PIOピアノ雑記帳

ピアノ、クラシック音楽関連の話題を主とした雑記帳blogです。

私にとって、初の四国に来ています。

訪れたのは高知県。
今回のテーマは「植物🪴」
女子会3人旅です。

4月2日(火)
7:40羽田発、9:00龍馬空港✈️着

機中での話し合いで、
初日午前の目的地は高知県東部、北川村と決定。

北川村「モネの庭」マルモッタン

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お昼は、花に囲まれ、気持ちのよい風を感じつつ、
「はちきん地鶏バーガー」にかぶりつきました。
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お花達に癒される時間を満喫して、さあ、次へ。

2024年3月29日(金)5:00am~
聴き逃しで聴きました。
4月からは1時間遅れで、朝6時開始になるとのこと。
角野隼人氏、鈴木優人氏、とにかく終始楽しそうでした。
才能があるって、すばらしい。

以下、おバカ丸出しのメモ書きにすぎません。お恥ずかしや。
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フランス民謡・角野隼人編曲:きらきら星変奏曲

かてぃんのYouTubeページ登録者130万人。
いろいろな鍵盤楽器を触るのが趣味。
ラヴェル「ボレロ」をさまざまな鍵盤楽器を使って一人でステージ演奏。
チェンバロは去年、鈴木優人と共演。
クラシックのピアノを子供のころから習い、それとは別に即興演奏も好きだった。
古楽では即興が日常だったと知り、別物だった二者が徐々に自分の中で歩み寄る。
古楽のスタイルで自分の曲を作曲するピアニスト、フランチェスコ・トリスタ―ノに3年前に出会い、彼からも影響を受ける。

グレン・グールド
グレン・グールドのピアノ演奏の乾いた音に惹かれる。
チェンバロ独特の大胆な揺れ方は、モダンピアノにはない。
音量が変えられなかったからこそ、音量や時間の使い方で音楽を表現している。


いろいろな楽器の復習(鍵盤楽器の歴史)
クラヴィシンバルム
オルガン 笛っぽい:イタリア(1556年の一段鍵盤)フレスコバルディ
オルガン 重厚荘厳:北ドイツ(1693年の巨大な楽器)ブクステフーデ
オルガン 金管(リード管):フランス(1710年ヴェルサイユ宮殿の楽器)ダカン
ヴァージナル=
チェンバロを2台使った即興演奏コーナー
角野隼人(高音部)&鈴木優人(低音部)二人での即興演奏
鈴木氏が低音部を弾き、そこに角野氏がメロディーとして入る。

♪シャコンヌ
①イタリア語ではチャッコーナ。明るい曲
②フランス風シャコンヌ
♪フォリア

クラヴサン(フランス)=チェンバロ (可愛い そこらじゅうにトリル)
クープラン「うぐいす」
フランスの作曲家はトリルの弾き方を細かく指示

フォルテピアノ
ベートーヴェン「ディアベッリ変奏曲」第23変奏 アンドラーシュ=シフ
チェンバロより柔らかい音に聴こえる
シフの演奏は音楽が生きている


角野隼人の「古楽・この一曲」
ラモ―:新しいクラヴサン曲集より「未開人」
グレゴリー・ソコロフのトリルの切れの美しさに痺れる


二人の生演奏
バッハ:フーガの技法 ニ短調より コントラプンクト1、2
角野「頭が疲れる曲」
鈴木「角野くんと弾くと刺激を受ける」
脳細胞が沸騰する

小澤征爾の訃報に接したピアニスト・舘野泉氏が推薦されていたので、読んでみました。小澤、舘野両氏の恩師についての本で、お二人とも寄稿されています。

著者: 小澤征爾、小澤幹雄
出版社: 小澤昔ばなし研究所
発売日: 2015年12月21日

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小澤征爾氏が指揮者になられたのは、豊増氏にピアノを師事した4年間にラグビーに熱中しすぎて手の指を骨折した際、
「ピアノだけが音楽じゃない。小澤征爾くん、指揮というのもあるよ」
と豊増氏から言われたから、なのだそうです。

しかも、家計が苦しいからレッスン料無料だった(豊増氏の兄上が小澤氏の父上と懇意だった、という理由で師事した、ということもあるでしょうが)とか、
豊増氏からバッハを叩きこまれたことが、のちに非常に役立った、とか、ほんとに恩人だったんだなあと思います。

