を始めたが、晩年になって和声に戻って来た。
西洋音楽の和声のシステムに反発していた。


💦💦💦
【追記:実は途中で寝落ちして、書きかけのままアップしちゃってました💦】

キャロライン・ショウの曲は、合成写真の技法を用いて、ショパンの「ある有名な曲」との合成で、数分間、その曲をまるまる入ってくる構成になっている。
「エルメスのシルクを想像して」という作曲者のコメントがある。


<ハプニング・ストーリー>
ショパンのピアノ協奏曲第1番
演奏後、楽屋に戻ってから、タキシードの「ベルト」をつけ忘れていたことに気づいて、真っ青になった。演奏後でよかった。

昨年秋、福間&中野で演奏した連弾曲(@福岡)は、アンダーソン&ロウという男女ペア(クライバーンコンクールの進行役でも活躍していましたね)のための曲で、ポジションの入れ替わりでアクロバティックな箇所もあって大変だった。練習中には福間氏が中野氏を頭突きするような場面もあった。

2024年2月25日(日)14:00開演 15:35終演
@武蔵小杉サロンホール

<プログラム>
  • バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第1番 ハ長調 BWV870
  • バッハ:前奏曲 ハ短調 BWV999
  • バッハ=コルトー:『チェンバロ協奏曲 BWV1056』よりアリオーソ
  • モーツァルト:ロンド 二長調 KV485
  • モーツァルト=クリントヴォルト=浅田陽子:『レクイエム KV626』より<思い出したまへ><呪われしもの><涙の日>
  • モーツァルト=宮下秀樹(左手用):アヴェ・ヴェルム・コルプス KV618
(休憩)
  • ショパン:エチュード ホ長調 Op.10-3 『別れの曲』
  • ショパン=青木茂:『17のポーランドの歌』より 1.願い 6. 私の目の前から消えて 10. 兵士 15.いいなづけ
  • ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66
  • ショパン:ワルツ 第3番 イ短調 Op.34-2
  • ショパン:バラード 第3番 変イ長調 Op.47
アンコール1曲
(金曜の本コンサートのために、曲名は秘しておきます♪ あ、同じく衣装についても😊)

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全曲暗譜による演奏、
気負わず、聞きやすい語り口での簡単な曲紹介、
聴き手に安心感と集中力をもたらす起ち居振舞い(ステージマナー)、
……いやあ、感服いたしました。

選曲がいいですねえ。
ピアノコンクールでさまざまな賞を受賞している彼女ですが、
「過去3回のリサイタルで弾いたことのない作曲家」
つまりは、苦手意識のある作曲家をあえて取り上げた、とのこと。
前半は宮廷時代のバッハ&モーツァルト、
後半はロマン派代表ショパン、
と、休憩を挟んで雰囲気をガラリと変えたところも、
前半のバッハとモーツァルトの対比も、いろいろと発見があって、楽しかったです♪

また、編曲ものを挟み込むという仕掛けにも、耳が惹きつけられました。
アンコールも秀逸で、
めちゃくちゃ寒い日でしたが、あったかい気分で帰路につくことができました。
広島のみなさま、どうぞお楽しみに♪

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↑の画像は開演前(椅子、全部は写しきれてません)。
わたくし、仰せつかった録音スタッフの役割を無事遂行でき、ホッといたしました。

ご本人、来場者は10人前後、なんて予想されてましたが、
こちらは見事に外れて、その倍以上はいらしたのではないかと。

入口からお洒落な雰囲気で、
ベーゼンドルファーのピアノも、素敵な音色でございました💖

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NHK カルチャーラジオ「芸術その魅力」
ラジオ第2 毎週水曜 午後8時30分

音楽家スメタナの生涯
【講師】西原 稔(桐朋学園大学名誉教授)

第8回「わが祖国(1)」
2024年 2月21日(水)放送 
らじる★らじる 2024年4月17日(水)午後9:00配信終了

楽曲解説の後で、楽曲を冒頭から数分間にわたって実際に聴けるのがありがたい。

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<内容メモ>
チェコという国は抵抗の歴史の国
  • 15世紀 ヤン・フス戦争(カトリックと戦う)
  • 17世紀前期 ボヘミア戦争 白山でオーストリアに負け、カトリックに戻される。オーストリアの属国となり、公用語がドイツ語に。
  • 20世紀 ナチス・ドイツの支配を受ける。
1968年、プラハの春の独立運動の際に演奏されたのが「わが祖国」。
現在でも、5月12日のスメタナの命日に毎年演奏される。
チェコの人々にとって、大きな意味を持つ曲。

第1曲「ヴィシェフラト(高い城)」
山の上に国王、有名人の墓があり、チェコの王朝の歴代の国王がいる。
この場所は、チェコの歴史を顧みるという意味を持つ。
吟遊詩人ルミールの竪琴の音を聴くと、かつての王朝の幻影が現れる。
ボヘミアは戦闘の後に没落してしまう。