舘野氏は、10才〜高校2年の8年間、師事され、
「音楽に対する愛情」と「音楽に自由に向き合う姿勢」を学んだ
と書かれています。

さて、その豊増昇氏(1912-1975)を描くこの本、
2013年9月29日、故郷の佐賀(佐賀市文化会館大ホール)で開催された
「豊増昇生誕百年記念音楽祭」
の様子から書き起こされているのですが、その折と思われるカラーのお写真に、90代のお元気そうな奥様・豊松敏子さんも写っておられます。
「小澤 征爾/編著 小澤 幹雄/編著」
となっていますが、その奥様の語りを書き起こした部分も。

豊増氏の経歴はというと、
1936-38年、ベルリン・ホッホシューレ(ベルリン音楽大学)に留学、
バッハ没後200年の1950年(実際には1949年11月~1950年12月)に、バッハのクラヴィアに関する全曲演奏会(全15回)を開催し、
それが評価されて、ハノーファーの新バッハ協会の唯一の日本人会員になられています。

1954年11月には、そのハノーファーから招聘され、
ウィーン、ベルリン、ロンドン他各地でリサイタルを開催。
・バッハ「ゴールドベルク変奏曲」
・ベートーヴェン「ピアノソナタ第32番ハ短調op.111」
という正統派プログラムで、高い評価を博したといいます。

1956年には、日本人ピアニストとして初めてベルリン・フィルの定期演奏会にも出演。
(指揮はカイルベルト、曲はフランクの交響的変奏曲)

雑誌「音楽芸術」(1950年1月号 音楽之友社)に掲載された豊増氏自身の文章、次のくだりが印象に残りました。

バッハの演奏について

テンポ記号のないバッハ協会作品では、それさ演奏者によって自由が許されるということではなく、かえってそれは作品そのものの本質に固有な様式によって厳密に規定されるべきもので、正しいフレイジングに従い、その内部から、いわば自然の速さを引出さねばならない性質のものです。(中略)一般にバッハの場合には、演奏の規準はどこまでも作品の客観的な本質に従ってそれ自身がもっている内面の声にきかねばならないのであって、これはバッハの芸術そのものが、形はともかくその頃の意味においては何かの手段のために作られているのではなくして、かえってそれ自身が目的であるところの純粋音楽であるという本質の然らしめる結果です。

ちょうど、バッハを弾こうとして
「どんなテンポがいいの?レガートなの?スタッカートなの?」
と頭を抱えたところだったので、はは~っとひれ伏したい気分になりました。😓

3月28日(今年は2月が29日まであったので、1日早いです)は、年が明けて88日目(ピアノは88鍵)ということで、ピアノの日。
今年も、ドイツグラモフォンが標記の動画をアップしてくれました。
30日間、アーカイブが視聴できるとのことです。



<プログラム> 
知らない人の演奏者の名前はクレジット通りのアルファベットのみで記載。

  1. ヴィキングル・オラフソン(Vikingur Olafsson)J.S.Bach:Goldberg Variations BWV 988 Aria 
  2. ブルース・リウ (Bruce Liu) J.S.Bach:Prelude in E Minor BWV 855(ジロティ編曲)
  3. ダニール・トリフォノフ(Daniil Trifonov) J.S.Bach:Partita for Viloin Solo No.3 BWV 1006 ⅢGavotte(ラフマニノフ編曲)
  4. アリス・紗良・オット(Alice Sara Ott)Messaiaen:Quartet for the End of Time Ⅱ Vocalise
  5. Julius Asal  Sergei Rachmaninoff :13 Preludes Op.32 No.12 in G Minor
  6. ユジャ・ワン(Yufa Wang)Sergei Rachmaninoff :Piano Concert No.1 in F#Minor Op.1 ⅡAndante 
  7. Fabian Muller Fritz Kreisler:3 Old Viennese Dances 2 Leibesleid
  8. Marie Awadis   Etude No.2: Breathless
  9. Yannik Nezet-Seguin &ベアトリーチェ・ラナ(Beatrice Rana)Brahms:16 Waltze, Op.39 No.15 in A♭Major
  10. Elisabeth Brauß  Brahms:4 Piano Pieces Op.119 ⅠIntermezzo Adagio
  11. ブルース・リウ (Bruce Liu) Chopin:Etude in G♭Major Op.10 No.5
  12. ラファウ・ブレハッチ(Rafal Blechacz)Chopin:3 Valses Op.64-2 in C# Minor 
  13. キット・アームストロング(Kit Armstrong)Debussy:Images / BookⅠ 3 Mouvement
  14. エレーヌ・グリモー(Helene Grimaud)Schumann:Kreisleriana Op.16 No.1
  15. ラン・ラン(Lang Lang)Tailleferre:Walse lente
  16. グレゴリー・ソコロフ (Grigory Sokolov) Alexander Griboyedov:Waltz No.2 in E Minor
  17. チョ・ソンジン(Seong-Jin Cho) Liszt:Consolations S.172 No.3 in D♭ Major
  18. ルドルフ・ブッフビンダー(Rudolf Buchbinder)Liszt:Leibesleid  S.566(Schuman’s Widmung Op.25-1)
  19. マルタ・アルゲリッチ(Martha Argerich)Mozart:Sonata for 2 Pianos in D Major K.448 ⅡAndante(ダニエル・バレンボイムとの共演)
  20. Robert Neumann Beethoven:3 Piano Sonatas, WoO 47 No.2 in F Minor ⅢPresto
  21. ヤン・リシエツキ(Jan Lisiecki)Paderewski:Miscellanea  Op.16 Ⅳ Nocturne on B♭ Major
  22. ラン・ラン(Lang Lang)& Gina Alice Saint-Saence:The Carnivel of the Animals 14.Finale
****