ハープが奏でる「シミレシ」=「わが祖国」のライトモティーフ

スメタナの独特のオーケストレーションにも着目すべき。
ファゴット、フルート、オーボエ、クラリネット等の木管楽器群の意味。
冒頭の旋律が少しずつ変奏=過去の王朝の歴史。

さらに高揚し、ハ長調に転調。
シミレシが、長い音で堂々と演奏=栄光を表す。

最後は弱音で締めくくられる。


第2曲「ヴルタヴァ(モウダウ)」
最初の小川のせせらぎ「ミファソ・ファソラ」(フルート)。
上流の源流から始まって、徐々に川が大きくなっていき、その中に人々の生活を描く。

角笛、婚礼の踊りの音楽も聞こえてくる。
夜になると、月の精が躍り出す。
ドイツ領にはいると、「エルベ川」と名称が変わる。

「ミファソ・ファソラ」三連符のグループが大きな意味を持つ。
フルート→クラリネット→弦楽器→ホルン
楽器の数とともに川幅を広げていく。

やっと有名なテーマが朗々と鳴り始める。
人々の生活をポルカ(四分の二拍子)で表現、象徴する。
農民の結婚式。

雄大な流れになっていき、最後の最後に、また「シミレ」が出てくる=栄光

<音源:ノイマン指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団>

ジョゼフ・フィブス トーク&レクチャー 〜作曲家は生きている〜

2024年2月21日(水)14:00開演 16:00終演
@ミューザ川崎 市民交流室

ピアノ演奏・トーク・通訳: 小川 典子(ピアニスト)
トーク: ジョゼフ・フィブス(作曲家)
トーク: 菅野 由弘(作曲家)

〈演奏曲目〉
  • ジョゼフ・フィブス:ソナチネ(小川典子委嘱作品 2/23に世界初演予定)より、第1楽章、第3楽章の冒頭
  • 菅野 由弘: 水の粒子(ピアノと明珍火箸のための)

  • ジョゼフ・フィブス:Night  Paths(2/23にサックスの須川展也と日本初演予定)より、ピアノパートのみ抜粋演奏
  • ジョゼフ・フィブス:NORIKOのためのセレナータ(2018年小川典子委嘱作品 2/23演奏予定)冒頭部
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「演奏家より作曲家の方の人口密度の高いイベントは初めて」
という小川典子さんのコメントから、和やかな雰囲気でイベントがスタート。
胸元の空いた紺色のミディ・ドレスで登場された小川さんのトーク、通訳、演奏の手際の良さがお見事でした。
「主役は作曲家のお二人」
というスタンスは崩さずに、ホール・アドバイザーとしての役割を完遂!

作曲は、どのような経緯で手がけ、どう取り組み、どう出来上がるのか、
といったことを、小川さんの問いかけに応じて、フィブス氏、菅野氏が語っていかれました。
フィブス氏作曲の各曲については、小川さんとのエピソードも交えつつ。

音楽祭の担当者が自閉症児の施設に勤務されていた縁で、ジェイミーのコンサート主宰の小川さんをフィブス氏に紹介されて、、、とか、
サクソフォン奏者のCD作成の相談になった折に、奏者の方にフィブス氏を推薦して、、、など、やはり人脈をつなげていける方が、音楽活動を広げていかれるんだなあと思いました。

演奏曲目の中では、全曲を通して弾かれた菅野氏の曲が、ピアノの横に吊るされた「明珍火箸」を時折揺らしては、透明な美しい金属音とピアノの音色を溶け合わせるという手法と相まって、大変印象的でした。
この火箸、60万円もする高価なものなのだとか(大変に重く、また、絶対に錆びないそうですよ)。

フィブス氏の曲の数々も、一部とはいえ、魅力的でした。
サクソフォンの曲は、楽器のメロディアスな側面を引き出す魅力に溢れているそうで、最近の曲には珍しいありがたい曲だ、と今回演奏予定の須川氏大絶賛なのだとか。
あ、23日のコンサートは、↓をご参照ください。