個人的には、No.16~No.19(ソコロフ、ソンジン、ブッフビンダー、アルゲリッチ)に、心を持って行かれました(55分ごろから)。
ソコロフの弾いたアレクサンドル・グリボエードフをググってみたら「元駐イランロシア大使
と出てきて、びっくりしましたが、
1795年生まれ、1829年没。帝政ロシアの外交官・作家・作曲家。 名門貴族の出身であり、モスクワ大学の法学部・文学部を卒業している。フランス語、ドイツ語、英語などヨーロッパの言語に加えアラビア語など多くの言語を操った。(Wikipedeaによる)
とのことです。

ソンジン君の、心を捧げ尽くすような演奏と、
ブッフビンダー氏の、自然にあふれるものをそのまま出しただけ、といった演奏、
まるで対極にあるもののようですが、それぞれに心に沁みました。
演奏って、本当にさまざまで、年を重ねてこその演奏もまた、素晴らしいものですねえ。

デュオ・ピアノが何組かありましたが、バレンボイムの名前だけクレジットに出さない、というのは、グラモフォンに何か意図があるんだろうな、とも思いました。

トリはランラン夫妻でしたが、
奥様の演奏姿は、他の巨匠の方々とは異質な一生懸命さが目立っていて、ちょっと気の毒にも……(で、やっぱり私、ランランはちょっと苦手かも💦)。

NHK カルチャーラジオ「芸術その魅力」
ラジオ第2 毎週水曜 午後8時30分

音楽家スメタナの生涯
【講師】西原 稔(桐朋学園大学名誉教授)

2024年 3月27日(水)放送 らじる★らじる 2024年5月22日(水)午後9:00配信終了

西原先生がスメタナを「推して」おられることが、ひしひしと伝わりました。
ついに最終回か……という惜別の思いが。。。


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第13回 (最終回) 病を得て~晩年のスメタナ~

弦楽四重奏曲第2番(1882~83年作曲)
演奏:スメタナ弦楽四重奏団

晩年のスメタナを襲った神経の病気が進行していた最晩年の作曲(翌年に没)。
この時期、スメタナは聴覚にも異常をきたしていた。

・第1楽章 アレグロ
①切迫する様子:4つの楽器がユニゾンで駆け上がり、ド#のところで止まってしまう。
②柔和な思い出:モルト・モデラート。ヴァイオリンが表情豊かに弱音パッセージを奏でる。
「①切迫」と「②何かの思い出」が交互に現れる。変化に富んだ作品。

他の作曲家の作品からの影響が見受けられる。
第3楽章は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲「セリオーソ」と表現が似ている。

・第2楽章 アレグロ・モデラート
最初の4小節はポルカ。弱拍のところにスフォルツァンド
その後、16分音符。せわしない。
あちこちで魂の不安を感じる。
チェロの旋律はスメタナの一人語りのように聞こえる。
陽気なポルカではない。
最後は平安な雰囲気。

・第3楽章
4つの楽器すべてがユニゾンでトレモロから入り、駆け上がる。不安感。
(ベートーヴェンの「セリオーソ」、メンデルスゾーンの6番も同じ)
行進曲のような部分。
フーガが始まる。→ベートーヴェンの影響?
万華鏡のようにくるくると表情が変わる。