最後のQAで印象深かったのは、次のようなやりとりでした
  • 「日本のクラシックコンサートでは、観客は全く体を動かさずに静まり返っているが、リズムをとったり、指揮者と一緒の気分で体を動かしたり、してもいいのでは。他国はどうなのか。」という質問(意見)に対し、フィブス氏が「英国も観客は静かである」、小川さんが「スピーカーなどを使わないクラシックコンサートでは、ステージ上で全身を耳にして演奏に臨んでいるので、会場から余計な音が聞こえると集中力を削がれる。体を動かすことで生じる衣服の擦れる音も困る」、菅野氏が「指揮者と一心同体で動くことができるのか。少しでもズレたら、大いに迷惑になる」と発言されました。迎合せずに、はっきりと物を言う姿勢に好感を覚えました。
  • 「小川典子さんは、お二人の作曲家にどのようなインスピレーションを与えるピアニストか」という質問には、「音質のレンジが広い」「エネルギッシュな大きな音も、繊細な弱音も美しく弾ける」と、お二人ともピアノの音質を指摘。小川さんご自身は,それを聞いて「ピアニスト冥利に尽きる」と。お若い頃から、コンクールに出ても、ロシアの大柄な男性ピアニストに負けない音量が出るとの評価を受けられていたそうです。弱音については、CD録音を重ねる中で「softer, softer!」と言われ続け、ご自身でも弱音について研究を重ねられて身につけたとのこと。この「音質の幅広さ」については、今、教える側の立場に立たれるようになって、是非後継者を育てたいと考えておられるそうです。
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【追記】こちら↓のサイトも参考になります。



NHK FM
ブラボーオーケストラ
2024年2月18日放送
「常任指揮者・沖澤のどかと京響が奏でるフレンチプログラム」

京都市交響楽団第685回定演
〜2024年1月20日 京都コンサートホール 大ホールで収録〜

指揮:沖澤のどか(常任指揮者)
ハープ:吉野直子*

<プログラム>
  • タイユフェール(1892-1983):ハープと管弦楽のための小協奏曲*(17分20秒)
  • イベール(1890-1962):寄港地(15分30秒)
  • ラヴェル(1875-1937):ボレロ(16分5秒)
アンコール
  •  徳山美奈子(1958-):交響的素描・石川~加賀と能登の歌による~から第2楽章「山の女」山中節より(4分15秒)

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指揮の沖澤のどかさんは、1987年生まれ。ブザンソンの指揮者コンクールで優勝。
2022年3月、ペトレンコの代わりにベルリンフィルを指揮。
京都市響とは、2021年10月のフランス音楽で初共演。
2023年4月より京都市交響楽団の第14代常任指揮者に就任。

上記ペトレンコの代演や、TV(→2022年8月)で彼女の指揮に魅了されて、生で聴きたい!と思いつつ、まだ果たせていません。
ということで、このラジオ番組に💖となりました。


タイユフェールは、20世紀 フランス6人組の中の唯一の女性作曲家。
初めて聴きましたが、洒落た音楽です。
イベールの「寄港地」は、第1曲「ローマ ― パレルモ」、第2曲「チュニス ― ネフタ」、第3曲「バレンシア」。これも初めて聴く曲です。
フランスの気分どっぷり~という気持ちになりました。

そして、誰もが知るボレロ。
ラヴェルが指定したテンポ通りに演奏されました。
解説では「普通より遅めのテンポ」と紹介されましたが、特に遅くは感じませんでした。
丁寧な曲作りに、胸がじ~んとしましたよ。

そしてアンコール。
2011-2012年に、オーケストラ・アンサンブル金沢の指揮研究員を務めたという沖澤さん、
今年元旦の能登大地震への追悼の意味を込めての演奏とのことでした。
選曲、かっこいいです。

やっぱり、生演奏が聴いてみたいと改めて思いました。

2024年2月17日(土)BSプレミアム
スタニスラフ・ブーニン ~天才ピアニスト 10年の空白を越えて~

今朝早く、録画で視聴。
今年1月1日放映の番組、再放送でしょうか?
2022年秋に放映された、似たような番組は
「それでも私はピアノを弾く~天才ピアニスト ブーニン 9年の空白を越えて~」
でしたから、
サブタイトルの「9年」が「10年」になり、取材期間がさらに1年分加わったものでしょう。


番組の中で、ジャン=マルク・ルイサダ氏に向かって発した
「身体を悪くして、少し真面目になったよ」
というブーニン氏の言葉が印象に残りました。
実は私、ショパコン優勝直後のサントリーホールのリサイタルを生で聴いているのですが、その時は、
「テレビ番組で見たコンクールの演奏の方が良かった」
と感じたのです。なんだか、演奏の集中度が足りないというか、適当にやってる感を覚えて。
数多く催されたリサイタルの中で、たまたまコンディションが良くなかった回だったのかもしれませんし、
聴き手側の期待度が高すぎただけかもしれませんけれども。
その若き日と比べて、
今のブーニン氏が一回一回のリサイタルにかける思いの強さ、密度の濃さがズンと心に響きました。
番組最後の言葉に、ブーニン氏の強い思いを感じます。
そして、
奥様の献身ぶりに、つくづく頭が下がりました。

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(以下、視聴しながらのメモ書き)

2023年秋のプログラムに新しい写真を入れるための撮影場面@ドイツからスタート。
妻の榮子さんが満足できる写真が撮れたかどうか尋ねると、ブーニンの返事は
「わかんね~。」