・第4楽章 フィナーレ
またユニゾンで開始。第1楽章と同様に到達した時点で新しい主題。
民謡のような音楽が登場。
慰めと切迫感の

同じチェコの作曲家ドヴォルザークが牧歌的で親しみやすい旋律を多く書いたのに対し、
スメタナの作品は、とても厳しく、激しい感情を吐露。ある意味、難解さが伴う。
この難解さは、チェコの音楽に対する強い思いがある。
スメタナ自身、3月革命に加わっている。
彼は、祖国とは何か、チェコの音楽、そしてチェコの未来はどうあるべきかを深く考え創作に反映させていった。

「わが祖国」は特別な意味を持つ。
プラハの春では、スメタナの作品を演奏することから見ても、チェコの人々にとって特別な存在。
ただ、この作品とごくわずかの作品を除くと、スメタナの作品を聴く機会、総体として見る機会はあまりない。
深い不安が登場し、わかりにくさもあるが、ぜひ声楽作品や交響詩なども聴いてみてほしい。


*****

……あ、そういえば、今ふと思い出しました。

藤田真央くんが、彼を追ったTV番組でスメタナのアンサンブルを練習していたはず、、、と思って探してみたら、ありました。これでした。

2024年3月27日(水)19:00開演 20:50終演
@フィリアホール

フィリアホール オープン30周年記念コンサート 
中野りな🎻&ルゥォ・ジャチン🎹

ヴァイオリン&ピアノ デュオ・リサイタル
2022年仙台国際音楽コンクール覇者の共演

〈プログラム〉
  • シマノフスキ: ヴァイオリンとピアノのための3つの詩曲「神話」Op.30より第3番
  • シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 Op.105
  • パガニーニ:ロッシーニの「タンクレディ」のアリア「こんなに胸騒ぎが」による序奏と変奏曲

  • イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調「バラード」 ※ヴァイオリン・ソロ
  • ショパン:バラード 第1番 ト短調 Op.23 ※ピアノ・ソロ
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.75

(アンコール) クライスラー: ウィーン奇想曲


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お見事でした。
お二人とも無駄な動きが一切なく、音楽と一体化しての演奏。
聴衆として、繰り広げられる音楽世界に浸りきり、堪能いたしました。
超絶技巧もなんのその、お二人とも全く乱れなく、演奏姿も音色も端正そのもの。
すごい空間の出現に、息を呑んで立ち会ったといった気分です。
中野さん、衣装も雰囲気もフェアリーでしたが、創出世界はクイーンでした。
出過ぎず、引っ込みすぎず、ジャタンさんのアンサンブル能力にも脱帽です。

画像のとおり、「黒電話」のダイアルを回す音、ガチャンと切れる音、などが度々出てきました。
なかなかつながらないこと多々、MCのお二人の焦りなども伝わってきて、なんだか昔のラジオ深夜放送を思い出したりも。
いろいろ抜けもたくさんアリのメモ書きです。
明日はベートーヴェンの第九だそうですよ。

出演:
  • 指揮者・原田慶太朗
  • アナウンサー・山田 朋生(ウクライナのピアニスト、サミュエル・フェインベルクのファン。ピアノとクラリネットの演奏経験あり)
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アニバーサリーをキーワードに生放送
今日の一曲
  • ガーシュイン(1898-1937):ラプソディー・イン・ブルー
1924年2月にニューヨークで初演。小規模のジャズバンドとガーシュイン自身のピアノ演奏。
ラフマニノフやストラヴィンスキーもその会場にいた。
原田慶太朗氏は、この曲を演奏する場合、ソリストにジャズのピアニストを選んでいる。

ガーシュインの特徴
クラシックの専門教育は受けていない。高校中退。
後年、ラヴェルやシェーンベルクに教えを乞うたが「その必要なし」と断られる。


ガーシュイン自身の演奏(自動ピアノによるピアノロール)は現在のテンポよりも速い
📞昨日&今日と共演したピアニスト・亀井聖矢君

「ラプソディー・イン・ブルー」をパーツごとに解説
  1. 冒頭部だれでも覚えるメロディーライン
  2. 蒸気機関車からのインスピレーション
  3. ストライド(左手クロスでドンチャンドンチャン)
  4. ラグタイム(ジョプリン「エンターテイナー」的)
  5. 愛のテーマ(チャイコフスキー「ロミオとジュリエット」愛のテーマ的)
📞指揮者・鈴木優人氏(Xに投稿「📞待ってる」 古楽の楽しみでNHKに通っている)
「古楽の楽しみ」PR 金曜日にはかてぃん(角野隼人君)が登場予定

DA PUMPの「ラプソディー・イン・ブルー」(1998年)に親しんだ
なぜこのタイトルなのか知りたい→📞mcAT(作曲者)


【音源】1927年の録音
ピアノ:ジョージ・ガーシュイン
オケ:ポール・ホワイトマン楽団

著者: ヤマザキマリ
出版社: 幻冬舎
価格: 1650円
発売日: 2021年08月04日

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ヤマザキマリ氏の『ヴィオラ母さん』が娘の立場から母との関係を描いたエッセイであるのに対し、
本書は、母の立場から息子との関わりを描くエッセイです。

ヤマザキマリ氏――夫のベッピーノ氏――息子のデルス君
の3人が、それぞれ14歳という年齢差であることは知っていましたが、
デルス君は、義理の父という間柄のベッピーノ氏を、次のように描写しているそうです。

「家族になってもぼくの父親にはなれないんだと気がついたあと、さっさと等身大の子供っぽい自分に戻せたところがすごい人」(p.219)

そのベッピーノ氏のプロポーズとは、次の国際電話。

「僕はあなたたち親子と一緒にいることでものすごいエネルギーがもらえた。だから家族になりたい。あなたたちの力にもなりたい」(pp.87-88)

こうして夫婦となった二人に、ある意味、振り回されて、
9歳で日本からシリア・ダマスカスへ、当地の情勢悪化により国外退去を命じられイタリアへ、そしてポルトガルはリスボンへ、
さらにベッピーノ氏の仕事を理由といてアメリカ・シカゴへ。
数学の才能とマルチリンガルを見込まれて、高校のエリートコースに身を置くことになったデルス君は、アメリカ本土の熾烈な競争生活を避けて、ハワイの大学へ進学、卒業。

そうそう、祖母リョウコさんの音楽教育を受け、幼少時からヴァイオリンに親しみ、その後、楽器をチェロに持ち替えて、ポルトガルやアメリカでもチェロ演奏で活躍されたとのこと、自然体でいながら、ちゃっかり祖母孝行もされていて、すごいなあ。
その後はというと、

9歳から日本を離れ、世界の国々で変則的な教育を受けてきたデルスの口から「就職活動」という言葉が出てきた時は、正直驚いた。即戦力や実力を買ってもらえれば通年でも採用してもらえる海外では、就職活動なんていうものはない。つまり、デルスは日本において、日本人として、就職がしたいということになる。(p.197)

破天荒な母に振り回されつつも、しっかり自分の頭で考えて、進路を選んでいることが伝わってきます。
最後に掲載されたデルス君の一文 「あとがきにかえて「ハハ物語」」がまた、読ませます。
その文章の末尾は、書籍画像の帯にも印刷されています。

息子にとってこの世で誰よりも理不尽でありながらも、お人好しなほど優しい人間である母ヤマザキマリ。そんな母のおかげで国境のない生き方を身につけられた私は、おかげさまでこれから先も、たったひとりきりになったとしても、世界の何処であろうと生きていけるだろう。  山崎デルス


あっぱれデルス、あっぱれヤマザキマリ、としか言いようがありません。
楽しく読めました。

映画の話題連投となりますが、
「もう最高♪」とのウワサを聞いて、Amazon Primeで視聴しました。
へえ、ジャズのアニメ映画なんだ、というだけの前提知識で。

迫力の演奏シーンがてんこ盛りで、びっくりしました。
音楽そのものを聴かせたい!という熱意に満ちた映画です。
終始、圧倒されているうちに終わってしまった、という印象です。
確かに、熱量の高さたるや、特筆ものでした。

テナー・サックスを始めて3年目ながら、大物ぶりが顕著なサックス奏者の宮本大、
4歳からピアノを始め、現状のJazz界に飽き足らないというピアニストの沢辺雪祈、
上京した大に触発され、大学入学後にドラムを始めた初心者ドラマーの玉田俊二。
若者3名が18歳で組んだジャズバンド「Jass」の活躍(2年間かな?)を描く作品。

以前から、漫画として評判を博していた作品なのだそうですね。
音楽をメインに据えて扱う作品、映画界でもTVドラマ界でも、増えてきている気がします。

音楽&ピアノ演奏は、ピアニスト・上原ひろみが担当しているとのこと。
本格的な演奏になるわけです。
YouTubeで見つけた紹介動画を貼っておきます。

 

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