インタビュアー&ブーニンのやりとりは、
「(リサイタルは)もうすぐですねえ」
「いやだ」
「ブーニンさんもそんなお気持ちになられるんですねえ」
「もちろん」

日本語、かなり達者でおられます。

小山実稚恵さんが、ショパンコンクールで優勝した当時のブーニンを評した言葉
「独特のリズム感と指のバネ」
に、「まさに!」と思いました。
(このあたりは、前回の番組と同じかも。ルイサダ氏の表現「ショパンが墓でひっくり返った」は、私、覚えていましたから。)

  • 2013年に演奏活動を停止した理由は「石灰沈着性腱板炎」。肩にできた石灰が原因で、痛みや麻痺が起こるとのこと。
  • 骨折で骨が壊死するなどして、悪い部分を切り取って、骨と血管をつなぐという大手術を受けた結果、左足が8センチ短くなり、ピアノ演奏には特注の左ペダルが必要に。

長野での復帰公演(40分のミニリサイタル)の様子は、前回より長く収録されていたかもしれません。シューマンの小品集を並べたリサイタル。
まだ、「ピアニストとしての自分」は回復していない、「もう少し私に時間をください。」
と述べていましたが、観客の反応に意欲を覚え、
2023年には、2時間のリサイタル・ツアーを組むと決意。

「ピアノを鳴らせ、歌え」
というブーニンの弾き方は、ロシア・ピアニズム。
その祖とも言える名教師ネイガウスを祖父に持つブーニン。


ピアニスト、亀井聖矢(まさや)のショパンを聴く(2023年秋)
「技術的にはとても安定していてスムーズに弾けています。」
「もっと表情豊かに」
「左手が単調にならないように、もっと歌わせて」
「ショパンは大げさになり過ぎないことが大事」
「本質ではない感情移入は邪魔になる」
記念撮影の約束を忘れて、亀井さんを待たせたまま、自分で40分間ピアノに向かってしまう。

リサイタルに組まれた作品の多くはショパン。
  • マズルカ 嬰ハ短調 作品63-3
  • ノクターン 嬰へ長調 作品15-2
  • ポロネーズ 嬰ハ短調 作品26-1 

ピアノの鍵盤を温めるため、鍵盤の上にカイロを並べる榮子さん。
演奏会で弾く直前まで、楽屋ではブーニン氏の手をドライヤーで温める等、常に甲斐甲斐しい。
ブーニンの嘆き
「左手は以前のようには動かない。」
「左手を見ながら演奏するしかない。自由には演奏できない。」
「完全じゃなかった。技巧的な曲を減らした。」

2023年10月@東京
ジャン=マルク・ルイサダ氏が、ブーニン氏を訪問。ブーニンを評して
「昔から美しくて、貴公子のようだね。」

出会い後の二人の思い出
フランスのレストランで音楽談義をしていると、
ソ連政府のお目付け役(KGB)が割り込んできた。
「心を開くことを禁じられているように、表情を硬くしていた」

復活ツアー(2023年11月~2024年1月)
1.八ヶ岳
2.新潟県長岡市 1500人収容の大ホール
  • ポロネーズ「幻想」 変イ長調 作品61
「ショパンの人生を表現している作品。命を懸けて弾く」
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「手が尽きていたという状況で、最後までもたなかった」
「大変ないらだち」
「長岡のみなさんにもっともっといい演奏を聴かせたかった」
アンコールを弾かずに退場

3. 川口市
本番前にホールを借り切って練習
「広いホールでの感覚を取り戻すために」と榮子さんが手配。
長い知り合いであるホールマネージャーが
「ブーニンさんの音だ、響きだ」

本番の幻想ポロネーズを全曲放映
演奏後、榮子さん、楽屋で「やった!」
「前回よりよかったから」
「日本のファンのおかげで、モティベーションを失わずにすんだ」

アルバムを見ながら、かつての日本公演を振り返るご夫妻
1995年の阪神淡路大震災後のチャリテイー・コンサートの様子

「技術的に完璧でなくてもいい。人に感動を与えられる美しい演奏がしたい」

4.  東京 サントリーホール(ツアーの中の山場)
  • 前奏曲 作品28-15「雨だれ」
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楽屋で聴いていた榮子さん、涙ぐみつつ
「帰って来た。やっと」
  • マズルカ へ短調 作品63-2
  • ポロネーズ「幻想」 変イ長調 作品61(抜粋)
「静寂の中で聴衆が集中して演奏を聴いていてくれていることがわかった」
「自分自身に怒っている。もっとできたはず。」
表情は笑顔
  • メンデルスゾーン:無言歌から「甘い思い出」作品19-1
「コンサートの後は心地よい疲れだったが、まだダメ。理想には達していない」
「来年か、その先になるかはわからないが、積み上げているものを皆様にお見せしたい」

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